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死ぬかと思った…4

身内や大切な人を見送って、「」に対して、
非常に過敏になった。

他人の闘病のニュースも、亡くなったニュースも、
耳を塞いだ。悲しみからの、拒絶反応だ。

(感情が揺れることに耐えられなかった)

立ち直れる訳が無い。


母が亡くなった、数年後、
ある有名女優が、同じ病気で、
しかも、同じ歳で亡くなったことをよく覚えている。

夏目雅子さん


夫は、作家の伊集院 静さんだ。


私は本を読むのが、好きなので、当然、書店で目にする機会があったけれど、私は完全に避けた。

あまりに辛い死別を、立場が違えど、経験しているからこそ、読んだら、最後、立ち直れなくなるに決まってるからだ。


あの絶望感…

あんな辛い思いはしたくない…

もう絶対に…

自分の弱い部分を守ってきた。


それを頑なに守り続けて来た。


娘が幼稚園で、息子が一歳の頃、

「死んでしまおうか…」と思った時期がある。

何もかもを終わりにしたかった。

美容院のシャンプー台での、パニック
人生、終わりだと思っていた

自分が幼少期に母を亡くした経験から、
自分の子供には、同じ辛い思いをさせたくない。

そんな責任感を持ってはいたが…
睡眠不足と、投薬のストレスが限界で、
冷静な判断を失いかけていた。

自宅のベランダに立ち

下を見る
(4階からじゃあ、即死出来ないかも…
臨終の時、苦しみたくない…)

まだ別の機会はある。
(部屋に戻って鍵をかける)

子供の寝顔を眺める。




ソファに横になって眠る。

萩原くんが横にいた。

『あれ…生きてたの…?』
私の間抜けな問いに、彼が笑う。

『生きてるさ…それより、母親になったんだね…乗り越えたじゃないか!また、乗り越えられるよ…ボクは出来なかったけど、あれは寿命だったんだ。キミが気に病むことはないんだよ、それを伝えたくて…』

肩をポンとされて、目覚めたら、夢だった…


たかが夢、されど夢。
(内容もタイムリー過ぎた)

何度か変えられた処方箋も、効き始めていた。


病院の帰り道、書店に飛び込み、
何故か、伊集院 静さんの書籍を手にした。

それから、「大人の流儀」シリーズ、
それでも前へ進む」と、今までの押し込んでいた
感情を解き放つように、読み漁った。

自分が驚いた。

(救われた)


私の前の妻は若くして病死した。
その通夜の席で、彼女の祖父に斎場の隅に呼ばれ、
言われた。
『君は若い。良い女性がいたらさっさと次の家庭を
持ちなさい。いつまでも追いかけていたら、周りも
不幸になる。それが大人の生き方だから

私は何を言い出したのだ、と驚いたが、
今はわかる。
去っていく人を、去っていった時間を、
追ってはいけない。
立ち止まる 勇気を持ちなさい。

(大人の流儀 追いかけるな より)

(好きな表紙だ)


別れはおわりではなく、始まりである
二十歳の時、十六歳の弟を喪くした。
三十五歳の時、愛する妻を喪くした。
理不尽な別れに神を呪ったこともある
酒に溺れ、無気力な日々を過ごした。
だが、いまならわかる。
出逢えば別れは必ずやってくる。
それでも出逢ったことが生きてきた証しで
あるならば、
別れることも生きた証しなのだろう、と。

(大人の流儀 別れる力 より)


ぐんぐんと水を飲むように、書かれている文章が、
私の心から全身に漲るものを感じさせた。

言葉が、こんなに強い力を与えてくれるとは…


それから寛解への一歩へと続く。




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