見出し画像

北海道の旅を前に。 本誌編集後記より

 この日本列島北部に位置する島を「北海道」と名付けたのは、江戸末期から明治にかけ、官職としてこの地を調査、探検した松浦武四郎である。平成30年は、その命名から150年という節目にあたり、それを記念したテレビ番組が放映されるなどして、この探検家の功績が改めて周知されることになった。彼は、この地の先住民族であるアイヌに対する圧政、虐待に反対し、これを改めるよう働きかけていたが訊き入れられることはなく、ついに官位を返上するに至る。故郷伊勢国に戻ってから、再び北海道を訪れることはなかった。
 武四郎は、明治政府に対し、蝦夷地の新しい名前の案をいくつか提案しているが、そのうちのひとつが「北加伊(カイ)道」だった。カイは、アイヌ語で「この地に生を受けた者」の意。武四郎は、この島にはせめてアイヌ語由来の名がつけられたいと望んでいたと言われる。結局「北海道」という当て字が採用され、カイの音が残った。
 明治生まれの人は、北海道のことを「蝦夷が島」と呼ぶのも珍しくなかった。蝦夷、とは大和朝廷にはじまる日本の中央政府からみた、関東、東日本の蛮地のことである。征夷大将軍という官職名が意味するのも「蝦夷を征伐する者」である。蝦夷征服が進み、やがて蝦夷は、北海道以北からカムチャッカ半島までの地域を指すようになる。

ここから先は

259字
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。

BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?