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話を聞くって疲れるんですね

クライアントのSさんは
公機関で教育支援や生活支援の仕事をしている。

先日、発達障害を抱えるお子さんと
そのお母さんとの面談をしたとのこと。
お子さんの状態やお母さんの思い
Sさんから見える現状のそれぞれが異なり
思うような面談とならなかった
と話してくれました。

そして、Sさんは
「話を聞くって、ほんとうに疲れるんですね。」
としみじみ語られました。


話を聞くって、疲れる

「話を聞くって、疲れる」
と感じたこと、ありますか?

どうして、話を聞くことで
「疲れる」ときがあるのでしょう?

そこで、まずは
聞き方について考えてみます。


3つの傾聴レベル

「マンガでやさしくわかるコーチング」
 CTIジャパン(コーチ養成機関)著
から、今回は考えてみます。

この本の中では
傾聴には3つのレベルがあると語られています。

傾聴には「内的傾聴」「集中的傾聴」「全方位的傾聴」の3つのレベルがあります。
レベル1「内的傾聴」
 自分自身に意識を向けた聞き方
 相手ではなく自分の思考や気持ちなどに意識が向いている状態
レベル2「集中的傾聴」
 相手に意識を集中した聞き方
 周りで起きていることなどはどうでもいいかのように、すべての神経が目の前にいる相手に注がれている状態
レベル3「全方位的傾聴」
 360度すべてに意識が向いている状態
 目に見えるものや耳で聴こえるもの、感情的なものを自分自身の肌感覚で感じ取る傾聴

マンガでやさしくわかるコーチング 著CTIジャパン


レベル1「内的傾聴」


例えば、友達の悩みを聞きながら
「元気づけてあげるためには、何て言ってあげたらいいかなぁ‥」
と考えたり
上司の指導を受けながら
「話が長いんだよなぁ‥」
と感じたりする。
自分に意識が向いている傾聴の状態。

生活の中でのほどんどの会話が
このレベル1の聞き方です。
多くの人が日常的に
レベル1の傾聴の状態であると言えます。


レベル2「集中的傾聴」


夕暮れ時の砂浜
見つめ合う恋人同士を想像してください。
相手の言葉だけでなく
そのニュアンスや仕草
そのどれも逃すまいと聞いている状態です。

「相手の様子から、相手の辛さを感じる」
「震える声から、本当の気持ちを話せていないかもしれないと感じる」
というような
見えるものや聞こえるものから感じ取る
というようなイメージです。


レベル3「全方位的傾聴」


360度すべてに意識が向いている状態とは
「家に帰ったときに家族の表情から
明るい雰囲気を感じる」
「出社して部屋に入ると
ピリピリする空気を感じ
何かトラブルがあったなと思う」
というような
周囲や部屋全体の様子全体を肌感覚で感じ取る
状態です。

相手は笑顔で話してくれているけれども
目は笑っていないように感じ
「本当は、笑っていないのではないですか?」
と相手に伝えると
「実は、別に気になっていることがあって‥」
と相手が話始める
というようなイメージですね。

この本の中で
そのように3つの傾聴レベルを教えてくれています。


どうして疲れるの?


レベル2は
一転集中なので微細な変化もキャッチできます。
レベル3は
俯瞰的に大きな変化をキャッチできます。
そして、コーチングでは
コーチはこのレベル2やレベル3を使い分けて
話を聞いています。

コーチでなくても
相談を受けるときや
クレームを受けるときなどは
相手に意識を向けて
相手の話をしっかり聞こう!
と意識するので
レベル2やレベル3で聞こうとするわけですね。

でも、時折
「今、ちゃんと聴けているかな?」
と思ったりします。
これ、意識が自分に向いているので
レベル1の傾聴なわけです。

そこで、あらためて
レベル2やレベル3を意識して
聴いていくことになるのですが
私たちは、日常レベル1で聞くことが多いので、
ふとしたところでレベル1で聞いてしまいます。
意識が自分に向かってしまいます。

相談を受けていて
「そこまで思いつめなくてもいいでしょ‥」
クレームを受けていて
「そう言われても、こっちとしては‥」
などなど‥。

レベル2やレベル3で聞くことは、
日頃とは異なるため
やはりエネルギーが要るわけです。
聞く時間が長くなれば
なおさらですね。

そこで
「話を聞くって、ほんとうに疲れるんですね」
というSさんの言葉となるわけです。

スキルは練習すれば、誰にでもできるようになる

ですが、聞き方というのはスキルです。
スキルですので、トレーニングが必要になります。

Sさんは、
日頃運動していない状態で
100Mを全力で走ったことと
同じなのですね。

ですが、「聞く」ことはスキルですので
トレーニングすることで
誰もができるようになります。
当たり前ですが。

話を聞く場面は
1日の中にいたる所にあります。
「聞く」は
毎日トレーニングするには
取り組みやすいスキルです。
そして
少しずつ取り組むことにも向いています。

そこで
Sさんにプチワークをお伝えしました。
先述の本の受け売りです。

〝毎日ちょっとずつ
相手を恋人と思って集中して傾聴しましょう”
ということではありません。

プチワーク

「相手が話す時、その方の表情を観察してみましょう」
「あなたが話すのを相手が聞く時、その方の表情を観察してみましょう」
その時、相手の方はどんな表情をしていますか?

聞くって
コミュニケーションの手段の一つですね。
話を聞く時
話す相手の表情を観察することで
相手に意識が向きます。
レベル2ですね。

コミュニケーションは
キャッチボールです。
普段の環境では
あなたが返す場面もあるはずです。
ここでも聞く相手の表情を観察することで
相手に意識的が向きますね。

職場や学校で
家庭で
相手の表情を観察してみましょう。

そこには
きっと、気づくことがあるはずです。

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