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文科省さま、歴史の勉強方法を180度変えて、面白くしませんか?

 ずっと前から思っていることなんですが、学校で歴史を学ぶとき、必ず大昔から順番に現代へと、時間軸を下ってきますよね。
 例えば日本史なら、縄文時代、弥生時代、大和朝廷、大化の改新、奈良時代、平安時代・・・とか、そういう風に。
 これだと、歴史はみんな過去の遺物、今のボクたちと直接つながってこない、教科書の中だけの世界みたいで、なんだか実感がわかないし、そもそも面白くない・・・。

 例えばボクは昭和の田中角栄ロッキード事件や、湾岸戦争を生のニュースの肌感覚で知っているけど、たぶん平成生まれの人たちにとっては、田中角栄なんて歴史上の人物で、織田信長や伊藤博文と変わらないほど、実感のない存在に思えているはず。

 でも、ボクの父は太平洋戦争の時、軍需工場でゼロ戦を作っていたし、おじいさんは関東大震災を当然知っていました。そういう話を、ご飯を食べながら世間話のように聞いていたから、ボクにとって太平洋戦争も、ゼロ戦も、関東大震災も、大正時代のモボ(モダンボーイ)やモガ(モダンガール)のことを、ウクライナ戦争や東日本大震災と同じように、ちょっと前に起きた、あるいは今起きている日常の出来事として肌感覚で感じます。
 つまり、歴史ってのは、今の地続きの過去のことで、決して今のボクたちと無関係ではないのです。

 だから、歴史の学び方は、父母や、祖父母の時代の話から始まって、順番に、平成→昭和→大正→明治→江戸→安土桃山→戦国→室町・・・・と、現代からさかのぼっていった方が、とても分かりやすいし、面白いと思うんです。
 だって、自分が今この世に生きているということは、そのご先祖様が必ず江戸時代にも、室町時代にも、奈良時代にもいたはずなんですから。

 「歴史さかのぼり教育」の学び方の利点は大きく2つあると思うのです。

 その①は、何といっても、その事件や事象がなぜ起こったのかを、クイズのように探り、考えながらさかのぼっていくことで、歴史の大きな流れを理解しやすいこと。
 日本だけでも何百万人も亡くなった太平洋戦争が一体なぜ始まったのか、今から考えると勝てるはずのない戦争なのに、なぜ日本は真珠湾攻撃に踏み切ったのか?そこまで追い込んだのは誰で、どの国で、なぜそうしたのか?そうすると、西欧列国の植民地主義やアメリカのたくらみがよくわかるし、そうした政治的経済的な為政者の野望や矛盾が、今となーんにも変わっていないことがよく分かるから、とても興味深い。
 だいたい、自分のご先祖様がチョンマゲをして江戸時代の街道を歩いていたなんて想像したら楽しいし、なんで徳川慶喜が政権を投げ出し、江戸幕府が崩壊したのかも、さかのぼって考えた方がわかりやすいでしょ。

 その②は、歴史をさかのぼって大きな流れの転換期の理由を探ってみると、それが現代の政治経済の事件や紛争などが起こる理由とほとんど変わっていないことに気づき、「今」を理解できる力が身につくこと。
 なぜイスラエルがパレスチナにあんなにしつこく攻撃をするのか、パレスチナの人たちは、なぜイスラエルやアメリカをあれほど憎むのか、その理由を時代をさかのぼって順に探ってゆくと、日本人のボクらでも、そうか、とわかってきます(ものすごい大昔までさかのぼれます)。

 例えば2001年のアメリカ同時多発テロは、平成生まれの人でも同時進行で、あるいはその後のニュース映像で知っていると思います。何の罪もない旅客機の乗員乗客を巻き込んで、大勢の人が働く貿易センタービルに2機も突っ込み、ビルがすべて崩落したあの映像は、物凄くショッキングで、歴史に残るテロ事件でした。多くの人は「テロリストたちはひどい奴らだ!」「それを指揮したアルカイダとかビンラディンとかいうやつらを許すな!」とか思ったでしょう。
 もちろんテロ事件そのものは言語道断、許されることでは決してないのですが、ではなぜ、あの時、飛行機を計画的にハイジャックし、なぜ、わざわざ細長い貿易センタービルを選んで突っ込んだ(ぶつけるのは難しいはず)のでしょうか?なぜ、あそこでなければならなかったのか?
 歴史さかのぼり教育を受けていると、そこに考えが及ぶようになります。
 ロクな軍備も核ミサイルも何も持たないイスラム系過激派の人々が、にっくきアメリカに一矢報いるのは、まさに的確な標的だったのです。

 ボクはあの事件が起こる12年前、現地で知り合ったアメリカ人の知人を訪ねて、研修中の自由行動の日、わざわざ一人で貿易センタービルに行ったことがあります。ビルの中では多くの階で、ものすごい数の金融取引会社が、株や金融の取引を行っていました。ボクはその光景にびっくりしました。
 あのビルは、世界中(特にグローバルサウスと呼ばれる、南半球の貧しい発展途上国)から搾取した富を、「株」「証券」など「金融資産」の形で売買し、アメリカなどの一部の先進国のお金持ちが取り引き独占する、いわば、アメリカ金融資本主義のまさにシンボルだったからです。
 職もなく、搾取されるだけの貧しいイスラム系の人たちにとっては、あのビルが、まさに鬼が城のような悪辣な人々の根城のように思えたことでしょう。
(ものすごく大雑把な説明ですみません。)

 こうした歴史的事件や事象を、何の偏見もなく、ニュートラルに学びその背景を理解することは、今後そのような事件が起こらないようにするためにも、とても大切なことです。
 そして、歴史をさかのぼって学ぶということは、そうした人間の欲望の黒歴史を、ちゃんと理解できる(はず)ということなのです。

 と、久しぶりにまじめに論を進めていて、ふと、今気づきました!

 そうか、だから国家権力にとって、この学び方はまずいのか!

自分たちがいかに庶民に内緒でひどいことをしてきたのか、全部バレちゃうもんね!
おおお、くわばらくわばら。


文責 birdfikm:増田達彦

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