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行動分析学マネジメント: 人と組織を変える方法論 単行本 – 2008/12/1

先日、新卒入社関連の仕事をしている方々と雑談していて、動機と行動の話になりました。若手とひとくくりにするもの躊躇がありますが、長く人事の仕事をしている人たちからすると、概して若い世代の社員から「この仕事って何のために必要なんですか?」とか、「なぜ自分がこの業務を担当するんですか?」といった質問が増えてきた印象があるとのこと。もちろん社員にやる気をもって仕事に取り組んでもらいたいので、可能な限り説明を尽くすべく頑張っているそうです。

これは、動機を整えるお手伝いをするということかと思います。確かに、人にとって理由や目的がわからないまま作業させられることは苦痛です。逆に、目的意識が高まればそれだけ仕事に力が入るというのは、イソップの“レンガ積み職人”の話にもある通りですね。モチベーションという言葉が職場でよく使われるようになったのも、働き手がやる気をもって仕事に向き合うために「動機付け」が大事だという風潮が強まってきたからだと推察します。

一方で、まずは手を付けて進んでみないと見えてこない風景もあるよねという意見もあります。動機と行動が、ニワトリとタマゴの話に重なってきます。納得しないといつまでも動けないというものちょっと違うんじゃないかという話です。少し古い世代の人たちは「いいからやれ!」と言われて仕事を覚えたので、上述のような若手に出会うと困惑してしまうこともあるようです。その気持ちもわからなくはありません。

今回取り上げた本は、行動分析学という理論をベースに、それを職場の環境に当てはめて解説することで多くの示唆を与えてくれます。基本的には、①刺激→②行動→③結果というモデルで考えるそうですが、③が①に強い影響を与えて次の②を生み出していくという、直線的プロセスではなくサイクルの話です。ですから、先の議論が鶏卵問題につながったのも見当はずれではなかったと言えそうです。

サイクルなのでどれか一つでも欠けると成り立たません。本書は、特に③(=結果)のコントロールを重要視しているように感じました。一方で私たちの上述の雑談は、動機と行動でどっちが先?というような議論で終始してしまい、行動の結果をよくよく観察して、それを次の動機づけに活かすというサイクル的な発想が弱かったなとふり返ります。サイクルの起点をどこに置くかは状況次第で変わってくるもの。むしろ大事なことは、「どこから」とか「何を」より先に、まずはちゃんと観察すること。その重要性を本書を通じて学ぶことができました。

(おわり)


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