海を望む小さな食堂、花鳥風月。
特別じゃない、なんでもない日を祝いたい。
創作和食と美味しいお酒、思い切りの笑顔でお待ちしています。
これは、そんなお店のしあわせな夏の日の物語。
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#ドローイング
連作短編「おとなりさん 〜海の見える食堂から」#2
第二話「看板娘」
茹だる夏の夕、と、季節と気温以上に真夏感を感じさせてくれる歌が小さなスピーカーから届けられたのは、ある、土曜の午前十一時半。うだるって、どんな漢字だっけ。
茹だるとまでは言わないけれど、窓から射し込む陽射しはすでに夏。床に揺れる陽だまり。
まだ五月。まだ午前。夏でも夕でもないけれど、空調が入る前の店内清掃は充分に夏の暑さで、作務衣を着ていた私はしっかりと汗をかいていた。作