世界の反転

彩られた世界にいた頃
君は神様で、私は小さな子供だった
すべて大人は暴力の匂いがして
それに抗う術もなく
私と君はただ泣くしかなかった
手を繋ぎあったわけでもないけど
君と私は糸を撚り合せたように
通じ合ってひとつの世界を感じあって
好きだという言葉を磨り減るほど
使いその言葉の甘やかさに
酔いしれた
時は経て世界の色が段々くすんできて
それに馴染んでしまった今では
あの頃の世界の輝き方は眩しすぎて
瞳の奥に痛みを覚えるほど
純粋さに孕む暴力性にも気づいた現在は
あの頃は向こう見ずで勇敢だったと振り返る
世界は何度でも色を変える
ふと見上げた空に何の情感もわかない
今はただ、今を未来に押し進めるだけ
その日々の単調さに、敬意さえ持つ

君は今でも空を仰ぐ時まぶたを閉じるだろうか
その些細な仕草も今は見ることはできない
撚り合せた糸はばらばらになってしまった
それがあの頃描いていた未来とは違う大きな事実だ

#詩 #過去 #現在

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