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2022ー23 プレミアリーグ 第13節 トッテナムvsニューカッスル マッチレビュー~何もかもが物足りない~

トッテナム1-2ニューカッスル

得点者(TOT)
54' 10ハリー ケイン

得点者(NEW)
31' 9カラム ウィルソン
40' 24ミゲル アルミロン

両チームのフォーメーション

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マークの担当は改善するも

 前節、マンチェスターユナイテッドに敗れたトッテナム。今節は直近のリーグ戦6試合負け無し好調のニューカッスルをホームに迎えての一戦となった。

 欠場が続くクルゼフスキとリシャルリソンに加え、ホイビュアとロメロまでが怪我でこの試合を欠場。その代わりにサンチェスとスキップが先発出場を果たした。また、ノースロンドンダービーで退場処分となったエメルソンがこの試合から復帰となっている。

 この試合もユナイテッド戦同様に、前からプレスをかける意識を高めるトッテナム。ニューカッスルもユナイテッドと同じように保持は2-3-2-3みたいな形になっていた。

 そのため、前節起ったSBどうするねん問題が再発しかねなかった。それでもこの試合はそこへの解答は用意して臨んだ。IHのベンタンクールとスキップがそこへの対処をニューカッスルの中盤より優先度高めに監視する策を取っていた。

 なので、トッテナムのIHがSBに行った際は、HVの選手がニューカッスルのIHに着いて行くようになった。これにより前節よりもマンツーマンの要素は強めといった感じである。ちなみにアンカーのギマラインスにはビスマが監視しするため、全体的に前のめりで守る感じだ。

 それでも開始早々に捕まえに来たサンチェスがレイオフによって無効化されるなど、怪しい雰囲気が漂う。SBからの斜めのパスはIHの頑張りによって遮断できるようになったが、中央からの破壊されるケースが多かった。

 それに加え、前線はハイプレスをかける!というよりも、チンタラボールを追いかける感じ。一応コースは切ってますって感じなので、蹴らせてセカンドボールを拾いたい感じだったように見えた。

 ただ、全体的に怪しい場面は多いので、ぶっちゃけいつやられてもおかしくない状態は続く。特にハーフェーラインを先頭にした際の守備が何を目的としているのか分からなかった。前線がチンタラとプレスに行くため、相手のDFラインから簡単にボールを蹴らせて背後を奇襲される。

 4分にあったジョエリントンのダイアゴナルランでエリア内に侵入された時点で裏に蹴られたらマズいなという感じは漂っていた。

 背後を取られやすい理由としては、DFラインがコンパクトな陣形を保ちつつ割り振られたマーク担当を遂行するためにラインを上げる。そのため出し手が自由な状態ならば背後に向かって良いボールが飛んできてしまう。それがこの試合の1失点目である。

 詳しく紐解くと、まずラングレがロングスタッフに出ていった。これは、マンツーマン要素を含み陣形をコンパクトにするためにはセオリーの守り方だと思う。その結果、ラングレが出ていったスペースに動き直したカラム ウィルソンに背後を取られている。

 ここは、背後を取られたDFラインや中途半端な対応をしたロリスにも非があると思うが、それよりも蹴らせたソン、もしくは守り方の構造的な欠陥が原因だと思う。この場面は同数で捕まえに行ける場面だったし、相手のバックパスを合図にソンがシェアにプレスをかければあんな簡単に蹴らせることは無かった。

 個人的にはハイプレスがあってこそのハイラインだと思っている。ラインを高く保ってコンパクトな陣形を整えるのなら、前線はボールホルダーに自由にボールを蹴らせてはいけない。

 もし、仮にソンのあの対応がOKならば、機動力の無いDFラインで背後のスペースを根性で守ろうとする前提が破綻してる。DFラインと馬力のある相手が対峙した際に、ぶち抜かれまくっていたのはユナイテッド戦からも見られていた部分なので、何時かはこういう失点が増えるかもなと思っていた。

強引なスピードアップしか無い

 保持の面でいえばこの試合もビルドアップの機能はイマイチ。基本的には相手に蹴らせてセカンドボールを回収を目指していたが、ニューカッスルのカウンタープレスにDF陣がバタバタする時間が多めである。

