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Nr.2 掛け替えのない日々~フォルケホイスコーレの思い出-M.S.

 33歳にして、初めての海外生活
 バスから見える景色は田園と小さな小さな町の繰り返しで、こんなところに学校があるのか半信半疑でした。バスの運転手さんに「ここだよ」と言われて降りたバス停は海に面していて、キラキラした水面が美しく、嬉しかったことを良く覚えています。
 33歳にして、初めての海外生活でした。何度も悩み、やっと決意して仕事を辞めてデンマークに行くことを決めたにもかかわらず、これからの留学生活や帰国してからの日本の生活のことなどが、気がかりになる、道中は不安の方が大きかったと思います。
 でも、とにかくフィルケホイスコーレも生活は始まりました。
 学校生活は、食堂に集まり、先生が弾くギターに合わせ歌を歌ってスタート。生徒の国籍はデンマーク、グリーンランド、アイスランド、アメリカ、ドイツ、メキシコ、シリア、エリトリア、アフガニスタン、イラン、エリトリア、ウガンダ、日本と様々。生徒の平均年齢は20 歳前後。30 代 以上はかなり少数派でした。若い先生もいて、初めは誰が先生だか生徒だかもよく分かっていな かったと思います。


日々驚きの連続
 フォルケホイスコーレは日本の「学校」とは大分異なります。日本の「学校」像をなかなか払拭できない 私は、現地にいてもなおフォルケホイスコーレを理解することに時間を要し、日々驚きの連続でした。例えば、授業が急に、「近くの町に行ってデンマークの福祉についてどう思っているか各自で町の人 に突撃インタビューしてみよう!(デンマーク語で!)」なんてことになったりして衝撃を受けました。。
 私たちのクラスはいわゆる入門クラスで日常会話もおぼつかないレベルなはずにもかかわらず、です。「え!無理でしょ!?これどういうカリキュラム??」と青ざめていた私に、ドイツ人のクラスメイトが救いの手を差し伸べてくれ、しどろもどろになりつつも無事にインタビューが出来ました。
 日本で、特に社会人として生活していると「完璧にやる」や「失敗しない」ということが、重視される気がしますが、単純に「やってみる」のは、大事なことで楽しいことなんだなと感じました。
 日々の授業に加え、地方選挙投票の見学、観劇、サッカー観戦、森でキノコ狩り、ジャックオランタン作り、火曜の夜のメキシコ人生徒主催のサルサクラス、トランプ大会、白熱のW 杯予選、本物のモミの木のクリスマスツリーにみんなで飾り付け…、など今こうして文字に起こしてみると 夢だったのかと思うような色々なことを体験しました。

菅原写真

社会的視野を広げる機会にも恵まれた
 Kaløでは社会的視野を広げる機会にも恵まれました。学校にはアラブ諸国やアフリカから難民として来校した生徒が、印象に残っています。大変な思いをしてきたであろう彼らは明るく優しい人々で、先入観を覆され。デンマークに来る前は深く考えたこともない難民問題を友人の問題としてかなり身近に感じる様になりました。
 日本での生活とは異なる、言葉の面や性格の面で中々積極的に行動できなくて思い悩んだこともありました。でも、まさに掛け替えのない日々でした。なにか現地で大きなことを成し遂げたわけではありませんが、folkehøjskole留学経験はこれから も自分の人生に少しずつ、確実に影響を与え続けると思います。

M.S.さんの留学データ
留学先:Højskolen på Kalø
留学期間:2017年8月~2017年12月
学習科目:デンマーク語とデンマーク文化コース
留学前:会社員 
留学後:会社員
留学時の年齢:33歳

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