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ベルリン・上海、そしてセルビア?~持続可能社会への変遷を探る~(後編)

前回『3つのテーマ~持続可能な社会をつくるために~(中編)』、今後の社会の方向性を決めるであろう3つのテーマについて述べました。
このテーマを解像度を上げるには、どこに行けばよいか?色々見た中で、ベルリンと上海に滞在してみたいとの思いに至りました。

※サブタイトルを変えましたが、前編中編の三部作の後編です。
模索の2021年~持続可能な社会をつくるために~(前編)
3つのテーマ~持続可能な社会をつくるために~(中編)
ベルリン・上海、そしてセルビア?~持続可能社会への変遷を探る~(後編)


ベルリンと上海の話にいく前に、、

『この3つのテーマに関心があるんですー』と伝えると、
『つぎは気候変動とデータのビジネスをするんですか?』と聞かれます。

いえ、まだ具体的に何も考えられていません。
ビジネスアイデアとか、、そこまで考えが至っていません。

特定の事業アイデアを探るより先に、世の中の動きがどうなるか?が気になっている段階です。
流れを見ていく中で、”ここ、足りないな?””こうしたら良くなりそう”みたいになれば、それが事業になれば良いかな。程度に考えています。

おなじく、『ベルリンと上海に行きたいのですー』と伝えると、
『おー!アフリカの次は先進国で事業ですかー。』と言われるのですが、
そこも全く考えていません。。

どこかのタイミングで、事業アイデアが決まり、ビジネスモデルを考える段階で、
『どこで起ち上げたらよいか?』を考えればいいかな、と考えています。
もしかしたら、日本かもしれないし、アフリカに戻るという選択になるかもしれません。

今は、先のことは決めず、
空っぽの状態を保ったまま、感じることを大事にしたいです。

これから、欧州と中国がカギを握る?

次の20年のキーは、EUと中国かなと思っています。
社会の枠組みは、欧州(EU)、中国のどちらか、または両方が作っていく。

これまで、自由経済の時代が続きました。
市場に参加するプレイヤーが市場の論理で自由に枠組みを作っていくと、全体が悪い方向へ向かう例が増えてきました。

まだまだ自由経済の時代は続くとは思いますが、
気候変動も循環社会もデータ社会も、人権、労働、ジェンダーも、
市場の論理、各国の論理では良い方向に向かっていきません。

そうなると、世界規模での枠組み・ルール作りの話に戻るわけですが、
今後はEUと中国がリードしていくのでしょう。

アメリカは世界最大の経済国ですが、
政府がトップダウンで規制を作るのが難しく、市場に任せるスタンスがあるので、自ら世界のルールを作って啓蒙していくのは難しいでしょう。


実際、上記テーマの枠組みは、ここ10年、EU中心に作られています。
中国は、環境問題やデータの取り扱いで急速にプレゼンスを高めています。

欧州・ベルリンは

まずはベルリンから。

EU全体で政策的な枠組みを知る上では、ドイツ・ベルリンである必要はありません。
それより、環境問題、社会問題など、どんな社会情勢、世論、市民の意識、経済、そして歴史的背景から生まれたのか?
今後の新しい社会を創る上での面白い流れはないのか?
を考えた時に、まずはベルリンからスタートしてみようと思いました。

きっかけは、以下の記事に書かれている話を聞いたからでした。

そして、この本

その上で付け加えると、

■ヨーロッパ、ドイツの中でも、アンチ資本主義が強く、ポスト資本主義の流れがある

■ポスト資本主義で、Well-being(幸せとは何か?)を追求した流れ
アートの街。クリエイターの街。起業もアーティストやクリエイター発想の、身の回りの生活を豊かにしたい系の事業が多い?
途上国含めた構造的な貧困格差、社会格差へのアプローチは少ない?

■「ベルリン」はユニコーン企業を次々に輩出している
けど、ユニコーンの多くはコピービジネス?
社会的に一定程度のインパクトを挙げているところは非常に少ない。

■「194ヶ国(国籍)」の人々が住んでおり、とても「多様性(Diversified)」に富む都市
けど、上に立つ人は、白人メイン?

