でも、思う
外に出て星空を見てたら光るモノが!
しかし、それはUFOではなくホタルだった。
なぜホタルが光るのか?
それは、お尻の近くにある発光器の中にある分質「ルシフェリン」と発光をサポートする酵素「ルシフェラーゼ」の2つがホタルの体内にある酸素が反応することによって光を放つのだ。
生き物なのに光を放つなんて、なんて神秘的なんだ。
しかも、成虫になって飛び回れるのは、たったの一週間だ。
その間にオスは相手を見つけて交尾をしなければ、何も残せず死んでしまう。メスも産卵後に死ぬ。
特にヒメボタルのメスは3日しか命がない。さらに飛ぶことも出来ないため、光を放って必死にオスにサインを送るのだ。
なんて、儚い人生なんだろう。
人間はどうだい?
今の人生を精一杯生きてる人は何人いるかな?
まさか、自分だけはずっと生き残るような錯覚に囚われてないかい?
俺は、人生の時間がまだまだあるような気がして、毎日を無駄に生きてる。
もしかしたら、もっと違う人生があるんじゃないか?
これから、別の道があって、今から人並みの幸せがあるんじゃないか?
そんな勘違いからか、何も始めようせずに限りある時間を無駄に過ごしてる。
でも、逃げ癖の付いた人間には、もう選択肢は限りなく少なくなってる。
それが、逃げ続けた人間の罰だ。
もちろん、いろいろなことから逃げ続けて人間関係が希薄になることによって、人間関係での悩みや苦しみはまったく無くなった。
人に嫌な事をされないし、他人から嫌な言葉も言われない。
そこにあるのは、ストレスゼロの快適な毎日なのは間違いない。
でも、思う。
俺と違って、今、夫婦間や人間関係で悩んで苦しんでる人の時間は決して無駄な時間ではないと思う。
ホタルの生涯が短命であっても、子孫を残すことが正解であるように、人間は人と関わりあって生きて行くのが正解なのだ。
だから、今、人間関係で苦しんでる人は間違いなく人としての人生を精一杯生きてる。
もちろん、悩みがないに越したことはないけど、人とのぶつかり合いがない人生など、残るのは虚しさだけだ。
俺の人生の時間はホタルの寿命より遥かに長いけど、ホタルの生涯の方が俺の人生より遥かに光り輝いている。
俺の人生の光はホタルの小さな光の輝きに負けているのだ。
俺はこんな思いに浸りながら、ホタルの光が眩しくてたまらない夜を過ごした。
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