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双子で全然ネームバリューの違う大学に通っていて思うこと

私は双子で、双子の妹とは別々の大学に通っている。中高は一貫校でずっと同じ学校に通っていたが、大学で初めて別々の進路に進んだ。

学校名は伏せたいのでわかりやすく説明してしまうと、私は私立のSランク、妹は私立の大体Cランクに分類される大学に通っている。(一応言っておくと、ここでランク自慢をしたい気持ちは微塵もない。ずっとない。)

大学ではよく、双子であることを自己紹介のいいネタにしている。覚えてもらいやすいからだ。すると大体聞かれるのが、「双子の妹はどこの大学なの?」である。そこで私は何も取り繕うこともせず、「□□大学だよ」と言う。すると、大体同じパターンの反応が返ってくる。「あ、そうなんだ…」という気まずい返事だ。聞かないほうがよかったかな、言わせて悪かったかな、というぎこちない雰囲気が、一瞬ではあるが必ずといっていいほど流れる。

多くの人は、双子は大体同じような大学に通っていると想像するのだろう。1人が東大ならもう1人は京大みたいな。実際そういう双子も私の周りには何組かいる。2人揃って慶應の双子もいれば、早慶コンビの双子もいる。だから、私たちほど大学のレベルに差のある双子は珍しいかもしれない。

私も妹も、このことを恥ずかしいとは全く思っていない。それでも、大学の友達にああいう反応をされるから、だんだん私の方が、妹の大学名を言うのを気まずいと感じるようになってしまった。

そもそもどうしてお互いが今の大学に入学することになったのか、簡単に書いておく。

私が今の大学に入学できたのは、半ばラッキーだった。高校で1枠だけあった指定校推薦を、ありがたいことにいただけたのだ。私より頭のいい子は周りに何人もいたが、そういう子は国立の難関校を目指していたので、運よく指定校推薦の枠が私に回ってきた。定期試験だけ毎回バカ真面目にこなし、コツコツ成績を貯めておいた分が、最大限の特典付きで返ってきたという感じだった。

一方の妹も、指定校推薦で今の大学を選んだ。私と一緒に一般受験で私立の最上位校を目指していたが、私が先に推薦を決めたのをきっかけに、妹も指定校推薦をとった。妹が1人で受験勉強を続けるのが環境的にも精神的にもしんどかったというのはあったが、それよりも、学びたい分野を学べるという前向きな理由で、妹は大学を決めた。

その点、私は今の学部に全く興味はなかった。一般受験するなら他の学部を受けようと思っていたくらいだ。それでもやはり目の前に現れたラッキーチャンスを逃すことはないだろうと思い、ほぼ大学のネームバリューにつられて入学を決めた。

私も妹も、大学受験において間違った選択はしなかったと思う。でも時々、妹の方がイキイキと大学生活を送っているように見える。

大学受験が終わった直後は、私の方がちやほやされることが多かった。父と母は何も区別はしなかったが、祖父母や周囲の大人たちは、直接言葉には出さなくとも、どこか私の進路の方を喜んでいるようだった。私の就職先について勝手に想像して勝手に盛り上がったりもしていた。

ところが、いざ大学生活が始まると、私より妹の方がよっぽど毎日を充実させていた。そりゃ当たり前である。興味がないのにとりあえず名前のある大学に入った私は、最初の頃こそ期待や希望を抱いてキャンパスに通ったものの、だんだんモチベーションも薄くなり、そのうちあまり授業に出席しなくなった。周囲にも同じような人が大量にあふれていて、授業に真面目に出る人の方が珍しいといった感じだった。一方の妹は、ちゃんと授業に出席して、家では課題のレポートを書いていた。私から見るとよくわからない内容のものだったが、妹はイヤイヤやっているという感じはなく、面白さを味わいながら学んでいるようだった。

大学生活が始まって半年もしないうちに、私は察した。ネームバリューなんて本当にただの飾りで、その中にいる人の自信やプライドを保つためだけのものであると。もちろん就活で有利になったり、社会的身分を示すのに好印象だったりなどの利点はある。でも、今この瞬間の充実度を比べた時、ネームバリューは全く関係ないように思えるのだ。それよりも中身を重視した選択の方が、圧倒的に自分にとって幸せな気がする。

私の大学の友達は、大学にプライドを持っていて、この大学に通っている自分に自信を持っている。だから私が妹の大学名を教えた時に、なんか悪いこと聞いてごめん的な反応になる。

それは仕方ないことだと思う。私はたまたま双子の片割れという身近な存在がかなり環境の違う場所にいるおかげでこう感じることができるが、妹がいなければ、今書いたようなことには気づきもしなかっただろう。

でも、そういう周りの人に飲まれて、私まで大学名に気を使うようにはなりたくない。もともと大学名につられて入学を決めた自分がこんなことを言うのはめちゃくちゃかもしれないけれど。

だから、大学の友達に妹の学校名を言う時に、私が先に気まずさを感じてしまうようのはやめたい。結局自分が一番気にしてるじゃないか、よくないぞ、とツッコミを入れなければ。せっかく妹のような貴重な存在がいるのだから、私は周りに飲まれず感じたことにまっすぐいたい。

一個上の先輩の就活が終わって、一気に同期が就活モードに切り替わった。私も夏のインターンの応募をしなければならない。例によって周りの友達は有名な大手企業を受けまくる。もちろん私もチャレンジできるところまではしてみるつもりだ。でも、企業のラベルに気を取られて、本当の充実感を見失うようなことにはならないようにしたい。