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1年の労力をかけたA4用紙500枚の提案書は案件獲得に繋がるのか

これはある会社で実際にあった新規開拓の営業マンの話です。
よくある話のように見えますが、ビジネス的にかなり奥が深い内容になっています。
意識せずに何となくで働いている人こそ知ってほしい、そんな話です。

教育システムを手掛ける会社に30歳くらいの営業マンがいました。
中途入社直後の彼は一所懸命にテレアポを頑張り、1件のアポイントを獲得したんです。
彼は営業部長と一緒に客先に向かい、お客さんが何を求めているかを聞いてきました。

お客さんが求めていたのは教育システムの社内導入で、色んな要望があってカスタマイズが必要なものでした。
概算見積でいうと3,000万円くらいの案件です。
その会社の中ではこの案件は大型の部類で、何が何でも受注したい案件でした。
そのため、彼を専属担当としたプロジェクトが立ち上がったんです。

彼は足繫くお客さんのところへ出向き、ヒアリングをしては提案書にその内容を盛り込んでいきました。
1ヶ月、3ヵ月、半年と彼は提案書にボリュームを持たせ、彼の稼働はヒアリングと提案書作成で占められ、ほぼ自席にいるという状況です。
そういうこともあって周囲から、こんな声が聞こえるようになってきたんです。

「あの人、新規開拓の営業でしょ? いつもデスクにいるけど本当に営業なの?」
「でも大型案件用の提案書は作ってるみたいだよ」
「ふーん、そうなんだ」

最初のアポイントから9カ月が経ち、受注という数字に繋がらないことで、やっと営業部長が彼を支援し始めました。
お客さんから入札が3ヶ月後ということを聞いた営業部長は、彼に提案書を仕上げるよう伝えました。
しかし、膨大な量に膨らんだ提案書は読むのも辛いという状況です。
それだけではなく、その内容を元にシステム導入すると、当初の概算見積の金額では対応できないものになっていたんです。

お客さんの入札時期に合わせるために提案書の改善を続け、完成したのがA4用紙500枚の提案書です。
複合機の用紙が切れた時に印刷紙を補充しますよね。
そのブロックの一つが500枚なので一度補充した経験がある人は、そのボリュームや重量感もしっかりと伝わると思います。

そして、運命の入札プレゼンテーションの日がきました。
ライバルは2社。
つまり、3社間で1つの受注を取り合うような感じです。
提案内容や金額は会社によって様々ですが、1年かけて作り上げた提案書と顧客との関係性では負けるわけはありません。

ドスッ
ドスッ
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