【神奈川のこと29】大山、富士、そして箱根の峰々(鎌倉市猫池~鎌倉山)

ほぼ毎日歩く。つまりウォーキング。平日は家の周りを10~15分程度、土日などの休日は、小一時間ほど。よってこれを書く。

まるで散歩に行く前の興奮した犬のように、歩く前は心が躍る。そのはやる心を抑えながら着替えて、最近教会の人からいただいたアンダーアーマー製のいかしたスポーツ用マスクを着けたら、靴紐をしっかり結んで出発。

庭で準備体操と、通称「8秒スクワット」を8セットというルーティンを経て歩き出す。

ロイヤルホストの駐車場を通って、今はもう存在しない、お気に入りのガソリンスタンドがあった裏の坂道を一気にのぼる。のぼり切ったら、一息つかず左折して更にのぼる。藤沢自動車学校を思い出させるクランクの坂道をくねくねと。小中学校時代の親友、いんちゃんの家がかつてあった前の道をのぼりながら、巨人の西本投手似のジェントルマンなお父さんと、優しくて元気なお母さん、そして憧れのお姉さんを思い出す。

更にのぼると、新しく家を建てるための工事の看板に、住所が書いてある。「字(あざ)猫池」と。なるほど、やっぱりここらへんは猫池なんだとしみじみ思う。そして小中高大と学歴が99%一緒のゆきちゃんの実家の前を通る。あの美人三姉妹のお姉さんと妹は今でもきっと素敵なんだろうな、なんてことを考えながら。

龍口明神社に到着。心を込めてお参り。今朝、教会のミサにも行ってきたクリスチャンだが、地元の神様にもごあいさつはしておくのだ。「疫病退散」と大きな力強い字が掲げてある。「たのんます、私もがんばります」と神様に告げる。

神社で一息ついたら、またのぼる。中学時代に一緒に生徒会役員をしていたさとの実家、そして、小学校5、6年の時に仲の良かったけんやの実家。ローラースケートをはいて得意げな顔したけんやが今にも飛び出してきそうだ。

そして、このコース最大の難所、93段の階段を一気にのぼる。途中で止まってはいけないと自身に課す。のぼり切ったら振り返って、ぽっかりと相模湾に浮かぶ江の島を見ながら、息を整える。

この場所は、子供の頃にはまだちょっとした広場があり、山肌もむき出しだったので、登ったりしてよく遊んだ。今は、広場のあった場所は囲われていて入れず、山肌には草木が伸びて崩落防止策が取られているため、様子は全く変わっている。あの頃から40年の時が過ぎているのだ。

舗装されていない道を鎌倉山に向かって進むと、みのもんたの家の横に出る。昔は、女優田中絹代の家だった場所だ。それは風情のある家だった。共に鎌倉リトルリーグのチームメンバーだったしんごの実家の前を通って、バス通りを渡り、さらに階段を上がる。しばらく行くと、一番の見どころがやってくる。

右から、大山、富士山、そして、箱根の峰々。手前には、貯水タンク、えぼし岩、そして江の島。さらに大島もでっかい。ミニチュアのようなモノレールが、目白山下から片瀬山に向かって進む。このパノラマを見ながら呼吸を整え、小っちゃいことにこだわるのは止めようと、自らに言い聞かせる。

鎌倉山ローストビーフの前を通り過ぎる。駐車場は満車。社長の息子は同級生。「けべっとろ~」とそいつの口癖をつぶやいてみる。意味不明だが、同級生だと使用方法が分かる、さながら今の「どんだけ~」のような言葉だ。住吉の大きな屋敷の上から、横浜ランドマークタワーを遠く右手に見つつ、階段の上で眼下におらが街を望む。鎌倉山ロータリーで諏訪ヶ谷循環のバスをやり過ごし、地元のリトルリーグを立ち上げた半沢邸跡地を通り過ぎる。最後に、トンネルから出てくるモノレールの迫力に子供のようにはしゃぎながら、幸せな気持ちで帰還。

春夏秋冬、景色や香り、音の変化に包まれて歩く。その時々の想いを抱えつつ。そして、リスやヘビ、数種類の野鳥、たくさんの昆虫と出会う。夜中にハクビシンと遭遇し、お互いにびっくりしたこともある。

ただ、いまだにみのもんたとは遭遇していない。



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