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人生100年って天国?それとも...2

こんにちは、のぐです。今回の書籍は、リンダ・グラットンさんとアンドリュー・スコットの「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」です。訳者の方は池村千秋さんです。いつものように、本記事でご紹介する内容をA4にまとめてみました。多くの人が100才近くまで生きる時代を人生100年時代と言います。寿命が伸びてラッキーと考えがちですが、冷静に考えると、そのような単純な問題ではありません。たとえば、1日は24時間ですが、それが40時間になったとしましょう。単純に寝ている時間や食事の時間が増えるわけではありませんよね。もしかしたら勉強時間や労働時間がより多くなるかもしれません。これを踏まえて、人生100年時代における必要な価値観や考え方とはどのようなものなのでしょうか。

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結論

人生100年時代へ移行するにあたって個人の生活もガラリと変えていかなければなりません。これをライフシフトといい、次の二つが軸となりシフトします。

[人生設計]
(かつて) 「教育→労働→引退」という固定された人生設計
(これから) 年齢とライフステージが一致しないマルチステージの人生設計

[資産価値]
(かつて) 「お金、家」などの有形資産が重要
(これから) 「人的資産、スキル」などの無形資産が重要

人生設計の軸では、かつては「学校教育から始まり大学を卒業してここまでで20年、そして就職し労働のステージを40年、退職後20年の引退生活」であったものが、これからは「年齢とライフステージが必ずしも一致しないマルチステージ」といったものにシフトしていきます。さらにマルチステージには「ポートフォリオワーカー」や「エクスプローラー」「フリーランス」など、今までの「教育」「労働」「引退」とは異なったステージが現れてきます。これらはひとえに亡くなるまでが長いため一生働くからという理由に尽きます。

資産価値の軸では、かつて「お金や立派な家など目に見える価値」にフォーカスしていた時代が、これからは「人との繋がりやその人自身の価値」にフォーカスした時代にシフトしていきます。この理由もひとえに亡くなるまでが長いため一生働くからに尽きます。

これらをまとめますと、

「亡くなるまでが長いため一生働く」という時代では
個人一人ひとりが今までの生活を根本から変えていく必要がある

ということです。これから5記事に渡って、具体例をお示ししながら「100年時代の人生戦略」を解説していきます。今回は「見えない資産」についてです。

第四章 見えない資産

まず、資産とは「ある程度の期間存続し、恩恵を生み出せるもの」であり、そのためには「投資」と「メンテナンス」が重要となります。そして、資産には二つあり『有形資産』と『無形資産』があります。この二つのバランスが相乗効果を生み出すと筆者の方は仰っています。では、具体的にこの二つの資産とはどのようなものなのか、ご説明します。なお、本書では無形資産にフォーカスしている形になっていますが、あくまでバランスが重要です。

有形資産は、お金や家など「形がある資産」をさします。このような資産は従来は「目に見える、わかりやすい資産」ということで重要視されてきましたが、人生100年時代ではその価値が薄れてきます。その理由として、この有形資産には「撤回可能性」と「代替可能性」があるからと筆者の方は主張されます。一言で表現すると、前者は「売れる」、後者は「代えられる」ということです。この二つの特徴は『その人に限らず誰でも手に入れられること』を表していまして、人生が100年になって「個人」にフォーカスされる時代(前回の記事参照)には「薄い価値」になってしまうという結論です。「個人」にフォーカスされる時代に重要な価値は『その人だからこそ所有できる資産』であり、これから説明する「無形資産」となります。

3種類に大別される無形資産

無形資産は、スキルや人的ネットワークなど「形のない資産」をさします。この資産は3つに大別されますが、共通点として『その人だからこそ所有できる資産』という点があります。

1. 生産性資産
こちらは、スキルや知識など「労働生産性向上のために必要な資産」です。ここでの筆者の方の主張をまとめますと、

- リベラルアーツとメカニカルアーツのバランス
- 経験学習を通して「暗黙知」を身につける

順に、解説していきます。まず、リベラルアーツとは一言でいえば「教養」であり、テクノロジーの発展によって、『共感能力』『意思決定能力』『創造性』がこれまで以上に人間に求められる時代に大きな経済的価値を生む知識です。また、テクノロジーや科学に否が応でも接していかなくてはならない時代に、より直接的に必要な知識として「テクノロジー」「科学」「工学」「数学」などは大きな経済的価値を生みます。

