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マラグーティをご存知ですか?そしてそのエンジンは…。最終 ③

 マイナー車両のマラグーティ マジソン3のインプレッションなんて、自動車業界のライターさん以外ほとんど誰も書いていないと思うので、クォーサーエンジン搭載車の1つとして存在した証として書いておこうと思う。

 まず、車名のマジソン3の3の意味だが、排気ガス規制であるユーロ3をクリアしたという意味だ。今の規制がユーロ5からユーロ6の過渡期と考えると、ほとんど規制がないも同然だが、いよいよバイクも規制強化が始まったと話題になった。しかし250ccの排気量で22psあるので、このクラスのスクーターではパワーはある方だ。この後、規制が厳しくなり、排気量が300ccになり、パワーダウンしている。

 さて肝心の素人インプレッションだ。もともと車重が軽く、短めのホイールベースで駐輪場などでの取り回しも楽だ。エンジンは元気の良い活発な走りをしてくれる。MAXスピードは、250スクータークラス最速レベルとだけ記しておく。

 たかだか250ccと言うなかれ、このエンジンはスロットルの開閉に合わせて、思い通りの姿勢変化を作り出せる実力がある。それに見合うブレーキが備わっているので安心してコーナーに飛び込める。リアは、コントロール側に振ったディスクブレーキだと思う。不必要な効きの良さが無いのがいい。ただ、ミドルクラス以下のスクーターに多く見られる、フロントサスのストローク不足はこのバイクにも見られる。少々ブレーキタイミングを遅らせ強めの減速でコーナーに入ると、ストロークの少なさからくるバタつきが感じとれる。また、サスは前後とも硬めなため、どうしても跳ね気味になってしまう。車重の軽さも影響していると思う。ただ、高速道路の合流などは、車重が軽い分速度の乗りも早い。この加速感は、乗っていてすごく気持ちよい。スロットル開度に合わせて、グイグイ加速していく。

 どうにもならないのがヘッドライトだ。デザインありきで、見た目はかっこいいと思うのだが、バルブ上面のリフレクターが短い為、下向き側への反射がないのだ。結果、光が上側に散ってしまい、前方を照らさない。どんなに明るいバルブを入れても、一向に前方を照らさない。イタリアンバイクで、まともに使えるヘッドライトは、ベスパのGTSシリーズ以外見たことが無い気がする。
 
 電装系の話題が出たので、メーターについて記しておく。メーターはアナログメインの丸形4連で、タコメーターは、マルチインフォメーションでデジタル表示することができる。中でも輸入車であることを感じさせてくれるのは外気温度計で、停止時であれ、走行時であれ、5℃以下になると、マルチインフォメーションに結晶マークが表示される。路面凍結に対する注意表示だ。いかにもヨーロッパ車らしい表示だと思う。この他、マルチインフォメーションには、電圧計、オド、トリップ、時計、デジタルのスピード、など結構多彩で面白い。
 
 足つきは私にとってはあまり良くなく、停止時にはお尻が少しずれる。足元はフロアトンネルがあるが、ステップボードの幅もあり窮屈感は無い。足の置き場所の自由度は高いと思う。ポジションは軽い前傾で、スポーツスクーターらしいポジションだと思う。逆に、シートの形状も硬さもよく考えられていて、ツーリングなどでお尻が痛くなった記憶が無い。
 総じてマジソン3は、国産車には無いカテゴリーに位置していると思う。スクーターでも運動性能を重視していて、ライディングポジションがトラディショナルなギア車に近い。時にはイージーに、また、ある時にはスポーティーにを無理なく実現してくれるバイクだと思う。ヘッドライトなど不満もあるが、国産スクーターには無い動力性能や、端正なデザインなどがあるから、長く付き合っていられるのだと思う。私にとって、これに代わる魅力のあるスク―ターが、未だ存在しないのである。


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