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ブラジルの学生を救う教育プラットフォームを提供する企業Vitru(NASDAQ:VTRU)が上場申請。ブラジルで最大のデジタル教育プレーヤーで20年間比類のない成長を遂げてきた企業に投資できる貴重な機会を見極めてみる。

ブラジル教育の問題

そもそもブラジルの学生はどのような教育を受けているのか。
ブラジルの高等教育後の学生は、
(1)資金サポートの選択肢がほとんどない、またはまったくない高額の授業料
(2)長い通勤
(3)継続的に利用できる学習リソースへのアクセスの欠如
(4)教師、家庭教師の人材リソース不足
(5)不十分なサポートと学生の学習、課外経験

このように、貧困層の教育はままならず、富裕層の一部にしか高等な教育が受けられないという不平等性がある。

ブラジルでは、中等教育後の学位を取得すると学生の平均給与が65.3%も増加する。なので、教育はブラジルの家庭にとって教育は重要な要素。

INEPとユネスコによれば、ブラジルはインドと中国に次ぐ、世界で3番目に大きい私立高等教育市場としてランク付けされているらしい。2018年12月31日の時点で800万人以上の学生が高等教育課程に在籍しており、その75.4%が私立大学に在籍。しかし、ブラジルの25歳から34歳までの人口の21.0%だけが中等教育後の教育機関に通っている。これは、OECDの平均である44.0%をはるかに下回っており、大幅な成長の余地がある。

このような状況を変革する企業がVitruだ。

解決方法は教育のデジタル化

同社は、学部生と継続教育のためのハイブリッドデジタル教育体験に焦点を当てた完全な教育エコシステムを提供。複数の形式(ビデオ、電子書籍、ポッドキャスト、htmlテキストなど)で配信され、200科目以上のコースがある。

家庭教師のプログラムもあり、担当する分野で主に地元の働く専門家である家庭教師が主催する対面の毎週の会議も組み込んでいる。チューター数は約3,600人のチューターがいて、品質要件を確実に満たすようにするために、訓練を受けた優秀な人材が先生となる。このユニークなチューター制度により、学生の手厚いサポートと高い学習定着率を実現する。

また、バーチャルメンタリングとよばれる対面式の個別指導を提供するデジタル教育センターハブも提供する。

ビジネスモデル

主にデジタル教育の学部課程に課される授業料が収益。同社は学部デジタル教育コースに重点を置いており、デジタル継続教育と特定のキャンパス内学部コースも提供。

収益モデルは強力なキャッシュフロー生成を伴うスケーラブルなパートナーシップモデル。ハブパートナーは、学生から収集した授業料の一定の割合で表されるそれぞれのシェアによって報酬を受ける。

ハブパートナーに毎月転送される合計金額は、サービス契約で各学生と合意した価格条件から導出される。

授業料は学生が登録しているコースのタイプによって異なり、継続教育コースでは高く、学部コースでは低くなっている。さらに、このパーセンテージはハブの運用当初は高く、ライフサイクル全体を通じて減少するため、投資回収期間が短縮され、投資の魅力が高まる。ハブが成熟するにつれ、ハブパートナーに割り当てられる授業料の割合が低下する結果として、総収入の増加(同時期の授業料の増加よりも大きい)が発生。

2020年6月30日時点、当社のネットワークは608のハブで構成。過去1年間は39.4%の年間成長率になっている。2016年からのネットワーク数はそれぞれ370ハブ、221ハブ、72ハブであり、CAGRは96.3%で急拡大している。ハブの約88%が過去6学期(つまり、過去3年間、または2017年の後半以降)に開通しており、現在も成長を続けており、大きな成長の機会を示している。
現在、ブラジルの全州で287,798人の学生が在籍しており、年間成長率は17.9%。2016年からのCAGRは27.8 %。

同社の特筆すべき点として、ビジネスモデルのユニークさにある。同社のようなビジネスモデルを備えた純粋なデジタル教育プロバイダーはブラジルに存在せず、投資対象としても絶好の妙味がある。

反対に高等教育業界では競争が激化しており、市場は非常に細分化されているが、INEPによると、ブラジルには2,501の私立中等教育機関があり、259(約10%)はデジタル教育学部コースを提供している。ブラジルで3番目に大きいデジタル教育中等教育グループであり、登録者数の面でもかなり多い。

ブラジル政府の後押しは追い風

教育の普及率を高めることを最大の使命として、2018年の30.3%と比較して、中等教育の普及率を目標人口の50.0%(18歳から24歳)までにもっていくことがゴールとなっている。この率を達成するために、ブラジル政府は規制を緩和し、デジタル教育コースを促進している。Educa Insightsが実施した調査によると、2018年に私立大学の学部課程に在籍した640万人の学生のうち、約180万人の学生、つまり学生ベースの28.4%がデジタル教育課程に在籍しており、今後成長する見込みである。

プラットフォームの機能


学生ポータル
すべての学術コンテンツ、および成績、締め切り、出席、財政状況などの学生情報を収集するオンラインポータル。学生は家庭教師からのオンライン授業後サポートにアクセスできる。

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App Leo
学生がすべての科目を検索できるモバイルアプリケーション。シミュレーターと3D研究所; WhatsAppセンターを含むすべての学生サービス。家庭教師によるオンラインサポート、コースの学習結果、進捗トラッキングなどの機能を利用できる。

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家庭教師のポータル
すべてのチューターが使用できるオンラインツールであり、割り当てられているクラスに関連する一般的なパフォーマンスインジケーターを可視化。チューターは、個人の特性を理解し、生徒との関与を追跡することにより、生徒の成長を追跡し、クラスの進捗状況を管理できる。また、計画方法を改善し、クラスを効果的に教えるために使用できるデータへのアクセスも提供。

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教師のポータル
コンテンツ制作を担当する教師は、教科ごとのコンテンツを監視し、すべての学生または特定の問題を抱えている学生をサポートするために新しいコンテンツをすばやく変更、更新、および追加可能。また、独自の学術コンテンツを社内で開発しているため、学生のフィードバックに応じて継続的にコンテンツを改善し、優れた満足度を達成できる。

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マネージャーのポータル
ハブに関連する財務および運用のパフォーマンス指標を個別または統合ベースで提供し、競争環境に関する情報を提供することにより、すべてのハブパートナーと管理チームをサポートする。パートナーはハブの進行状況を監視し、パフォーマンスとデータに基づいて意思決定を計画できる。パートナーは、このプラットフォームを使用して、標準化された視覚的アイデンティティと一元化されたサポートを備えた独自の広告キャンペーンを作成可能。

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販売管理システム
同社とハブパートナーが、割引とプロモーションの強化されたコントロールで事業を行う各地理的市場に適応した動的な価格戦略を実行できるプラットフォーム。このツールは、ブラジル全体のパートナーと当社のパートナーが完全な販売インターフェースにアクセスできるようにすることで、各ハブと各市場での収益を最大化するのに役立つ。この「ヒートマップ」を通じて地理参照テクノロジーを提供し、潜在的な学生に関するデータの分析に基づいて、新しいハブを開くための適切な場所を選択できる。

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ファイナンス

総収入

営業利益

純利益

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営業キャッシュフロー

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***単位は全て千ブラジルレアル

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