音楽家のTo Do List

毎日の日課。フリーランスなので、定時で始まって、定時で終わる仕事に一度も携わったことがない。でも、ある程度の仕事のスケジュールや、家事その他、最低限のことは、その日、週、月毎のTo Do List は決めて、やる様にしている。

性格上、あまりきっちりしているとやる気が出ないし、人から言われるとやりたくなくなってしまう子供の様なところがある)かと言って、何をやるか決まっていないと動けないところがある。(これもまた宿題をもらわないと勉強しない子供の様なところがある)

そして去年の3月半ばから、コロナでコンサート活動がなくなった。子供の学校の送り迎えもなくなった。コーラスやオーケストラの集団で集まる指導もなくなった。週2〜3回のアダルトバレエクラス(超ビギナー)もなくなり、買い物の回数も減って、車のガソリンも全く減らなくなった。幸い個人自宅レッスンという仕事は続けられて、人との繋がりを持てて助かっている。中にはオンラインでのレッスンの生徒さんも継続中。

そして代わりに得たのは1日ボーナスの3−4時間と、バケーションに行けずに使われないバケーション貯金。おかげで心のゆとりと、生活のゆとりと、創造性を生み出した。

コンサートの準備をする必要がなくなったので、YouTubeにアップする(これをコンサートに見立てて)事を目的に練習し始めた。やっている事は一緒、ただお客さんが目に見えない、そして収入にはならない。

YouTubeのチャレンジは、映像と演奏が残るという事。もちろん実際のコンサートもいつも見られているわけだけれど、映像を撮るのは自宅。そして自宅はコンサートホールの様に、音響もなければ背景もない。音と映像の、両方ともきっちりやろうとすると、準備と加工に何倍も労力が掛かる。自分の身嗜みにも、かなり時間が掛かる、、、。

面倒くさがり屋の私の場合、結局映像は写真のスライドショーにしてしまった。音もマイクの位置を変えてみたり、生活音(ゴミ収集車や、郵便配達の人の鳴らすベルの音、洗濯機の音、家族のシャワーの音、家族がオンラインをしている音、キッチンで食事を作っている音、冷蔵庫の音などなど)の少ない時間帯を見計らってみたり。自分は映さない、、、というところから始めた。レコーディングとレッスン中はなるべく洗濯機を回さない様にしているので、週に2度、洗われるタイミングを逃した山の様な洗濯物と闘う日がある。

YouTubeのもう一つのチャレンジは、オリジナル曲を出そうという事。クラシック音楽のオーボエ演奏をメインに勉強してきた自分にとって、ピアノで(実はオーボエよりピアノ歴は長いが)作曲の勉強も、ジャズの即興の練習程度しかした事ないのに勝手に思いつきで作って発表するという無謀とも言えることを、どうしてもやりたくなった。今しかできない気がした。

コロナの名前を聞いて、早一年。私のTo Do List は、ガラッと変わった。曲を作り、音を再現し、レコーディングする。正しくこれが新生活の要になった。曲ができるスピードと仕上げて発表するスピードは、日常の諸所のことで追いつかないこともあるが、自分の知らない自分に日々遭遇。

朝、夫が会社に出勤し、子供たちがまだベットにいる時間、今日は何が出てくるだろうと、ピアノに聞く。その音で、リビングの真ん中の小さな水槽の中で寝ていた陸亀赤ちゃんのメープルが、目を覚まして朝食のレタスを食べる。

正しく即興なのだが、(これが私の中の瞑想というのかもしれない)キーワードの様な風景や言葉を思い描いてピアノを触る。誰も聞いていないのに、始めの頃は、恥ずかしい様な照れ臭い様な、不思議な感覚があった。今では誰に咎めもなく最初の音が鳴った瞬間次の音が決まる。そしてまた次の音へと繋がっていく。

実は今リビングルームに置いてあるBOSTON 、このピアノを買おうと決めた13年前、その即興の感触で決めた。楽器が教えてくれることがある。そうしているうちに、「素敵、この音忘れたくない」という瞬間が訪れ、慌てて殴り書きする。すぐ忘れるタチなので、楽譜を書く技術を知っていることに感謝する。

そして、音を出せなくなった夜の時間は、マインド整理。

ブログに文章を書く習慣になった。


これまでは、自分でやっている音楽教室用のWeb サイトの中で書いていたから、これからはこちらのNote.comに書いてみよう思う。





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