見出し画像

道路形状をモデリングしてみる

はじめに

 別記事(下リンク)でオフセット・モデリングの紹介をしていますが、今回は同記事内にて公開している作図ツール(SCIM)の機能やモデリング手法について紹介します。簡単ですので、ぜひやってみましょう。

オフセット・モデリングのすすめ|西谷技術/BIMCIM担当 (note.com)


道路形状のオフセット・モデリング

いきなりモデリングしてみて、と言っても難しいですよね。
そこで、弊社で行っているモデリング方法を少し紹介したいと思います。

まずは環境整備

何事にも、準備は大切です。
まずはBricsCADの準備。無料で30日間の体験版を試用できますので、ライセンスがなくても大丈夫です。
つぎに付属の説明書に従ってSCIMのVBA、LISPをインストールしてください。うまくインストールできるとコマンドラインからVBAを起動できるようになります。

道路線形などを準備する

なにかをモデリングしようとするとき、どんな形になるのか…概略の形を決めるというのは重要な仕事です。そういう仕事はSTRAXとか、Civil3Dとか専用のソフトで定めるものとして。
SCIMは、それらが決まったあとに部分的なモデリングをする。そういう利用形態を想定していますので、平面線形計算書、縦断計画、片勾配すりつけ計画、幅員すりつけ計画が決まっているものとして話をすすめます。
まずは、これら道路形状の設定値を表に整理して準備しましょう。
※付属のサンプルファイルにはすでに入っていますし、付属のEXCELシートで作成することもできます。

平面線形要素表の例
縦断線形要素表その他すりつけの設定表

準備ができたら基準線を作図だ!

次の手順でまずは道路中心線を作図します。
1.  コマンドVC_SKZ_CLを起動
2.  コマンドライン指示に沿って平面線形要素表、縦断線形要素表などを選択
3.  作図ピッチなどを指定
そうすると、道路中心位置に3Dポリラインが作図されます。
これが道路中心線。道路の基準となる線ですね。

基準線をオフセットしてモデリング

基準線が描けたら、これをオフセットしてモデリングしていきます。
SCIMには様々な3Dオフセットコマンドがありますが、今回はVC_3DOFFSET_SENZを使ってみます。
1.  コマンドVC_3DOFFSET_SENZを起動
2.  コマンドライン指示に沿って勾配すりつけ表、幅すりつけ表、元となる基線を選択
3.  面を作図する
4.  作図されたオブジェクトを適切なレイヤに移動する
これを繰り返してモデリングしていきます。

左右の車線を作図した状況


いろんなオフセットを駆使して計画形状を作成する

SCIMには様々な3Dオフセットコマンドがありますので、これらを駆使して計画形状を作成していきます。基本になるのはVC_3DOFFSET_SENで、一定幅・一定高のオフセットになります。

SCIMで追加されるオフセットコマンド

SCIMでは様々な3Dオフセットコマンドを用意していますが、一番上は平行オフセット(各構成線間の2次元方向の距離が指定の距離となるようにオフセット)した線を指定の高さだけ動かすという処理をしています。
_SENとついているものは平面線形の直角(横断)方向に各点の2次元座標を計算し、指定の高さだけ動かすという処理をしています。

他の面と干渉する

のり面を地盤に当たる交線で止めたい等、他の面との干渉位置(交線)を特定したいときは、TINサーフェスから抽出(TINEXTRACT)コマンドから作図することができます。
1.  TINEXTRACTコマンドで片方のTINサーフェスを指定したあとに交差線(I)オプションを選択し、もうひとつのTINサーフェスを選択すると2つの面の交線が作図されます。
2.  切断したいTINサーフェスの境界(外形線)と交線から残したい側の外形線を作成し、元のTINサーフェスの境界に追加します。
(※24.7.11編集)

のり面を現況面で止めた例

さいごに

このように、オフセット・モデリングの手法を用いると手書き感覚で簡単に3次元形状を計画できます。
他の基線を設定して擁壁を計画したり、構造物周辺の取合いを計画するなど、一見難しい取り合いも簡単に描くことができます。
ただし、注意が必要なのは、どの基線をもとに、どの方向でオフセット(面を計画)をしているのかを考えることです。

どうでしょうか。オフセット・モデリングで計画してみませんか?
次回は擁壁まわりの計画手順について説明してみたいと思います。
お楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?