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SOWさんより子どもの居場所について学ぶ

1/27(土)全職員が参加する法人全体研修が行われました。全員が参加する研修は年に一度だけ。総勢100名以上のメンバーがオンラインとリアルで繋がり、研修を受講しました。
 
研修のはじめに奥山理事長より「みんなで同じ話を聞き、それぞれの現場で解釈をし、自分たちの活動につないでいくこと、思いを馳せることは大切」との言葉があり、参加者の研修への意気込みが高まりました。

次に、2023年度4か月児健診アンケート調査の結果についてどろっぷサテライトより報告がありました。

区と共同で実施しており、妊娠期からの切れ目のない支援を目指して、産前産後のニーズを把握するための調査です。いろいろな結果が数字で出ていますが、私が気になった数字は、アウェイ育児の多さ。(アウェイ育児とは…自分の育った市区町村以外で子育てすること)横浜市は、以前からアウェイ育児が多く、令和4年には、父が64.9%、母が67.6%でしたが、令和5年には、さらに増え父が78.4%、母が74.2%でした。どんどん増え続けています。私自身もアウェイ育児でした。子どもが生まれる前までは、感じることのない孤独を感じました。馴染みのない土地での子育て、地域とのつながりの必要性をより一層感じました。その地域との架け橋のひとつが私たちの活動であるひろば・地域子育て支援拠点や産前産後ヘルパー。顔見知りが増えることで地域とのつながりが深まり、子育て以外でも心強い味方になることもきっとあると思います。地域の中で支え合うことで孤立を防ぐこともできます。アンケート結果では、ひろばや子育て支援拠点を利用したいがまだ、利用できていないという回答が39%。これから利用につながるかもしれませんが、まずは、この39%の人たちとどうつながるかが私たちの課題のひとつと感じました。親の孤独や不安に寄り添う、今後の取り組みへのヒントも多く、とても参考になりました。
 
 続いて、外部講師をお招きして行われた「子どもの居場所」についての研修です。
 
毎回、さまざまな分野で活動なさっているゲストスピーカーをお招きし、お話を伺っていますが、今回は、学校に行きづらい子とその親の居場所づくりを運営している「SOW」の小嶋さん、長谷川さん、牧野さんにご登壇いただきました。

研修会場のCOCOしのはらにてご登壇者(写真奥テーブル)と参加者。ZOOMを介して総勢100名が参加した

「SOW」とは・・・不登校 | Sow | 横浜市 (sow-yokohama.wixsite.com)
3年前2021年4月に、学校に行きづらい子の親が集まり、親子がエネルギーを補充するための居場所を作ろうと立ち上げた団体です。親子の居場所運営の他にも保護者の集いも行っています。
 
現在、毎週火曜日にCOCOしのはらにて活動をされており、地域の中で育ち合うことを目指しています。そんなつながりもあり、今回、研修をお願いしました。
 
学校に行きづらい子は、年々増えているというお話はよく耳にします。私の周りにも、長年、母子登校をしている人や、実はかつて、学校に行けない期間があったと話を聞くことも。子どもからも「ずっとお休みをしているお友だちがいる」と聞いたこともあります。
 
研修資料によると、文部科学省の令和4年のデータでは不登校の小学生・中学生は合わせて約30万人。小学生の59人に1人。中学生の17人に1人。小学生は、3年前の約2倍に増えています。不登校になる理由・原因は、複合的で、理由が分からないことが多いそうです。
 
私自身の話になりますが、子どもが「学校行きたくないな」と言った時に、すぐに「どうしたの?何があったの?なんで行きたくなの?」と理由を追求してしまっていました。なにか大きな出来事がきっかけとなることもあるかもしれませんが、ささいなことがきっかけで学校に行けなくなる、行きたくてもなんとなく行きづらい、居場所がない、不安だなと不登校の子どもたちは思っているのかもしれません。

研修資料より

SOWのような居場所や支援は少しずつ増えてはいますが、頼れる選択肢や公的支援はまだまだ足りず、家庭の負担が大きいことが現状です。研修の中では、不登校の現状だけでなく、子育ての体験談、実際にSOWに来ている子どもたちについても話をしてくれました。
 
体験談では、ケースはさまざまでも、「子どものありのままを受入れる」「認めてあげる」「意思を尊重する」など、その必要性が多く語られました。実際、子どもが不登校になるとなかなか受け入れることができない、長い年月と不安と焦燥感、葛藤があり、そして今回はさらにその先にあるものを、当事者家庭の生の声として語って頂きました。学校へ行かずに成長するという選択肢を知らないことが大きかったと牧野さんは、話されていました。何年もかかり、遠回りして、いろいろやってみてそこに辿りついたと。

SOWの皆さんの体験談をお聞きして、自分自身の経験を思い出しました。私の娘も幼稚園時代、前向きに登園することができず、毎日のように登園渋りをし、「幼稚園やめる」と泣きながら登園していました。そんな娘を引きずって連れて行き、先生にお願いし逃げるように帰る。それが毎日でした。みんなが楽しそうに行けるのに「どうしてうちの子だけ?」。娘の気持ちを理解し、尊重するには、それなりの時間がかかりました。

長谷川さんは、何年も母子登校を行い、学校と話し合いを重ね、環境調整を行ったそうです。正しい方法を教えるのではなく、つらい気もちへの共感とそれまでがんばってきたことを認め、本人に伝える。枠に収めようとするとうまくいかないけれど、できることがんばれることが増えていく。親が子どもを受けいれられるようになると、子どもも、自分自身を受けいれられるようになると感じました。長谷川さんのお話を聞いて、ありのままの自分を子どもたち自身が理解し認めること、「このままでいいんだ」というその気持ちを親として尊重してあげたいと思いました。

SOWの活動で大切にしていることの中で、「参加と交流のペースを尊重」というのが心に残りました。子どもの思いを大切にして、安心な距離感を自分で選んでいいという体験をできるようにしているそうです。義務からではなく、楽しいからやる。それぞれにやりたいことをやっていて自分が心地よいように過ごすことが、ありのままを認めることにつながっている。これこそが、SOWの皆さんの大切にしたい部分なんだなと思いました。
 
活動を続けている中で、子どもたちの変化についても教えてくださいました。初めは、参加をしても馴染むことができなかった子たちが、自分が尊重してもらえたと思えることで、関心が外に向き、自分たちでやりたいことを発信するようになったそうです。「スイートポテト」を作りたいと言って、レシピを調べてみんなで作る。やりたいことを言えるというのは、安心な場ではないと言えません。活動を通して、少しずつでも自分自身が自分らしく、自分たちでやりたいことを考え、みんなで実行するそんな時間が過ごせることはまさに場の環境がもたらす成果だと感じます。

研修資料より

お話を聞いた後には、たくさんの質問も出て、スタッフみんなで子どもの居場所について学び考えるとても有意義な時間になりました。SOWの活動に感銘を受け、ボランティアとしてでも関わりたいと話すスタッフ。自信をもってSOWの存在を伝えようと思ったスタッフ。子どもとちゃんと向き合い尊重できているか分からなくなったと話す私には「私も迷いもあり、いつもブレブレなんですよ!」と小嶋さん。同じ思いを分かってくれる人がいて、吐き出せる場があるのは本当に心の支えになると思います。貴重なお話をしてくださった、SOWの皆さんありがとうございました。COCOしのはらでの活動を通じたご縁に改めて感謝。これからもずっとそのご活動を応援させてください。

地域remix 佐々木


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