 自陣からセットしてゆっくり繋げます!となっても、ハイプレスをかけてくるニューカッスルの前線にビビりながら爆弾を押し付けあう形で脱出を目指していた。

 攻撃で良い形が生まれていたのはビルドアップからよりも中盤で引っ掻けてのロングカウンターの方。この際、WBのエメルソンやスキップがスペースに突っ込んで来るシーンが多かったのは良かったと思う。

 特にスキップはここのダイナミックな上下動が非常に良い。味方を追い越してスペースにアタックするのは、途中出場を果たしたフランクフルト戦でも見れてた部分だし、それをリーグ初先発となったこの試合でも見せてくれていた。

 ビルドアップで良かった場面で言えば、やはりビスマを経由できた時だと思う。彼が広いサイドに出せた時は上手い具合にスピードアップが出来ていた。

 しかしこのビスマを使う意識は全体的に低い。このチームにレイオフするという文化が存在しないため、ビスマに落とせば良い場面でも強引に前を向いてスピードアップするシーンがあったりしたのは気になった。

 特に19分のソン場面は何かはそんな感じである。ベンタンクールがロングスタッフを引き連れたスペースにソンが入って来た所までは良かったが、強引に前を向いて相手に特攻してボールを奪われている。上記の画像の様にワンタッチでビスマに入れば、そこから右サイドに展開したり、ケインに差したりして前進出来たはず。

 2失点目はロリスのディストリビューションの低さからWBのところでハメられての失点。ここまで絶好調のアルミロンにセセニョンとラングレが千切られてしまった。

 保持からハメられたのも痛かったし、上記の項目で書いた様に馬力のあるアタッカーと対峙した際の弱さを露呈してしまった。ラングレさん、足揃えたらそりゃぶち抜かれますって…。

謎のコンバートをした後半

 前半を2点ビハインドで折り返し、迎えた後半。サイドから押し込める時間が増えていった。セセニョンが常に高い位置を取るようになったので、そこを使えたのは巻き返しを図る上で良かった部分である。

 そして54分。コーナーキックをニアサイドで反らし、最後はファーサイドで待ち構えていたケインが頭で押し込んでゴール。速くもシーズン2桁ゴールを達成した。

 しかし、これ以降はニューカッスルの試合巧者ぶりに歯が立たなかった。流石はリーグ最少失点のチームだし、アウェイゲームということもあって時間を使われてしまう。

 そのためトッテナム目線で言えば見応えの無い展開になる。驚いた部分で言えば、ルーカスがトランジションで輝くようになったことや、エメルソンが右HVにコンバートされてヤバいプレーを連発してたことぐらいのはず。

 エメルソンが自陣のエリア内で、自分のゴール方向むきながら横パス受けたシーンはマジでヤバかった。バックステップ踏んで身体の向き変えろよ。あと、ドハティはやっぱり良かった。

 というわけで試合は1-2で敗戦。連敗と同時に、ホーム初黒星を喫した。

雑感

 ユナイテッド戦の内容とこの試合のスタメンを見た時に覚悟をは決まっていたが、まぁ結構な試合を見させられた感じはした。

 中3日でガラッと変わるなんて無理やろ!って言われればそれまでなのだが、チーム作りが昨年から始まっているのを考えれば、個人とチームの成長速度は明らかに遅い。

 試合を重ねてもチームとしての戦術や、個人に振り分けられるタスクとそもそも兼ね備えている技術やサッカーIQが一向に向上しないままである。一番輝いてるのが新参者のベンタンクールなのも、彼が賢くて技術があるからである。正直納得でしかない。

 筆者がここで思ったのは、「個人のスキルアップ」と「チームの戦術」の両方を中3日ペースで来る日程の中で落とし込むのは無理なのではということ。この両輪を回しながらトレーニングをしなければならないため、チーム作りのペースが遅いのかもしれない。そう考えるとコンテが補強を求めていたのも分かる。

 彼が能力のある選手を欲しがるのは、ある程度賢くて技術のある選手であれば、チーム戦術を落とし込むだけで済むからなのではないだろうか。そうすれば両輪を回す必要は無いし、チームの成長速度も変わってくるはず。まぁ詳しくは分からんけど。

 ただ、今はこのメンバーで戦うしかないので、今あるリソースを試して最適解を見つけて欲しいところではある。それでダメならコチラも諦めます。

 ということでワールドカップが始まるまでは、こんな感じで試合を消化していくと思われる。難しいけど乗り越えていくしかない。

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