■ベルリンに限らず、ヨーロッパ全体として、『消費行動はダサい』考えが若者中心に広まっている。
日本でも広まっていますが、その傾向はずっと強いです。

ただ、ベルリンのスタートアップが盛り上がっているという流れは、2016年頃までで、今はそうでもない。とも言われていますが、その様子含めて実際に見たいところです。

欧州は、ベルリンだけに拘っているだけではなく、ロンドン、アムステルダム、なども深ぼってみたいですし、
3年前に視察したエストニアのその後も気になっています。

中国(上海)は

前回の記事でも挙げた『アフターデジタル』『アフターデジタル2』で書かれているように、
データを使ったビジネスモデルの最先端は中国でしょう。

これまでのオンラインビジネスを超えて、流通、小売、製造、金融、医療、教育など、オフラインと言われてきたビジネスやサービスの在り方が大きく変わっています。

上海は、中国の中でも、これらのサービスが最も充実してそうですし、所得水準の高さから、C向けのサービスを見るには良さそうです。

深圳も気になります。
20年ほど前まで小さな漁村地域だったのが、急激な経済成長で、一人当たりGDPで中国国内トップ。
最近の統計では、一人当たりGDP35000ドル程度と、日本の一人当たりGDP40000ドル程度を追い越すのも時間の問題です。
平均年齢も上海より10歳若く、34歳ほど。(ちなみに日本は48歳だそうです)
(※ただ、シンセンは3年前に1週間ほど視察しているので、先に、ほとんど降りた事ない上海から)

環境問題についてもここ5年で急激な変化を見せているようで、
トップダウンで、環境技術、社会変革を劇的に変化させています。
(色々問題や矛盾を抱えていますが、それ自体が興味深いですね)

以下、適当に検索した記事ですが、参考までに、、、


また、上海、シンセン以外に、
貴州、成都、重慶なども気になります。

チャイナ・アセアンの衝撃 日本人だけが知らない巨大経済圏の真実』によると、
内陸西部の成都や重慶とASEANとの貿易、道路網がアジア地域の肝になるそうです。

なかなか容易に渡航できないご時世

本で読んだり、人から見聞きしているだけでは表面的で、実態は分かりません。
やっぱり自分の足で見て、一次情報を得ないと始まらない。

『この地域がいま盛り上がっています』と言われても、
実際に行ってみると、5年前に盛り上がっていて、2-3年前にピークを迎えて下火になっていたが、情報が伝わったのは最近とか。

凄い事例として紹介されていても、PRが上手いだけで、実態がほとんどなかったり、

実態のある素晴らしい事例でも、2次情報で伝わってくると、、上手くいった部分だけがキレイに整理されて紹介されるので、
試行錯誤の様子、試行錯誤の中で紡ぎだされた成功の要諦、苦労の実態、が削ぎ落されて伝わります。

削ぎ落された実態感のない事例は、感動は得られますが、実用的な気づきや学びになりにくい。
表面だけ真似ても上手くいかず、あんまり役に立ちません。(再現性のある学びにならない。)

このご時世でも現地に行きたいなと模索しましたが、上手くいきません。

ここ数か月、現地で起業する友人などにサポート頂き、
現地のエージェントを通して、大使館や現地の行政機関に働きかけてきましたが、中々難しく、
時間ばかりが過ぎていきました。

4月になっても状況は変わらず、
むしろ、変異種が広まったこと、ワクチン接種が始まったことで、渡航に関しての状況は厳しくなりました。

各国とも『ワクチン接種が始まった。緩和への道のりが見えてきた! 集団免疫ができるまでの数か月、半年間が勝負だ!外から変異種が持ち込まれるくらいなら、水際対策を厳しくしよう。』と考えるのは当然でしょう。

少なくとも6-7月まで渡航が難しそう。
それなら別の国を見にいこう。と思い始めました。

東欧がおもしろいらしい

そんな中で、ヨーロッパにいる方々から、『ここ数年、スタートアップ界隈で東欧が話題に上がるよ』と言われました。

『東欧か。行ったことない。
イノベーションやスタートアップで聞いたことない。。』

調べるといくつか記事が出てきます。

東欧といっても広く色んな国があります。
テック系スタートアップだと、ハンガリー、ベラルーシ、ウクライナ、そしてセルビアあたりが挙がります。

その中で、コロナ禍、政治情勢を踏まえて行ける国は多くありません。
セルビアはPCR検査のみで、日本からは隔離もなく入れます。

良く分からないけど、
いや、良く分からないから行ってみよう!

