フィンランド語探偵ハンナ 第25回
Päivää(パイヴァー)!こんにちは!
ここ数年は仕事が忙しくて、なかなかフィンランドに行けていないの。フィンランド語にはlentää(レンター)、「飛ぶ」という意味の動詞があるんだけど、このlentääは「飛行機で行く」という意味にもなるの。例えば、Haluan lentää Suomeen.(ハルアン レンター スオメーン)「私はフィンランドへ(飛行機で)行きたい」と言ったりするんだけど、直訳すれば「私はフィンランドに向けて飛びたい」ってことなのよね。本当に、今すぐ飛んで行きたいくらいだわ!
さて、今日もフィンランド語の謎を解明しなくちゃ。ハンナならどんな難題も解決できるんだから!
25回目の依頼人は、留学生活を存分に楽しんで、つい先日帰国したユミコさんよ。
🔎Case #25:『言うには長すぎて』
ハンナ:こんにちは、元気だった?本当に久しぶりね!
ユミコ:お久しぶりです!1年間の留学生活、とても充実していました。帰国して1ヶ月しか経ってないのに、もうフィンランドが恋しいです。
ハンナ:楽しく過ごせたようで良かったわ。勉強の方も、うまくいったのかしら?
ユミコ:はい、語学力はまだまだだと思いますが、実際に行って使ってみると、留学前とは比べものにならないくらい上達したと思います。それでも、ネイティブの早口を聞き取るのは難しいですけどね。
ハンナ:そうね。で、今日はどんなご依頼?
ユミコ:まさにその、ネイティブの会話についてなんです。大学の友人とおしゃべりしていた時、そのうちの1人、ノーラという子がオペラを観に行った話をしたんです。興奮気味に話していたんですけど、その中の1文がどうもわからなくて。これは、その文を聞こえたままに書き取ったメモです。
(ハンナにメモを渡す)
ハンナ:この文のどこがわからなかったの?
ユミコ:eka(エカ)という単語です。se oli(セ オリ)は「それは~だった」という意味ですよね?kerta(ケルタ)は回数の単位だと思うんですけど、そうしたら何かしらの数字が入るはずです。ところが、ekaという数字は聞いたことがありません。私の聞き間違いだったら話は簡単なんですけど。みんなで話が盛り上がっていたので、流れを止めないよう質問をできずじまいでした。ハンナさん、この謎が解けますか?
ハンナ:トタ、トタ*1・・・わかったわ!
謎を解くカギは「長すぎる単語」よ!
ユミコ:え?さっきの文には、長い単語なんて入ってませんけど?
ハンナ:ユミコさん、あなたはリスニングが相当できるようになったのね。メモに書いてくれた文は正しいわ。フィンランド語は、書き言葉だと長い単語を、話す時に省略することが多いの。
ユミコ:ええ、それは知ってます・・・あ、まさかこれも話し言葉の省略語ですか?でも一体何の省略かさっぱりわかりません。
ハンナ:確かにこれは推測しにくいわね。このekaを書き言葉にするとensimmäinen(エンシンマイネン)。これなら意味はわかるでしょ?
ユミコ:はい、「最初の」という意味です。そうか!ノーラが言った文を書き言葉に直すとSe oli ensimmäinen kerta!つまり「それは初めてだった」ってことですか?
ハンナ:その通り!おそらくノーラさんは、オペラ鑑賞が初めてだったんじゃない?それで興奮して「初めてのことだったの!」と言っていたんじゃないかしら。
ユミコ:なるほど、そう考えれば納得できます!それにしても、ensimmäinenをekaにするのは縮めすぎですね。
ハンナ:まあね。他にも、こんな省略語があるわ。
astianpesukone(アスティアンペスコネ)「食器洗浄機」→ tiskikone(ティスキコネ)
makuuhuone(マクーフオネ)「寝室」→ makkari(マッカリ)
roskalaatikko(ロスカラーティッコ)「ゴミ箱」→ roskis(ロスキス)
Helsingin Sanomat(ヘルシンギン サノマトゥ)「ヘルシンギンサノマット(新聞名)」
→ Hesari(ヘサリ)
ユミコ:かなり省略するんですね。そして、makkariとかちょっと可愛らしい。
ハンナ:確かにそうね。フィンランド語は複合語*2が多いから、どうしても長くなってしまうの。だから省略語も多くなるわ。現地で実際に使いながら覚えていくのがいいかもね。
ユミコ:あ~、もっとこういう単語を勉強しておけば、留学中もあんまり苦労しなかったかも。でも、今後もフィンランドへはちょくちょく行くつもりなので、現地でどんどん吸収していきたいな。ハンナさん、ありがとうございました!
謎は解決!次はどんな依頼が舞い込んでくるかしら?次回もお楽しみに!
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