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努力2.0 [LAST]

こんにちは、のぐです。今日の書籍は谷口一さんの「努力2.0」です。著者の方は「東大卒のプロゲーマー」で、2017年最大の世界大会で優勝を果たすなど好成績を連発しています。しかし、ときど(愛称)さんは、変化の激しいeスポーツ業界で一度大スランプを経験します。その理由はeスポーツ業界が

東大に受かる努力では、もう勝てない

という世界であったからです。従来の「東大に受かる」ための努力と、これからの「変化の激しい社会で勝つ」ための努力では全く質の異なるものあるとおっしゃいます。その違いは一体どういったものなのか?奇跡的なV字回復を成し遂げた「東大卒の世界的プロ格闘ゲーマー」が教えてくれます!

結論

eスポーツ業界という変化の激しい世界で戦い抜くための方法論は以下の通りと仰っています。左が「努力1.0」(従来の「東大に受かる」努力)、右が「努力2.0」(「変化に柔軟に対応できる」努力)となっています。

反復の法則
1.0 勝ちにこだわる → 2.0 負けの中に答えがある
仮説→検証→失敗のサイクルを急速に回す
環境の法則
1.0 一人でやる → 2.0 ライバルは敵ではない
ライバルは、切磋琢磨する同志
メンタルの法則
1.0 情熱だけで乗り切る → 2.0 心に負荷をかけない
燃え上がる情熱は持ちつつも、冷静な心のメンテナンスをする
継続の法則
1.0 己に勝って続ける → 2.0 頑張りはいらない
面倒くさがりな自分でも、自然に動く仕組みづくり
whyの法則
1.0 レールに沿って生きる → 2.0 嫌なことはしない
今、自分が取り組んでいることを好きになる
地力の法則
1.0 人と比較 → 2.0 自分史上最強になる
人に勝つだけでなく、自分はどうありたいか

では一体なぜ、このような「全く質の異なる努力」を求められるのでしょうか。それは「現代は正解がない世界で戦うことになった」からです。東大に受かるためには「正解が定まっている」問題に対して解答し合格点をとることが必要です。それ自体はもちろん難しいですが、ここで注目したいことは「ルールのシンプルさ」です。このような「ルールがシンプルな世界」では「努力1.0」が最適な努力でした。

しかし、eスポーツ業界では「急に今日からキャラクターや格闘ルールなどのシステムが変わる」という変化が頻繁に起こります。つまり「ルールが複雑で変化する」世界で「勝ち」を追求していくことが求められます。そこでは、全く質の異なる努力「努力2.0」が最適な努力になると筆者の方は仰います。

これからいくつかの記事に分けて、これら[変化に対応できる6大法則]の詳細をご紹介させていただきます(こちらの記事で最後です)。これらの法則は、eスポーツ業界に限ったことではありません。自分の生きる世界と照らし合わせて考えると当てはまることだらけだとわかります。

5. whyの法則: 嫌なこと「だけ」はやらない

そもそも努力を始める前には意識しておくべきことがあります。それが「なぜ努力するのか」という目的です。皆さんもお気づきかと思いますが、目的意識のない努力は「続かない」し、「身にならない」からです。

「義務」は「やりたいこと」とセットでこなす

僕が筆者の主張の中で最も響いたことが、このシンプルなルールです。

「義務」は「やりたいこと」とセットでこなす

ときどさんは、小学生の頃、勉強が「義務」でゲームが「やりたいこと」でした。ある日、両親に「勉強した分だけゲームもやっていい」と言われ、それを逆手に取り、「勉強すればするほどゲームもしていい」と前向きに捉えたのです。

このような現象は、大人になっての生活でも毎日起きていることかと思います。「やりたいこと」があるとき、どうしても「やりたくないがやらなければいけない義務」が表裏一体で付きまといます。それらをセットでやってしまい、相乗効果をもたらそうという考えです。

プロゲーマーというと、「好きなことだけで生きていける」と考えがちですが、実はこのような考え方をお持ちでいらっしゃると感動しました。この節の最後に次のようなことが書いてあります。

人にはそれぞれの事情があります。自分の答えを選択するのは現実が許さないことはあります。僕も、もしプロゲーマーが職業として存在しなければ、普通の仕事とゲームを両立する人生を選んだと思います。何であろうと自分が受け入れた道であれば、やってみて、失敗しても納得できる。それがいちばん大切なことなのです。

6. 地力の法則: 「自分史上最強」になる

「今のときどさんの試合は安心して見ていられるよね」

ときどさんは、大スランプ後、「実力」が底上げされてから、このように言われることが多くなったと仰います。では、その「実力」とはどのようなものなのでしょうか。

「実力」は、次の2つの構成要素から成り立っているそうです。

- 地力: 外界と関係のない「土台」の力
- 駆け引き: 外界との相互作用で発揮される「一過性」の力

そして、その黄金律は「地力 : 駆け引き = 8割 : 2割」です。つまり地力の重要性が大きいということです。なぜ、このようなことが言えるのでしょうか。それは「現在は大会の数が増えたから」とときどさんは仰います。

一昔前は、eスポーツ自体の注目度が低く、大会の数は少なかったです。このような時代では、「地力が劣っていても、駆け引きによって偶然勝てるという現象」が多く見られました。しかし、大会の数が多くなるにつれて、統計学的にも「駆け引きでの勝利」という『偶然』が減ります。そうなれば、自然に「地力の重要性が増す」という構図です。

「何が正解か」ではなく「どうなりたいか」

学生までは、「学業成績で結果を残す」、「スポーツの全国大会で優秀な成績をおさめる」などすれば、偏差値のいい大学に行けて、それが「正解」でした。誰かが決めたレールに沿って努力し、誰かが決めた正解を求める。それだけでよかったのです。

しかし、現代のビジネス世界は全く別の世界です。「テレビCMの衰退」「スマホの普及」など著しい社会変化の中で、従来の常識が通用しなくなっています。そのような世界でのロールモデルはなく、誰か決めた『正解』などあろうはずもないです。
eスポーツの世界でも「この大会に優勝したから一番強い」といった評価指標がないようです。

なので、これからの時代に必要なのは、「正解に対して正しく解答する」という『問題解答スキル』ではなく、「自分はどうなりたいのか」という『問題発見スキル』だと筆者の方は考えておられます。
よりわかりやすい表現に換言すれば『自分のポリシー』をもつことが必要だということです。

例えば、ときどさんの『自分のポリシー』は「人々からゲームっていいもんだなと感じてもらうこと」だそうです。こちらのポリシーのために直近の目標(たとえば、「次の大会で優勝する」)を設定し、そこに向けて努力するという構成です。

「ポリシー設定」→「直近の目標設定」→「そこに向けて努力して邁進」

と行ったフロー全体を「努力2.0」と呼ぶのかもしれません。


最後に、本記事をご覧になった皆様の今後のご多幸をお祈り申し上げます。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

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