アレルギー対応に関する私の気持ち。
私は、小麦粉を使って菓子を焼いています。
以前は、若干のパンを焼いていたことがありました。
そのパンとは、ライ麦を使ったものでした。
ここは、厚めの柔らかい生地に、ミルククリームをたっぷりとぶ厚くサンドした「牛乳パン」がソウルフードと言う地域です。
その「牛乳パン」とは正反対に位置しそうなライ麦のパンを食べる頻度など、1年に1度くらいかも知れない。
そしてこの夏、パンを焼くことをやめ、開店当時の焼菓子屋に戻しました。
それから、ライ麦のパンが食べたいとの要望の声は滅多に聞かれません。
お出かけも滅多にありません。
店としてはお客さまに対して、日常品が手に入らない不都合が皆無に近いことに安堵しております。
パンが、ほぼ日常品の時代になっているとは言え、所詮、ライ麦のパンは嗜好品ですから。
ただ最近は、グルテンが体に悪いとの情報から「グルテンフリー商品をやって欲しい、何ならそれに特化した店になってくれたら便利だ」との声を頂きました。
グルテンフリー商品に特化の店なら、ありますがねぇ…。
その店は遠いのかしら?
私の頭脳は至ってシンプルなので、グルテンフリーと言えば小麦アレルギー。
そこで、この小麦アレルギー対応に関する私の気持ちを書きたいと思います。
前述のとおり、小麦アレルギーとセットで登場するキーワードにグルテンフリーがあります。
最近、耳にする機会が増えたような気がします。
小麦に含まれるタンパク質、特に水に溶けないタンパク質、主にグルテニン、グリアジンを指し、小麦タンパク質を摂らない=グルテンを排除する。
こう言うことがグルテンフリー…くらいに覚えていれば良いと思います。
グルテンは小麦に含まれていますので、自動的に小麦を排除することに繋がり、「小麦アレルギー=グルテンフリー食生活」という図式が出来上がります。
最近は、小麦アレルギーのお子さんの話だけでなく、充分に大人になってからアレルギーを発症する方の話をお聞きします。
突然、違和感有り!の症状で、医師から告げられた言葉に仰天し、それ以降、日常食品、菓子、調味料、化粧品等に至るまで、小麦が含有されていないか?を確認。
今では「買い物が苦痛」だとの声も。
心中お察しします。
それでも快活な私の知り合いは「エンゲル係数、爆あがり!」と笑って吹き飛ばしています。
明るくて、私の気持ちも救われます。
さてこの小麦アレルギー。
前述のとおり、小麦に含まれるタンパク質に反応する症状ですね。
大人になってからの小麦アレルギー発症メカニズムを、花粉症(アレルギー性鼻炎)と同様なイメージで「コップの水が満杯になって溢れる」との説明を耳にします。
グルテニン、グリアジンは体内に消化されにくく蓄積され、オーバーフローして発症という感じでしょうか。
それほど大量に小麦を摂取した覚えはなくとも、残念ながら個人差があるようです。
そして「あぁ、これはアレルギーですね。小麦の…。」などと医師から告げられてしまったら、小麦製品の製造場所へ足を踏み入れることも、配慮が必要となります。
お気を付けくださいね。
例えば「蕎麦アレルギーの人が蕎麦屋の前を通過しただけで目が痒い」とか「体のあちこちが痒くなった」とか。
いかにも此処、長野市らしい話を耳にします。
「この店、グルテンフリー商品があるんだって」…の話が広まって、
小麦アレルギーでグルテンフリー食生活の方のご来店はウェルカム!となりますでしょうか?
店としては、このような適当且つ安易なことは出来ません。
何故なら、小麦粉はバターや鶏卵のように固体ではなく、粉体で空中に浮遊しているからです。
アレルギーをお持ちの方が蕎麦屋の前を通過しただけでも…ですから、
店内は危険域となります。
小麦は使っていないから「グルテンフリー商品」などと簡単に言えるほど、アレルギー対応食品は安易に出来ることではないのです。
このようなことから、例え小麦を使わない商品を生み出したとしても、この特徴を前面に押し出す売り方はしませんし、できません。
実際に小麦を使わずアーモンドだけの「アーモンドクッキー」を販売していた時だって、だぁ〜れも見向きもしなかったじゃな〜い?!
(今は焼いていません)
小麦が好きな人に小麦不使用と言ったところで、何も響かないことを学習しました(笑!)
口説くなりますが、改めてもう一度。
小麦は平気に食べられるけれど、健康を意識してグルテンフリーの食生活をしている人と、アレルギーのため小麦は食べられませんと言う人とでは、全く意味が違うと思います。
私は、菓子と言う究極の嗜好品を作る者です。
美味しさを求めることは仕事の範囲ですが、安易にグルテンフリー商品を作ることは、気持ちのうえでも難しい。
片方に小麦アレルギーで、食に制限のある人がいる。
もう片方では、健康のためにグルテンフリーです…って、ナンと!エゴなんだ?
中途半端なことで、本気で悩んでいる人を傷つけたくない。
これまたエゴな私の気持ち…でした。
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