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癒し癒され

「あなたの演奏に癒されました」

夫と知り合って間もない頃、20年以上も前の演奏会の後で、本当に短い一言、このメールが届いた。

それまでも幾度も演奏会をしてきたけれど、その時のその言葉は私の心に深く刺さりった。「息が長くて凄いね」とか「指が回るね」といか、「綺麗だね」とか、「パワフルだね」とか、「華やかだね」などなど、いろいろな素敵な言葉をいただいた事はあったけれど、「癒されました」と聞いたのはその時が初めてで、なぜかその言葉に自分が癒されたのを感じた。

それから結婚して住む場所が変わり、周りの環境も変わり、その「癒し」という言葉がずっと引っかかり、自分の音楽が人の心の癒しになればと思いながら、演奏のチャンスがあれば、それに挑んできたところがある。またその言葉を聞きたいと。

コロナになって、演奏活動もなくなり、私の密かな「癒されたと聞きたい」チャレンジは自分の創作活動+YouTube に注がれた。まさしく自分を癒すために自分で曲をかき、自分で演奏し、自分のあるがままを曝け出した。InsideーOut というタイトルで。

そうしているうちに、コロナはまだ収まることを知らないが、このままエネルギーを停滞しておく訳にはいかない、、、エネルギを循環させるために「ヒーリングミュージックバンド」というジャンルを勝手につけて、「LOMITAS」というバンドを結成し、他のミュージシャンと、オリジナル音楽だけを一緒にFacebookライブ配信をしてみた。

その配信がきっかけになったのか、ある方から「ヒーリング音楽に興味があるので、送ってください」という連絡があった。以前にも別の方々からYouTubeプレイリストのリクエストがあったので、その時作っておいたもの(こちらはピアノだけ、またはリモート録音のもの)を「お試しください」と送ってみた。

そうしたら、「これこそが求めていた音楽です」とお返事をいただいた。認知症のご家族と一緒にこれから何度も、いつでも聞きたいと。お食事の時から、お散歩の時まで。

https://youtu.be/MVewkGW31q8

自分が、外向きのエネルギーを放てなくなった時に(実質的に身体能力が低下して、演奏ができなくなった時、またはリタイアした後)と、私の人生計画の中では組み込まれていたはずの創作活動が、コロナのおかげで予想外に早まってしまった!そして、動かしたくても動かせない現状を目の当たりにした時、自分に降りてきた音楽が、私だけでなく他の同じように閉塞感を感じていた方々の心を癒せるとは。。。

「言葉も思っただけではそれはなかったことになる、伝えて初めて言葉は生きる、、、」きっと音楽も同じなんだろう。伝えて初めて音楽になる。

自分の役割を一つ果たせたという充足感があった。そしてこれからも音楽を伝えて行きたいと、切に思う。

癒し癒される、音楽の力を知ってしまった限り。




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