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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2021年6月の記事一覧

WESSチャンピオンの独白 - マニュエル・リッテンビヒラー No.234より

反連盟的な姿勢から一転してFIM公認のシリーズ戦へと転換した新団体のWESSは、同時にこれまでの異種総合格闘技路線から、ハードエンデューロに特化したシリーズへのスイッチも明らかにした。2019年のWESSチャンピオンは、これをどう見ているのか? 波乱のシーズンを乗り越えて 2019年にWESS(ワールドエンデューロスーパーシリーズ)でタイトルを獲得。ハードエンデューロ、エクストリームエンデューロ、それにクロスカントリーとスペシャルテストのあるトラディショナルエンデューロまで

「虚像の裏の実像」 編集後記から

 毎年、4月1日エイプリルフールが楽しみで、どんな嘘をついてやろうかとワクワクして、アイディアを練っていたものだった。「インターナショナル60日間エンデューロ」ぐらいまではよかったと思うのだが「ダカールの2輪部門の排気量規制が、ついに250ccにまで下げされる」というのは、特に海外筋から評判が良くなかったようだ。折しもCRF250RALLYが東京MCショーで発表されたばかりで。信憑性の高すぎる嘘は、エイプリルフールであっても良くないことがあるのだと反省。その後、東日本大震災が

北海道の旅を前に。 本誌編集後記より

 この日本列島北部に位置する島を「北海道」と名付けたのは、江戸末期から明治にかけ、官職としてこの地を調査、探検した松浦武四郎である。平成30年は、その命名から150年という節目にあたり、それを記念したテレビ番組が放映されるなどして、この探検家の功績が改めて周知されることになった。彼は、この地の先住民族であるアイヌに対する圧政、虐待に反対し、これを改めるよう働きかけていたが訊き入れられることはなく、ついに官位を返上するに至る。故郷伊勢国に戻ってから、再び北海道を訪れることはなか

「エンデューロとクロスカントリー 創刊を振り返る その2」 - エンデューロ日記 - 016

 前回書いたのは、弊誌が創刊した1998年は、GNCCのような耐久レース(日本ではJNCC)も、エンデューロと呼ぶのが普通だったばかりか、むしろ、それこそが日本では「エンデューロ」として認識されていた、というようなことを書いた。  ぼくは、そのことについて「良い、悪い」といっていたのではなく、ただ、競技の種目として区別して考えたほうが、なにかと都合が良いということを言っていた。現在では、エンデューロとクロスカントリーを区別するのは普通になっている。パチンコの玉が、いろい

JEC 2021 R1レポート 「飯塚がケンジに肉迫した マディの開幕戦」 No.234より

COVID-19感染拡大、その緊張感が続く中、今年もJECが開幕。ライダーたちを歓迎したのは降り続ける冷雨。スペシャルテストは、見たことが無いぐらいのエクストリームコンディションに仕上がっていた。 MFJ全日本エンデューロ選手権 第1戦 2021年3月28日 テージャスランチ(広島県)Photo Report : Masanori Inagaki Edit : Hisashi Haruki 4ストロークのShercoを得て好調。後半、鈴木健二を追い詰めるタイムも出したIA

「エンデューロとクロスカントリー 創刊を振り返る」 - エンデューロ日記 - 015

noteでの掲載を開始したのは2019年だが、弊誌は、1998年に創刊して、2021年6月発売のNo.234で、丸23年ということになる。今回は、このBIGTANK誌を創刊して、エンデューロやラリーにまつわるメディア活動をスタートさせた理由について書いておこうと思う。 弊誌は、その規模の大小や質はともかくとして、創刊してから現在まで、エンデュ―ロとラリーを専門にする日本語の出版物として唯一のものだ。威張っているわけではない。残念ながら事実なのだ。それだけ、日本ではエンデュー

15YEARS IN ENDURO GP - 一時代の終焉 後編 - No.234から

FIMエンデューロ世界選手権。現在は多くのプロライダーが活躍する華やかなステージになっているが、実は、2003年以前、それはいかにも田舎の香りが漂う草レース的な存在に過ぎなかった。そこに改革をもたらしたのがプロモーターのABCコミニケションだった。 FIMエンデューロ世界選手権。現在は多くのプロライダーが活躍する華やかなステージになっているが、実は、2003年以前、それはいかにも田舎の香りが漂う草レース的な存在に過ぎなかった。そこに改革をもたらしたのがプロモーターのABCコ

15YEARS IN ENDURO GP - 一時代の終焉 - No.234から

FIMエンデューロ世界選手権。現在は多くのプロライダーが活躍する華やかなステージになっているが、実は、2003年以前、それはいかにも田舎の香りが漂う草レース的な存在に過ぎなかった。そこに改革をもたらしたのが、当時新たに参入した意欲的なプロモーターだった。 この特集は、2部にわけてお届けする。

「ヴィンテージ」 エンデューロ日記 - 014

ここのところ、KTMのラリーバイクを素材にして、6日間競技とは何か、エンデューロとはそもそもどういう競技で、その後のラリーと、どのようにつながっているのか、ということを書いてきた。 簡単に整理すると、エンデューロとは、モーターサイクルそのものの黎明期に、その工業製品としての性能、信頼性を向上させることに資する機会としてはじまったもので、同時に、モーターサイクルという道具をどのように使いこなすかという技術を研鑽し、また工具や服装といった周辺のハードウェアを進化させるための機会

G-NET2021 R1 - CGC奈良トラ -No.234より伊井覚レポート

大和奈良ハードエンデューロ G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 第1戦 2021年3月13日~14日 奈良県 Report and Images : Satoru Ii£¨ANIMALHOUSE 新型のGASGAS・EC300に乗り換え、レースまでに奈良トラを含め60時間も乗り込んだという山本礼人。昨年5位の苦手なコースでありながら、準備万端で挑んだ開幕戦をしっかり制し、弾みをつけた G-NET2021の黒ゼッケンライダーたち。後列左から#2山本礼人、#1水上泰佑

TIME TO RIDE - 「2ストは死なず、ただ消え去るのみ」大鶴義丹 No.233より

 私は昭和における原体験が「CBX400F」と「DT200R」なので、電化に対してどこかで蕁麻疹を起こしている。  だが時代は残酷だ。四輪スポーツカー開発の聖地、ドイツ・ニュルブルクリンクの北コースの、市販車からレースカー全てを含めたコースレコードを三十五年ぶりに塗り替えたのは、ポルシェ919ハイブリッドEvoであった。 YouTubeなどでそのオンボード映像を観た方も多いであろう。その驚愕のマシンは2017年のWEC世界耐久選手権でシリーズチャンピオンを獲得した、ポルシェ9