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スイクンの背中に乗りたかった

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一番プレイしたポケモンはおそらく小学5年生くらいの頃やってた
ポケットモンスター・サファイア なのだけど、
一番熱心にやってたのは
ポケットモンスター・クリスタル だと思う。

あれはシリーズの中でも群を抜いて難易度が高かったと思う。
まずジョウト地方を冒険したあとカントー地方にも行けるようになるので、
クリアまでの道のりが長い。それだけコスパが良いともいえる。
ジョウト地方終盤であらわれる“こおりのぬけみち”とか、
今思うと子ども泣かせだったんじゃないだろうか。
今はとっても優しい母はわたしが子どもの頃、大変教育熱心なママだったので、
ゲームは土日のみ、1時間を越えると母から冷たい叱責がとんでくる、
(友達が遊びにきている時はその限りではない)
という厳しいルールのもと進めなければならなかった。
そのため先述した“こおりのぬけみち”を通り抜けるには、
攻略本を買ってもらい本でルートをしっかり確認した上で実際にプレイするという、
研究を重ねた計画的な方法を取らなければならなかった。
あの攻略本、今はもうなくしてしまって手元にないけれど、
それぞれの街の攻略法だけじゃなくて、
このポケモンはレベルいくつでなんの技を覚えるとか、
全ポケモンの図鑑が載っててかなり重宝していた。
もはや愛読書だったし、カバーがボロボロになってしまうまで読み耽っていた。
今はもうネットで調べればいくらでも出てくるんだけど。
最近のポケモンって数が多すぎて、紙の攻略本でも図鑑とストーリー攻略と、
別々で出版されている。それぞれ厚さが辞書みたいだし、もう覚えきれなくてびっくりする。

紙の攻略本とかゲームの説明書とか、大好きだったなあ。
長時間ゲームできなかったから、それでプレイした気になってたのかもしれない。
ゲームボーイアドバンス、しょっちゅう取り上げられて隠されて、母の管理のもとでしか使えなかったし、平日にゲームできる友達の話を聞いて信じられなかったくらいだった。

ポケモンに話を戻すと。
ポケットモンスター金・銀では
スイクン、エンテイ、ライコウはジョウト地方中を縦横無尽に逃げ回り、
“ぶんぷ”を確認しながら捕まえるのにも一苦労だった。
でもクリスタル版はスイクンだけはストーリー上で捕まえることができて、
そのビジュアルのクールさとスタイリッシュさにメロメロになって一生手持ちに入れていた。ほんとかっこよかった。

周りの女の子がクリスマスに
ブーツを親に買ってもらった!とか
キラキラ光るペンのセットをもらった!とか
どんどん煌びやかになっていくなか、
わたしはゲームキューブのソフトを買ってもらったり
GBAのソフトをテレビでプレイするための付属品を買ってもらったりしていた。
はじめてポケモンセンターに行ったときは嬉しすぎてグッズを買い漁った。

小学校を卒業して中学生になった途端ポケモンのアニメにもゲームにも興味を失って、
友達と洋服の買い物に街まで出掛けて行ったり、
大きな駅前のファッションビルの新年の初売りに参加するために始発の電車に乗ったりするようになった。
ゲームが好きとかアニメが好きとか少し言いづらいムードが、
あの頃にはあったような気がする。

それから十数年が経って大人になったわたし、
友達と買い物してカフェで食事してインスタにあげる一方で
夜通しベッドの中でNintendo Switchをしているような
ハイブリッドな人間になった。
というかそれが通用する時代になった。
今はもう夜中までゲームをして怒られることもないし、
クリスマスや誕生日を待たなくても好きなソフトを買うことができる。
大人って、最高だ。
それでも、ボロボロになるまで攻略本を読み漁って週末を待つような、
あんな熱量はわたしの心にはもうないなあと少し寂しくなる。
できることなら趣味だけじゃなくて心も、
子ども心と大人の振る舞いを兼ね備えたようなハイブリッドな人間でありたいと思う。
いつまでも、ピカチュウを肩に乗せスイクンの背中に乗って、
チャンピオンもなんなく倒し、
ポケモンの世界を救うような主人公に、憧れている。

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