次に「経験学習」ですが、現場での体験を通して得られる知識のことです。たとえば、部長の経験を通してのマネジメントスキルやエンジニアの経験を通してのエンジニアリングスキルなどには、実践と繰り返しと観察を育んだ結果得られる「暗黙知」があります。形式知のような机上の知識ではない「暗黙知」には高い経済的価値があります。

2. 活力資産
こちらは、健康・友人・パートナーなど「我々に幸福感と充実感をもたせ、活力を与える資産」です。ここでの筆者の方の主張をまとめますと、

- ライフワークバランス
- 活力資産は「メンテナンス」が重要

まず、ワークライフバランスですが、従来のものとは少し異なった概念になるかもしれません。従来は「仕事」と「プライベート」の境界がはっきりとありました。朝、家を出て会社に出社して「仕事」、夕方ごろに終業したら会社から出て「仕事」から「プライベート」に戻るとはっきりありましたが、これからは少し違いそうです。たとえばリモートワークなど「働く場所」と「プライベート空間」が同じになったりと、「仕事」と「プライベート」の境界が曖昧になっていきます。リモートワークのように物理的な境界が曖昧になっていく面もあれば、社外で仕事に関することを勉強するように精神的に曖昧になっていく面もあります。この中で、「仕事」と「プライベート」の間の「感情の伝播」が激しくなっていく時代には、両者のバランスが大きく重要になるということです。

次に「メンテナンス」の重要性ですが、これは言うまでもないかもしれません。特にパートナーや親友に感謝の気持ちを伝えるようにします。

3. 変身資産
こちらは、人的ネットワークや主体性など「人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力」です。ここでの筆者の方の主張をまとめますと、

- マルチステージ時代では「変身」が必要
- 「変身」のためには「自己理解」と「多様性に富む人的ネットワーク」が必要

マルチステージ時代とは、冒頭でもお話ししましたが、「『教育』『労働』『引退』の3ステージではなく、複数のステージへの移行を繰り返す、複雑な人生設計を誰もがしていかなくてはならない時代」です。ここで、このステージへの移行を「変身」と呼んでいます。

そして、この「変身」のために必要な資産が「変身資産」なのですが、これを「自己理解」と「多様性に富む人的ネットワーク」に分けて考えます。まず「自己理解」の必要性は、「自分が何者かを知っている」状態でないと、社会への存在価値・経済的価値はないに等しいことから説明されます。過去・現在の自分を内省し、未来に向けて「ありうる自己像」を構築し、社会への存在価値・経済的価値を発信していくことが重要です。
次に、多様性に富む人的ネットワークですが、端的に申しますと「身内や社内の人のみでなく、より広く、より様々な人とコミュニケーションをとること」です。これからの時代は、大規模かつダイバーシティな人的ネットワークを構築し、その中で新しいロールモデルを見つけ、新ステージへの移行を決意することが必要です。

まとめ

今回は、長くなりそうなのでA4の半分までをお話ししました。テーマは「見えない資産」と言うことで次の3つに大別しました。

- 生産性資産...労働生産性向上のために必要な資産
例) スキル、知識

- 活力資産...幸福感と充実感をもたせ、活力を与える資産
例) 健康、友人、パートナー

- 変身資産...新ステージへの移行のための決意と能力
例) 人的ネットワーク、主体性、自己理解

これらの共通点は『その人だからこそ所有できる資産』であり、これら3つは「個人」にフォーカスされる時代に重要な価値となります。

次回予告

次回の記事は「マルチステージ」を具体的に掘っていきます。生まれた年代に合わせたシナリオや、「3つのステージ『教育』『労働』『引退』」に加わる新ステージのご紹介をしていきます。


本記事を通して皆様のお役に立てたなら幸いです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

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