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今、大切なのは「お金」ではなく、〇〇

こんにちは、のぐです。今日の書籍は佐藤航陽さんの「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」です。いつものように、本記事でご紹介する内容をA4にまとめてみました。ビジネスマンの間で一斉を風靡した、「新しい経済」を描いた本です。古代から現代までの経済を観察して、その「本質」を明らかにしながら、仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミーなど新たな考え方を詳細に解説してくれています。筆者の方が考える「評価経済」の概念は、世の中を少し異なった視点で見せてくれるかもしれません。

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結論

この本を一言でまとめさせていただきますと、

世界は資本主義経済から評価主義経済へと移行する

となります。最近新しく登場した「ビットコイン」「シェアリングエコノミー」はこの経済の流れの兆しとなっています。一体どういうことでしょうか。これまでの経済は「資本主義」をベースに考えられてきました。「資本主義」とは、モノ、カネ、ヒトなどの資本をツールとしてお金を生み出す考え方のことです。これにより、価値を運ぶツールでしかなかった「お金」が主役となり、それを増やすことが目的となってしまいました。いわゆる「手段の目的化」です。このような「資本主義」の限界を突破しようと試みた結果生まれた経済が「評価主義経済」です。「評価主義」とは、人々からの「評価」を最大化しようとする考え方です。すなわち、

「評価主義経済」とは、資本自体に価値があるといった考え方ではなく、多くの人から評価されているトコロに価値があるという考え方になります。

筆者の方は、この「価値」を次の三つに分類されています。

- 有用性としての価値(役に立つか?)
- 内面的な価値(愛、共感、信頼などの個人の内面にフォーカス)
- 社会的な価値(代替エネルギーなどの社会の持続可能性を高めるモノ)

これら「三つの価値」を意識しながら個人としても社会としても「進化」していく必要があるということが筆者の方の最大の主張です。シェアリングエコノミーや仮想通貨などの「本質」は、この「三つの価値」にあります。ビジネスマンとして、消費者として、どちらの側に立つ際もこのことを頭に入れて活動していくことが

お金から解放される生き方

になります。これから4記事に渡り、この結論の詳細をご紹介していこうと考えています。本記事は一つ目の記事です。

1. お金とは

未来を決める3つのベクトル

次の3つのベクトルで未来の方向性が決まると筆者の方はおっしゃいます。

- お金(経済)ベクトル
- 感情ベクトル
- テクノロジーベクトル

ここでのベクトルは「方向性」というイメージです。三つの方向性で、現在の社会が構成され、そしてある程度の未来にもフォーカスできます。本書はその中でも、「経済ベクトル」に深く掘り下げて社会を観察していく構成です。

Fintech

「経済ベクトル」と「テクノロジーベクトル」の交差点であるFintechは2種類の構成要素からなります。

- Fintech 1.0 ...既存の金融システムをテクノロジーで効率化する
- Fintech 2.0 ...ゼロベースからの再構築

Fintech 1.0とは、現在、世の中に整備されている金融システムを最先端のテクノロジーで効率化することです。イメージとしては「テクノロジーによる拡張」です。
一方、Fintech 2.0とは、今はまだない金融システムを最先端テクノロジーで構築することです。イメージとしては「テクノロジーによる開発」です。

お金の役割

ここで、古代から存在する「お金」を観察して、その「本質」を明らかにしたいと思います。お金の役割は主に次の3つです。

- 「価値の保存」としての役割
- 「価値の交換」としての役割
- 「価値の尺度」としての役割

余剰産物が生まれた時代、物々交換が盛んに行われていました。ところが、その物々交換では限界がありました。それらの問題を解決してくれる当時の最先端テクノロジーとして「お金」が生まれました。

たとえば、お肉を長期間保存することは、冷蔵庫のない時代には不可能です。その際、そのお肉の価値を保存してくれるツールとして「お金」が存在します。

たとえば、お肉ばかり食べていては健康によくありません。お肉の価値を保存し、小麦に交換するツールとして「お金」が存在します。

たとえば、お肉と小麦を直接交換する際に、お肉がどのくらいで、どのくらいの小麦と交換できるかということを決めておかねばなりません。それに、全ての食料・産物について規定を設けなければなりません。そうならないために、一つの「お金」というツールで全てのモノの価値を測ればいいという発想に至りました。これが「価値の尺度化」です。

資本主義

このように、「お金」は人々に便利なツールとして現在までほとんどその役割を変えずに使用されてきました。しかし、便利すぎるがゆえに大きな問題が生じました。価値を運ぶツールに過ぎなかった「お金」は、資本主義の考え方により主役となってしまいました。すなわち、人々は「お金」自体を増やすことを目的として活動し始めてしまったということです。いわゆる「手段の目的化」です。

経済とは「欲望のネットワーク」

次の3つの人間の欲望から経済が成り立っていると筆者の方は仰います。

- 本能的欲求...衣食住の欲求、異性からの目を惹きたい欲求など
- 金銭欲求...お金自体を美的報酬として感じる感覚
- 承認欲求...社会で認められる存在になりたいという欲求

承認欲求は現代の経済における重要な欲求で、たとえば、facebookなどのSNSで「いいね」されたいという社会的欲求のことです。

ここで大切なことは、経済とは、一人の人間によって定められた方向に動くシステムというよりは、社会に参加する一人ひとりの上記のような欲求が相互作用することで生まれるシステムということです。

経済システムを形づくる5要素

一人の権力者に左右されない、持続的かつ自動的に発展していくような「経済システム」は次の5つの要素から成ります。

インセンティブ...報酬が明確
従来は「生物学的な欲求」を報酬とする経済であったが、今日では「社会的な欲求」にフォーカスした持続可能な経済になりつつある

リアルタイム...刻々と変化
常に環境が変化する。今日の状況が明日まで続いているとは限らない環境が人々に緊張感を持たせ、経済の自動的発展に導く

不確実性...運×実力で成立
『成功』の構成要素に「運」と「実力」がバランスよく含まれた経済は人々に活力を与える

ヒエラルキー...秩序の可視化
客観的数値を比較して定められた階層は「守ろうとする者」と「追い抜こうとする者」を作り、経済に活力を与える

コミュニケーション...交流の場が存在
互いに助け合ったり議論しながらブラッシュアップしていく経済は、持続的かつ自動的に発展していく

さらに持続性と安定性を考慮すれば、これら5つに「寿命による移動先」と「共同幻想」が加わります。「寿命による移動先」は、経済から淀みを取り除いてくれ、「共同幻想」は、全員が信じればそれが価値となり、それだけ強固なものは経済に持続性をもたらします。

まとめ

Fintechを「拡張」と「開発」の2種類に分ける発想や、経済を「欲望のネットワーク」と捉えるところなど、「お金2.0」は私にとって新しい考え方を多くインストールしてくれる機会となりました。また本書は、興味深いテーマが色濃く紹介されており、本記事でご紹介しきれなかった内容もたくさんありますので、ぜひお手にとってはいかがでしょうか。


最後に、本記事をご覧になった皆様の今後のご多幸をお祈り申し上げます。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

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