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ボックスカルバートを計画してみる

はじめに

 別記事(下リンク)で公開している作図ツール(SCIM)によるモデリング手法紹介シリーズの第3弾になります。
 今回は、道路を横断するボックスカルバート(箱型函渠)を3次元設計手法にて計画する手順を説明します。
 簡単ですので、ぜひやってみましょう。

【これまでの関連記事リンクです】

オフセット・モデリングのすすめ|西谷技術/BIMCIM担当 (note.com)
道路形状をモデリングしてみる|西谷技術/BIMCIM担当 (note.com)
擁壁を計画してみる|西谷技術/BIMCIM担当 (note.com)


ボックスカルバートの計画

位置と断面の設定

 計画をするには、まず下準備として条件の整理が必要です。
 今回は下図(1)の白い線のところに、下図(2)の断面のボックスカルバートを設置する・・という方針で向かいたいと思います。
※本当は壁厚などは構造計算で決める必要がありますが、まあそのへんは決まっているものとします。

(1)ボックスカルバートの計画位置
(2)計画するボックスカルバートの断面

検討断面の設定

 まずはボックスカルバートの計画基線となる断面オブジェクトと座標系を設定します。コマンドVCSCZ_SECを使うとこの2つを一括で設定できるようにしていますので、これを使ってみてください。断面オブジェクトと座標系が設定されます。
 座標系は指示点の1点目が座標原点で 指示点の2点目への平面方向がX方向、鉛直がY方向の座標系が設定されます。
 この座標系が、ボックスカルバートの計画上の座標系となります。
 (※以降「函渠計画座標系」とします)

断面図の切り出し

 BricsCADではコマンドSECTIONPLANETOBLOCKで断面図の切り出しを行うことができるのですが、現時点(V24.2)ではTINサーフェスの切り出しには対応しておりませんので、3D面等の対応オブジェクトに変換してから切り出します。
 私は断面オブジェクトごと別ファイルにコピーして、3D面(3Dフェース)まで分解後に断面図を切り出して、元の図面に戻しています。
 (できるようになってほしいなあ・・・)

SECTIONPLANETOBLOCK [断面をブロック保存] - BricsCAD Lite & Pro | Bricsysヘルプセンター

 計画基線の断面を移動または複写して、函渠の両外側位置(中心から±1.3mの位置)の断面もあわせて切り出しておきます。

函渠の縦断計画

 切り出した3つの断面(函渠中心、左右端)を重ねると、斜角なしとした場合に必要となる函渠の縦断形状を計画できます。
 函渠内空の縦断高、頂版の厚さ、胸壁の寸法、割付などを検討して位置寸法を決定します。
 ここらで、函渠まわりのオブジェクトを「函渠計画座標系」でコピーして、新規図面の座標系「正面」に貼りつけます。そうすると、新規図面の「正面」座標系と「函渠計画座標系」が一致するので、以降の計画をスムーズに進めることができます。

  • 以降、この新規図面を「3D構造図」元の図面を「3D平面図」と呼ぶようにします。

  • 3次元作図を行うために、座標系(UCS)とビュー(ルックフロムで動かすやつ)の扱いに慣れる必要があります。

  • コピ&ペーストしたときの動作は、そのときに選択しているUCSを基準に行われます。(動きがおかしい場合はシステム変数PROJMODEが1になっていることを確認しましょう)

  • 寸法線も、そのときに選択しているUCSのZ=0のXY平面に配置されます。UCSを駆使すると3次元空間への旗揚げも簡単です。

決めた函渠の縦断形
UCS と ビュー

函渠本体(ソリッド)の作図

 縦断形が決まったら、これを立体化(ソリッドに)してみましょう。
 函渠の断面図をコピーして、3D構造図の座標系を「左」にして両端の位置に貼り付け、ロフト(Loft)、差(Substract)、押し出し(Extrude)などのコマンドを使うと、簡単に立体化できます。

立体化したボックスカルバート


今回はここまで!

 さて、この後はウイングの計画を行っていくのですが、長くなってきたので今回はこのあたりで終わることとします。
 次回はウイングの計画について説明していきますので、お楽しみに!

ウイングの計画状況(次回ネタです)


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