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フードロスの現場リアリティ

八百屋をやりながらDAIDOKOROの運営もやっている、西喜商店の近藤です。

最近、フードロスに興味がある、解決に何かをしたいという相談を多くいただきます(特に学生がとても多い!)。でも実は、京都中央市場に出入りしている八百屋として、一般の人がイメージするフードロスと、農業・流通・小売の現場で起きていることには、大きなズレがあるんです。

そこをなんとか伝えられないだろうか?そんな思いから、生産、流通、調理加工の最前線で活躍する4名を招いての座談会を企画しました。題して「ここが変だよフードロス」。有機農家の音吹畑さん、農家からの直仕入れの為毎日畑に行く八百屋のGg’sさん、食のアトリエを主催する料理家の円卓さん、飲食店で働きつつ個人でも料理人として活動する吉田さん、それぞれの現場で起きているリアリティを語っていただきました。

左から吉田さん、円卓さん、音吹畑さん、角谷さん

以下、印象に残った言葉や内容をいくつかダイジェストでお伝えします。

■生産現場のロスと、調理現場のロス
「思ったように野菜が育たなかったり、思ったように売れずに捨てることはあります。」
これは、音吹畑さんの言葉。
一方で
「基本的にロスはありません。出汁ガラも使い切る工夫をしています」
とは、円卓さんの言葉。
川上(生産現場)に近づけば近づくほど廃棄が起こる一方で、「使い切る意識を高く持っていれば」調理現場ではあまり廃棄が起こらないという話は印象的でした。

円卓 庄本さん

■廃棄=悪なのか?
廃棄にはどのような影響があるのか?という大切な問いかけもされました。有機農法という栽培方法に取り組む音吹畑さんでも廃棄は起こるという話に、「やはり…」と思う参加者の表情。ただし、廃棄といっても生産現場では畑に鋤き込む対処をしていて、環境への負荷は限定的という見方もできます。「畑で野菜が廃棄されることにそこまで罪悪感はなくて、むしろ流通に乗ってからの廃棄はゴミにするしかなく、そちらの方が環境負荷は高いのでは」という話の展開に驚かれていました。

音吹畑 高田さん

■規格外野菜へのホンネ
フードロス削減についての話題で必ず登場する「規格外野菜」という言葉。廃棄するしかない規格外品を安く売ってほしい、と農家も八百屋も一様に言われたことがあるようですが、それが必ずしも嬉しい言葉かというと……?

「それよりもビシッときれいに作られた野菜を売りたい」と農家の本音をのぞかせる音吹畑さん。そして八百屋のGgsさんも「なぜ規格が存在しているのかを理解してもらった上で規格外野菜について考えてもらえるならまだしも、安物狙いで来られるのはビジネスとしての利得も無くモヤモヤします」と呼応しました。

Gg's 角谷さん

■食材を「使い切る」
二人の料理人からは、「使い切る」ことへの心がけをお話しいただきました。ケータリングやお弁当を主軸にされている円卓さんからは、必要な分だけ仕入れる意識を。飲食店で働く吉田さんも、多くのスタッフと働く強みを活かし、余ってもスタッフで食べきることを念頭に置いて調理されているお話をいただきました。

「余分に仕入れず、あるものを使い切る」の精神。これは一般家庭でこそ発揮されるべき。フードロス削減の第一歩は、実は川上である産地や流通ではなく、川下であるみなさんの家庭の冷蔵庫から始めるべき、というメッセージが送られました。

現場で起こっている現実に耳を傾ける参加者のみなさん

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フードロスのリアリティ、会場に来れなかった方にも少しはお伝えできたでしょうか。企画をした近藤としては、規格外の野菜をレスキューすることこそがフードロス削減への第一歩と思い込んでいた参加者のはっとした表情を見た時に、まさに「ここが変だよフードロス」を考えるきっかけになったと嬉しくなりました。
コミュニティキッチンDAIDOKOROでは、美味しく楽しく飲んで食べることに加えて、今回のように食にまつわる様々なテーマを深掘りするような企画を今後も続けていきたいと思います。ぜひ次回をお楽しみに!

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