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管理部門にとってのユーザーとは?

最初に、このシンプルな質問から始めましょう。

「ユーザーってなんだろう?」

この言葉が私たちの耳に入るたびに、多くの企業の中心的な哲学が頭に浮かびます。「ユーザーを第一に考えよう!」という理念は、会社の目標として議論の余地がありません。

しかし、"ユーザー"とは、実際に誰のことを指すのでしょうか?

営業に携わる人々にとって、ユーザーは目の前にいる顧客であることは明らかです。製品を企画する部門にとっても、その製品を利用する最終消費者がユーザーとなります。

しかし、この「ユーザー」の概念は、会社の管理部門にとってどういう意味を持つのでしょうか?ここで、二つの視点を提供したいと思います。

消費者としてのユーザー

一つ目は、管理部門でも、最終的な商品やサービスの利用者である「ユーザー」を常に意識することです。ただし、この考え方は実際の運用には難しさが伴います。例えば、経理部門がユーザーを意識して仕分けるというのは一見無理があるかもしれません。しかし、適切な仕分けは会計の正確さ、それによる企業の円滑な運営、利益の創出、そしてそれが最終的にユーザーへの還元につながるという考え方もあります。

社内ユーザーという考え方

二つ目の視点は、自分の提供する管理業務サービスを利用する社内の人間を「ユーザー」と見なすという考え方です。例えば、法務部門の場合、契約書の相談に来る、契約に疎い事業部門の人をユーザーと見なし、専門的な知識と経験を提供することで満足度を向上させるという考え方です。

トヨタ流の「後工程は神様です」という考えが背景にあるかもしれません。そして、このアプローチは特に管理部門にとっては、その高い専門性からくる、ユーザーの喜びとモチベーション向上に直結するため、非常に魅力的です。

社内ユーザーに尽くすデメリット

しかし、このアプローチには注意すべき点もあります。それは、管理部門のコストが増大し続ける可能性があるということです。社内のユーザーは、すぐに質問に答えてくれる専門家がいるとなると、要求が増えてしまう可能性があります。私はこれを「管理部門のフリーライダー問題」と呼んでいます。

では、どのようにこの問題を回避すれば良いのでしょうか?サービス提供を控えるべきでしょうか?

私は、この問題はサービスの提供方法にあり、解決策は「可視化」と「仕組み化」にあると考えます。

可視化と仕組み化

管理部門の提供するサービスは、社内ユーザーの満足度を高めることを目指すべきですが、それは直接的な人間から人間への伝達に限定されるべきではありません。重要なのは、管理部門の知識とノウハウを最も分かりやすい形に「可視化」し、「仕組み化」することです。

そして、一度仕組み化すれば、その知識は「再利用」可能となり、最小の労力で最大の成果を得ることができます。これにより、管理部門が新たな価値を生み出す役割を担うことが可能となるのです。

こう考えると、「ユーザー」の概念は、各部門、各役割において異なる解釈が可能であると理解できます。一方、それぞれがユーザーを意識することで、組織全体が最高のパフォーマンスを発揮できるということには疑いはないです。

これからも「ユーザーを”正しく”最優先に考える」ことを忘れず、より良いサービスを提供し続けるべきだと考えます。

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