バタバタの渡航

行こうと決めたのは渡航の4-5日前。

普段は事前に1-2か月ゆるゆると調査していくものの、今回は調査は現地入ってからもいいや。と渡航を優先しました。


いつもは、仕事の合間に1週間程度の短い滞在。準備していかないと得られるものも少ない。
だから、1-2か月かけて、事前に出回っている記事を読んで、レポート読んで、関連する本を読んで、人に繋いでもらって、事前に話を聞いて、アポを取って・・・

今回は現地の調査よりも、渡航で手一杯。
コロナ禍で、渡航するだけでも一苦労です。


航空券一つとっても、セルビアではセルビア入国前48時間の陰性証明が必要。(日本出国前ではなくセルビア入国前)
直行便はないので、どこかでトランジットが必要ですが、トランジット国によってはトランジットに陰性証明や電子登録が必要だったり・・


最終目的地の要件によっては、トランジット国がハイリスク国だった場合には隔離が必要だったり・・・・
(ヨーロッパの場合、日本は低感染国扱いなので大抵大丈夫だが、ドイツやフランス、トルコを経由する時は注意)

これにPCR検査の予約。入国前48時間制限となると、
夜発の便を見つけて、当日朝に検査・夕方に結果が出るところに限られます。

これらのロジをしつつ、、
■Facebook、Twitter上でセルビアにいる方について紹介をお願いし、
■ネットでセルビアの事を紹介している方々に連絡してみたり
(Serbian walkerの方、セルビアちゃんねるの方に返答頂き、お話させて頂きました。)
■ロコタビで、セルビア在住のロコにオンラインで教えてもらったり(4人メッセージして、1名の方から返信あり)
■DMMの英会話に申し込んで、セルビア人講師の方を予約して2名ほどフリートークでお話を聞いたり

結果的に、皆さんに助けてもらい、在留邦人、現地の方など15名程度の方を紹介頂きました。感謝です!

渡航を決めた段階では、『セルビアってどこ??』の状態。
セルビアが旧ユーゴスラヴィア連邦だという事すら知らず、そこから。。。
ユーゴスラヴィアの歴史はすさまじい!複雑。。

渡航2日前に『ユーゴスラヴィア現代史』という本が出ていると知り、Amazonでは間に合わなそうだったので、メルカリで問い合わせたら、前日に届けてくれました。(日本の宅配凄い!)

※飛行機の中で読もうと思ったのですが、、爆睡して映画観てたら、ほとんど読むこと出来ず、、
現地着いてから読み始めました 苦笑

セルビアの第一印象

来てみての第一印象ですが、スタートアップ系は、やっぱり、、言うほど盛んではありません。
■言われているほど、テック系、ITスタートアップは盛り上がっていない。
■ヨーロッパとは思えないほどの、賃金の安さと物価の安さ、一定の教育レベルから、ITアウトソース先として盛り上がっている模様。
(ただ、人口も700万人程度と人数も限られているので、ここ1-2年は、エンジニアの報酬は高騰)
(アウトソース先とスタートアップは全く別文脈です)

スタートアップはこんな感じですが、文化的・社会的な側面に興味を持ちました。

■20年前まで社会主義国だったところに、外資系の資本がどんどん入っており、経済成長と格差の拡大が広がっているところ。
社会主義時代の基盤、社会制度があるところに、資本の考えが導入されていく様子が見て取れます。
(東アフリカも経済成長と格差拡大しているが、社会主義からの政治的転換と背景が違うので、起きている現象も違う)

■紀元前から大国の狭間に位置し、旧ユーゴ時代も西側(欧州、アメリカ、NATO)と中露の間で非同盟の中立を貫いたセルビアが、EU加盟を目指しながら、中露とも良い関係を保っている微妙なバランスの状態。
(ユーロ的な考え方と、中露的な考え方の両方が見て取れる)

■ユーゴスラヴィアとして40年、何とか纏まっていた国が解体してしまった原因。
世界には、民族や宗教が入り混じり、地域の経済格差があっても国として纏まっているところもある中で、
国を維持したところと、維持しなかったところの差は何か?

■元々同じユーゴスラビア連邦だった国々が、20-30年経て意識が変わっていくさま。
例えば、環境意識においてZero-wasteを標ぼうするスロベニア、、盛り土もしないゴミ廃棄を続けるセルビア。
30年前、環境意識の差はあったのだろうか?意識の違いは世代格差なのか?

などなど。


できれば、周辺国も見に行きたいのですが、
セルビアの在留資格を持たない短期旅行者だと気軽に周辺国に足を伸ばせないのが残念です。

状況が改善すれば、ドイツや中国にも行きたいですね。

次は、セルビアで感じた事などシェアできればと思います。

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