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ラリーという名の冒険

第5回のノースアイランドラリーのエントリーが、4月1日に開始される。ラリーという形式が採られたイベントだが、いわゆる競走・競争の要素はなく、タイムを競う区間は設けられていない。

このラリーの起源は、2014年と2015年に、北海道とサハリンをつなぐ形で実施した、同じ名称のノースアイランドラリーにある。ぼく自身は、2010年に初めて稚内からサハリンのコルサコフ港に渡った。バイクはKTM 690 ENDUROで、池田智泰というライダーとバイクは2台で、中西さんという人が、ピックアップトラックで同行した。

当初から、ぼくは、北海道とサハリンをつないだ競技としてのラリーを開催するつもりで、翌年も渡航して試走を行い、2013年には一歩前進し、BMWの協力を得て、小規模なイベントとして南樺太部分を走ることになった。

稚内市役所のサハリン課にいた渡辺クニトさんや、現地サハリンのエンデューロライダーたちとも交流が深まり、土地勘もつき、行政との関りもできて、次第に、ラリー開催への足場が固まり、2014年に、ノースアイランドラリーは実現した。

数年をかけて競技としてのラリーにするつもりでいたが、2014年の実施直後から、稚内~コルサコフ航路の運航休止の話が持ち上がってきた。

車両とライダーが同時に移動できて、しかも関税無しで、往復ともその日のうちに通関できる移動手段であるこの航路は、ラリーの要であり、欠かせないものだった。

年が明けてすぐに航路廃止が確定的となったことで、ラリーもいったんこれでピリオドになると考えたぼくは、数年先と考えていた、サハリン縦断のルートを、この年にやることにした。いや、そう決めたのは、本当は参加者であるライダーたちだというべきだろう。

彼等のような勇敢で忍耐強い人間こそラリーの主役だ。

片道1000キロ以上で、ほとんどが未舗装路。

北部は、乾いていればサンド、濡れるとマディという難ルートだった。

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