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飼育日記「めだかのきもち」’24大暑👒深大寺「陣屋」

ガガブタ(鏡蓋)の花が咲いた。名前通り大きな手鏡の蓋のような浮き葉の裂け目から、早朝、白い蕾が立ち上がったと思うと、間もなく小さな5弁を広げる。そして夕方には萎んでしまう。

早朝 決まって2個揃って ちょこんと蕾が顔を出す
 5弁の花は 直径1センチ

水草の花はどれも慎ましく儚いところが好ましい。メダカがやって来るまで縁がなかった花たちが、猛暑のベランダに少しだけ清涼な空気を運んでくる。

水草が水面を覆い尽くさないよう 毎朝トリミング
水草が優勢になると 植物プランクトンは劣勢に
水が澄んできて 底砂まで見通せる

次世代に命を繋げるのに、これまでの、卵を採取して室内のガラス鉢で孵化を待つ、というやり方を変えることにした。

昨秋求めたヒメホタテアオイの根が、産卵床として実に有能ということがわかった。根に卵が付いているのを確認して、そのまま稚魚の住処に移すだけ。孵化がすっかり終わった株は、別の株と交換。

口の小さい稚魚なら、孵化したての針子も捕食される心配はないし、孵化後環境が変わることのリスクも無いので、生存率は上がっていると感じる。

命の継承に人間の手が加わるのを、最小限にする事にもなる。

水草が少ないこちらは 植物プランクトンが優勢
栄養豊富な グリーンウォーターを保つ
根についた卵から糸屑のような針子が ポツリポツリ

稚魚が2センチほどに育ったら、ルーフの親メダカの住処に移る。今の所、スペースに余裕があるので、スムーズに循環しているが、許容範囲を超えそうになったら、卵の隔離は控える。

夏の間に稚魚になったメダカは、初冬までには外で冬眠出来るほどに育つ。そして来春には親になる。

トロ舟に被せた籠と葦簀の間に 特大保冷剤を6個挟む
37°超えの日は 2枚目の葦簀の囲い
日陰になる昼には 全て撤去

涼しい内に部分水換え、葦簀と特大保冷剤で温度管理、水草のトリミング、ぐんぐん増えるスネイルの駆除。

健康で快適に過ごしてもらうための、夏の朝の欠かせないルーティンである。

             🏠

月に一度、整体を受けに深大寺に行く。先月、西参道を歩いていくと…

!あの蕎麦店が取り壊されている。

美味しく、スタッフがいつも温かく迎えてくれた大好きな「陣屋」さん。蕎麦通が通った人気店が大将の体の不調で閉店。しばらくそのまま住んでおられたが、春先には引っ越された事は聞いていた。

けれど、趣のある店がそっくりなくなってしまうなんて!流石にショックだった。

ガラス越しに いつも大将が蕎麦打ちしていた
仕事場と打ち台は 既に無かった

いつかグルメ雑誌に「陣屋のおやじは時々吠える」と書かれた大将。いつもニコニコ顔なのに?と訝しんでいたら、ある時"現場"に遭遇。

表で盆の設をしていた女将に指示が上手く伝わらず、厨房からわっと何か怒鳴ったのだ。隅の席で食べ終わり、お茶を飲んでいた常連さんらしき男性が、「おやじ〜、な〜に怒ってんだよ〜」とのんびり声を掛ける。

大将はすぐに機嫌を直して照れ笑い☺️

閉店の数年前、店先の手作りの水車を作り直したばかり。水車が回っていれば営業中の合図だった。店内の何枚もの自作の油絵は時折差し替えられていた。若かりし頃に、ナビの仕組みで取った特許状も額に収められていた。

器用で才能に溢れた人は、相当なやんちゃ坊主だったと、隣接の幼馴染、曼珠苑の女将が笑う。

チャーミングな大将と気さくな奥様、スタッフのお二人が、仲良し家族のような心地良さで迎えてくれた。

食通が太鼓判を押す、界隈で一番の手打ち蕎麦だった。

本当に寂しい。

お向かい「湧水」さんの サラダ蕎麦
 行列の絶えない人気店 

西参道入り口角にあったケーキ屋さんが、いつの間にか閉店。跡地には動物病院が建つらしい。その向かいの角、品の良いご老人がいつも箒で家周りを掃き清めておられたお屋敷は、今は住む人がおられないようだ。

これからどんな景色になっていくんだろうか。

 7月22日
 陣屋さんは  更地になっていた


          

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