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歓談する「刑事」と「殺人者」の機知。三谷幸喜『古畑任三郎 1』感想

1円。


・事件が解き明かされ、「刑事」と「殺人者」の関係となった二人が、笑いながら歓談する。このエスプリの効いた雰囲気。これだよ、これが見たくて、私は古畑を見てるんだよ。

・ドラマで観た事あるかな?ないかな?ぐらいの油断したテンションで読み始めた。結果から言うと、ゲロ吐くほど面白かった。

・終盤、古畑が犯人に証拠の矛盾の無さを畳み掛ける、あのシーン。ドラマだとさほど気にならないが、文にすると丸一ページ以上ほどの量になってしまう。本来そんな場面ダルくて読んでられないんだが、気が付いたら読み終えてしまっていた。なぜか?

・おそらく、「古畑任三郎」が頭の中でセリフを演じてくれていたからだと思う。まあ演じているのは田村正和なのだが。印象的な表情、服装、喋り口。これを知った上で読む小説だから、声どころか身振りまでもが脳内で自動的に再生される。

・ドラマを見ることで「古畑任三郎」という人物を既に消化しているから、読みながら咀嚼する必要がない。小説のストーリーを知らないのに姿と動きを覚えてるなんて他ではそうそう無い体験だと思う。



・〈おめでとう、アリ先生〉ローストチキンのくだり、うははぁ~!!かっくいぃ~~!!!ああいうの見ると「あ、古畑になろ。」って思う。言っておくが本気だぞ?。

・「犯人は心理カウンセラーなので、被害者の心理を完璧に予想できた」という設定。自分だったら「ご都合主義かよ」つって話に採用できない。でも三谷幸喜は採用している。なぜなら面白く出来るから。キャラは立ってるし、肝となるトリックも秀逸だし、ストーリーの運び方も見事だし、古畑の質問もいちいちムカつく。
そうなんだよなー!全部面白いんだよなー!いいトリック思い付いたら面白いサスペンスになるんじゃないんだよなー!全部なんだよなー!

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1,155字

びんちょんが読んだ本の感想です。

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