ゼロバンメ

こんにちは。
私です。

え?だれかって?
嫌だなあ私ですよ私。
いつも一緒だったでしょ?
……しらないって?おかしいなあ。
私はいつだって貴方と一緒にいたんだけどなあ。
どうして知らない振りをするんです?
どうしてわからない振りをするんです?
ストーカー?いやいや違いますよ!なにいってるんです?

おや、これは困った。
本当に覚えていないようだ。
嫌ですねぇ水くさいですねぇ。
……荒療治、してもいいですか?
いやね、私も、こんなことは本当はしたくないんだけれど、あなたが覚えていないのがいけないんですからね?

苦しいですか?それは申し訳ない。

痛いですか?それは預かり知らない。

・ 

怖いですか?それはもう消えない。

私は、あなたのキズですよ。

そう!
ここは悪夢のなか、あなたは囚われ。

ええ、そうです。
私、漸くあなたとお話しできる場所を手に入れたんです。

いつもあなたとお話ししたかったんだけれど、あなたはいつも聞こえないようだから。
つい、来てしまいました。

余計なお世話、早く帰ってほしい、わかります、わかりますよ。その気持ち。
ええ、誰でも、私でも見たくはありませんものね、自分の瑕疵なんて。
でも、このままじゃああなたとわたしは共倒れです。
おや、それも覚えていませんか?
そうですね、この悪夢はあなたが引き起こしたんですよ。
目が覚めない、わるいゆめなのに、それはそうでしょう。
あなた、自分で目を瞑ったんですよ。

え?
まあ、そうですね。
私は、確かにあなたとお話しできたらと思ってここに来ましたけれど。
この場所はあなたが作ったものですから。

さあ、そろそろ旅路へ参りましょう。
あなたのキズ、一つ目のキズへ……。
大丈夫、ただ、苦しく、痛く、怖いだけですよ……

おこころづけ