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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2022年3月の記事一覧

ラリーという名の冒険

第5回のノースアイランドラリーのエントリーが、4月1日に開始される。ラリーという形式が採られたイベントだが、いわゆる競走・競争の要素はなく、タイムを競う区間は設けられていない。 このラリーの起源は、2014年と2015年に、北海道とサハリンをつなぐ形で実施した、同じ名称のノースアイランドラリーにある。ぼく自身は、2010年に初めて稚内からサハリンのコルサコフ港に渡った。バイクはKTM 690 ENDUROで、池田智泰というライダーとバイクは2台で、中西さんという人が、ピック

ISDEイタリア2021 - 滑川勝之 - No.239より

もうひとりのプライベーター、滑川勝之。2014年アルゼンチン大会に初めて出場。2017年は日本のワールドトロフィチームの一員としてフランス大会に出場するが痛恨のリタイア。2018年チリ大会で2度目の完走、そして2021年、イタリア大会に臨んだ。 Text : Hisashi Haruki Image : Future7Media <本文>  フランスと同じで、ライダーのレベルが高い国だし、コースも難しいだろうと思っていましたけど、なかなかでしたね。やっぱり。街の横に流れ

歴史に残る3台を挙げる - エンデューロ日記 No.38

YAMAHA WR250F 2001年モデル ヨーロッパのエンデューロ、またはその系統にあるセグメントを意識してデザイン(設計)された、初めての日本製モーターサイクルとして、2001年からのYAMAHA WR250Fを紹介したい。YZ250Fをベースにするチタン製5バルブDOHCエンジンは、今となっては目立たないサイズだが、当時としては画期的なほど軽量・コンパクト。スロットルポジションセンサー、ギアポジションセンサーを備えたFCRキャブによる精密なマネージメントによる、なめら

After 2020 - 危機を乗り越えたGPパドック - No.239より

ハードエンデューロの台頭、KTMの離反、コロナ危機、プロモーターの交代。この数年間を振り返ると伝統的なエンデューロは何度も危機的な状況に直面してきた。競技スポーツとは何か、プロスポーツとは何か、エンデューロとは何か。答えは見出すことができたのだろうか。 Text : Hisashi Haruki Photos : ENDURO21 Team  ENDURO GP(FIMエンデューロ世界選手権)のプロモーターだったABCコミュニケーションのアラン・ブランシャールは、KTMグ

TIME TO RIDE 「サバ読み疑惑?」大鶴義丹 - No.239より

 去年の秋まで乗っていた、BETA.RR2T200は、得意の衝動買いの後に、200ccだと思い込んでいた排気量が、本当は190.2ccだと知ったときは結構なショックであった。いやいや、10ccはサバを読み過ぎである。約5パーセントのサバ読みだ。バイクならまだ良いが、年収2000万だと威張っていた男と結婚した女性が、結婚後、彼の本当の年収が1900万だと知ったらどうであろう。  そして去年の年末に同じように衝動的に買ってしまったハスクバーナのTE150iも、後からカタログを見

1-ON-1 飯塚翼 インタビュー - No.239より

マディでは成田MXPの連中にかなわない。若手ライダーたちの活躍がJECを席巻する。飯塚翼は、実はパドックでは目立たない存在だが、それは口数が少ない寡黙な選手だからだ。「他のライダーのことは気にならない」という飯塚の視線は、ただ目の前のトレイルにだけ注がれる。JECの新しいチャンピオンの本音に迫るインタビュー。 インタビュー 飯塚翼 Text : Hisashi Haruki Images : アニマルハウス 飯塚翼 Tsubasa IIZUKA 1998年04月19日生

Parc Ferme 「輝ける6日間」- No.239より

Text : HisashiHaruki Image : Future7Media  雑誌に限らないが、メディアの製作者というのは往々にして「~らしさ」というものを求めるものだ。出来事であれば、例えば「完走率わずか数パーセント!」とか「悲願の金メダル獲得!」など。被写体も同様で、フィギュアスケートの選手が転倒すれば、いかにも落胆したような表情を切り取りたい。もちろん、そうすることで読者、視聴者には物事がわかりやすく伝わるわけだが、しかし、それは正確に事実を伝えるというよりは

砂漠の国から来たスキー選手 - エンデューロ日記 No.37

2022年の冬季オリンピック北京大会。北海道に生まれ育ったぼくは、例に漏れず子供の頃からスキーに親しんていることもあって、アルペンスキーの競技をずっと眺めていて飽きることがない。テレビ観戦の話である。 オリンピックには、トップクラスの選手ばかりが出場しているイメージがあるけれど、アルペンスキー(レーシング)の、比較的速度の低い種目である回転(スラローム)競技には、雪が降らない国、砂漠の国、スキー場もない国、競技がまったく行われていない国からも、たった一人参加している、という

「鉄の竜騎兵」たちが目指す平和という名のゴール - エンデューロ日記 No.36

Amazon Prime 鉄の竜騎兵 この物語をみる時、ぼくは、この古参兵が、もしかすると6日間の選手だったのではないかと思ってしまう。彼らが目指したのは、本当は、6日間のファイナルスピードテストだったのではないか。 毎年35~40ヶ国から世界中のライダーが集まって、6日間思いっきり試合をする。モーターサイクリストのオリンピックと言われるISDE、ぼくはこのイベントが長い目で見て、世界の平和に貢献するものだと思っている。第一次世界大戦、第二次世界大戦、この二つの不幸な出来