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すきなほん。

心/夏目漱石

いろんな読まれ方があり、なのが小説のよいところですが。この先生の話を聞いている、私。実は、Kだったり、先生自身だったりする、と考えて読むと。父の危篤で列車に乗る、チグハグな感じで、いろんな人はいろんな読み方を推奨します。『三四郎』もいろんな読み方できるし、奥が深い。しかもこれとか、新聞小説、毎日連載でこれを書く、夏目漱石、素晴らしいです。


八月の光/ウィリアム・フォークナー

『ノルウェーの森』でもこの本、読んでましたね。



誕生日の子供たち/トルーマン カポーティ







心は孤独な狩人 /カーソン マッカラーズ 



夜の病室/吉行淳之介



失われた時を求めて/マルセル・プルースト




盗賊/三島由紀夫




水声/川上弘美






火山のふもとで/松家 仁之 

雑誌編集者を経て作家デビュー。読売文学賞。建築設計、コンペ。先生の姪との恋愛。数年後、主人公は、誰とこの山の会社のあの夏の別荘を訪れるのでしょうか。素敵です。




彼女 は 一人 で歩くのか?/森博嗣

シリーズの一作目は、力が入るものですが。単行本化せず、最初から、文庫本で発売、森博嗣の希望だそうです。本はそもそも文庫だと。



2666 単行本 – 2012/9/26
ロベルト ボラーニョ (著), 野谷 文昭 (翻訳), 内田 兆史 (翻訳), 久野 量一 (翻訳)

どんな本が好きか、と言われたなら、これですわ、これ。値段も高いが、内容も素晴らしいし、何しろ、話が面白い。ぶっ飛びます。ぜひこれ、おすすめ。他の本は、脇に置いておいて、とりあえず、買って、是非、読んで欲しい。引きつけて離してくれないパワーがあります。どっぷり物語に嵌まり込んで。


罪と罰

フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー

人間として、最低なドストエフスキーさんです。賭博に狂い、原稿料前借り、それでも借金、わざと自分を貶める苦しいまでの恋愛沙汰。若い女に猛烈アタックして妻にして、口述筆記を強要する。家庭教師を丸め込み、少女が一人で入浴した、裏のドアを開けて浴室の中に入っていくドストエフスキーさん、最低です。そんな中から数ある文学奇跡のうちの一つの作品です。『悪霊』『白痴』『カラマーゾフの兄弟』そもそも、『カラマーゾフの兄弟』はドストエフスキーが描きたかった主人公のアレクセイの子供の頃の、いわば前史、革命とリーサとの大人の恋愛などの書かれなかった本編のおまけの話。書かれる前にドストエフスキーが死んでしまった。ifの話は、ない。どれ読んでもいいけど。僕はこの『罪と罰』の、現代でも、何件も、それで殺人事件が今なお起こっている、中年のおっさんが若い女性を襲う、それはどの娘、そんなニヒリズムの権化であるスヴィドリガイロフ、最低野郎です。シベリアでの生活、ソフィアの力強さ、いいですねえ。犯行してすぐにドアにノックの音が。犯行後、部屋を出たら、階下からペンキ職人二人が階段を登ってくる声と音がする。どこかに隠れなくては。犯行を告白する、その壁の向こうに耳を澄まして聞いている人がいる。ドキドキする展開。いいですねえ。新潮文庫のドストエフスキーの顔が怖い。こちら、亀山訳がいいわ。

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バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー) 新書 – 2006/1/1
村上 春樹 (翻訳)

「バースディ」に関する小説をオムニバスに村上春樹が翻訳して、自作も入れているアンソロジー(異なる作者による作品を集めたもの)な短編集。

巻末にある村上春樹『バースディ・ガール』は他の本で読んだことがあるが、この本のすべて読んではない。なぜかわからないが、感動したのか、最初に収められている、ラッセル・バンクス『ムーア人』を5回は読んだ。今は年老いた老婆と中年のおじさんがレストランバーで再会する。昔のことを懐かしむ。いい話です。


砂の上の植物群 (新潮文庫) 文庫 – 1966/4/27
吉行 淳之介 (著)

矩形(くけい)のトランクが置いてある。

化粧品セールスの37歳、伊木一郎。

それは、死んだ父親と彼との関係である。
その人物は、十九歳で彼の父親となり、三十四歳で死んだ。

唇を真っ赤に塗った高校三年生と出会う。

「あたしの姉を、誘惑してしまって。そうしてほしいの」
「無いわ。気違いみたいになって、噛む男がいるのよ」
その瞬間から、明子が溶けはじめた。
「この部屋ではやめて」
「さあて、どんな女になっていたものか。老人はいとおしむ口振りだったよ。可愛がっていたらしい」
 津川京子は、父親の遺した凶器ではなかった。しかし、今では紛れもなく、伊木一郎の軀に鋭い刃先を突きつけている凶器となっていた。彼は、かすかに軀を揺すった。大きな皮膚の袋の中に詰まった無数の細胞をたしかめるように、軀を揺すった。


不思議だ。ほんと、不思議だ、この年齢になっても、感動する本、小説に出会えることが。多分、自分が死ぬまで、”新しい発見をした”と驚嘆する本にこれからも出会うだろうと想像できる。これからは生身の人間の出会いはなくなるが、本との出会いがそれを埋めてくれるだろう。あるいは生き物、動物は飼わないので、植物に興味がある。玄関を開けると、朝、鳥が囀る。愛おしくなる。


過去への旅 チェス奇譚 (ルリユール叢書) 単行本 – 2021/6/28
シュテファン・ツヴァイク (著), 杉山有紀子 (翻訳)


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