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フィンランド語探偵ハンナ 第12回

Päivää(パイヴァー)!こんにちは!

フィンランドの民族楽器「カンテレ」って知ってるかしら?見た目はお琴みたいで、指で弦をはじいて演奏するの。実は私も趣味で時々弾いてるわ。ハープとオルゴールを足して2で割ったような癒しの音よ。気になる人はぜひ調べてみてね。

さて、今日もフィンランド語の謎を解明しなくちゃ。ハンナならどんな難題も解決できるんだから!

12回目の依頼人は、会社員のケンタさん。半年ぶりの登場よ。

Case #12:『二者択一のすれ違い』

ケンタ:こんにちは。すっかりご無沙汰していました。

ハンナ:こんにちは、お久しぶり!フィンランド語はもうかなりできるんじゃない?だからここに来る必要がなくなったのだと思っていたけど。

ケンタ:いえいえ。仕事が忙しくてのんびりペースの学習なので、なかなか……。あ、でも実は昨年のフィンランド旅行で、フィンランド人と友達になれました!僕が現地でお世話になった日本人の方の知り合いで、日本のアニメが好きな女の子なんです。

ハンナ:まあ、いいじゃない!その子も日本に来ることがあるの?

ケンタ:そうなんです、先週遊びに来てくれました。その時の会話で、何だかおかしなことがあって……。

ハンナ:それで来たのね。どんなことがあったの?

ケンタ:はい、ここに会話をメモしたので見てください。マイヤというのが友人です。レストランで飲み物を注文しようと思って、コーヒーと紅茶どっちにするか聞いたつもりなんですが……。

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ケンタ:最初僕が「コーヒーと紅茶どっちを飲む?」と聞いたのに、マイヤは「ええ、もちろん」とだけ答えました。僕の言ってることが通じなかったのかなと思ってもう一度聞くと、気がついたような感じで謝られたのですが、これってどういうことなんでしょうか?

ハンナ:確かに、どっちを飲むか聞いてるのに、おかしい答えだけど・・・ケンタさん、この会話は正確にメモできているかしら?

ケンタ:かなり自信があります。後でモヤモヤしたのもあり、よく覚えていますから。マイヤはボーっとしていたんでしょうか?そんな風には見えなかったんだけどな・・・ハンナさん、この謎が解けますか?

ハンナ:トタ、トタ*1・・・わかったわ!
謎を解くカギは「“または”の違い」よ!

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ケンタ:はい・・・?どういうことですか?

ハンナ:ケンタさん、あなたのメモをよく見て。あなたは最初“Juotko kahvia tai teetä?”と言ったんでしょう?この“tai”(タイ)がすれ違いの始まりだったのよ。

ケンタ:え?でも、“tai”というのは英語の“or”と同じ意味、つまり「または」っていう意味でしょう?

ハンナ:そう、だからこそケンタさんは英語の“or”と同じように“tai”を使ったのよね。英語なら“A or B ?”みたいに、どちらかを選ばせる二者択一の質問も“or”を使って言えるから。でも、フィンランド語には2種類の「または」があるの。

ケンタ:2種類?!

ハンナ:メモの最初のように“Juotko kahvia tai teetä?”と言うと、「コーヒーや紅茶を飲む?」という意味で、二者択一の質問としては普通使わないの。「コーヒーと紅茶どっちを飲む?」って聞きたいなら“Juotko kahvia vai teetä?”と言うわ。“vai”(ヴァイ)は二者択一の質問に使うのが普通よ。

ケンタ:ええと、じゃあメモを読み返すと・・・そうか!マイヤは僕が「コーヒーか紅茶でも飲む?」と聞いただけだと思って「ええ、もちろん」としか答えなかったんだ!

ハンナ:そう!そして、ケンタさんが質問を繰り返したので、その様子から“tai”と“vai”を混同していると気づいたのね。

ケンタ:うーん、それにしても「ごめんなさい、コーヒーを飲むわ」って謝ることはないのに。その場で間違いを指摘してくれたら、後で悩む必要もなかったんだけど。

ハンナ:何言ってるの。そう答えたのは彼女の優しさよ。私だったらすかさず指摘するけどね。でも、そんなんじゃ甘いムードが壊れてしまうと思わない?

ケンタ:へ?あ、えーと、それは、どう・・・かなぁ。と、とにかく、謎が解けて気分が晴れました!ハンナさん、ありがとうございました!

謎は解決!次はどんな依頼が舞い込んでくるかしら?

次回もお楽しみに!

*1 トタ(tota):日本語の「えーっと」に当たる語tuota(トゥオタ)のくだけた発音


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