【神奈川のこと21】モリー先生との火曜日(鎌倉市/腰越図書館)

思いがけず、良い本に出逢えたので、このことを書く。

先週日曜、地元の腰越図書館に行った。

以前は足繁く通っていたのだが、一年半ぶりのご無沙汰であった。

ちょっと気になる作家がいたので、その著書を探しに行ったのだ。

それはすぐに見つかった。なので、もう一冊何か借りようと考えた。

ちょうどそこへ、司書の方々おすすめの本が数冊、手書きのポップと共に並べてあるのが目に入った。「読書の秋におすすめの本」とあった。

普段は、図書館でも本屋さんでもポップは気にせず、素通りしている。「ポップに頼らずに、良い本は自分で見つけるぜ」という、通ぶった、くだらねぇ了見だ。

しかし、その日の腰越図書館のポップからは、何だか優しく語りかけてくるような気配を感じて、素直に「この中から一冊選んでみようか」という気持ちになった。

そこで選んだのが、「モリー先生との火曜日~Tuesdays with Morrie~」だ。

理由は別に大したことではない。装丁の字体が親しげで、気軽に読めそうだなと感じたから。ポップに何が書かれていたかも、もう忘れてしまったほどである。

初めて、ポップと一緒にあるおすすめの本を借りるので、「このまま、これを借りちゃっていいんですか?」と少し緊張気味に尋ねた。もちろん、小声で。司書の方は「はい、どうぞ。」優しく応対してくれた。

月曜の通勤電車で、先に借りた作家の本を読み始めたが、ちょっと難解だったため、さっと二日間で斜め読みして終えた。

そして、水曜の朝。自室のデスクに置いていた「モリー先生との火曜日」をカバンに放り込み、出発。いつものように湘南モノレールと横須賀線の中で先に神奈川新聞を読み、東戸塚駅あたりから、「横浜駅ぐらいまで読んだら、あとは眠るべ」と思いつつ、本を開いた。

アッと驚く為五郎。1ページ目から引き込まれて、止められなくなってしまった。「横浜駅過ぎたら眠る」どころではなくなった。

あんまり早く読んでしまうと、楽しみがなくなってしまうのが嫌で、水、木、金、土と4日間かけて、通勤電車の中で読了。

思いがけず出逢えた良い本だった。

来週の日曜、返却する時には、「とても良かったですよ」と腰越図書館の司書の方に伝えよう。もちろん、小声で。

そして、もう一冊何か借りてみよう。「ポップを信頼してみるのも、いいものだ」という了見で。






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