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SIGMA 50mmF1.4DG/描写を優先させ大きさを無視したレンズ

 デジタルカメラを使うようになってからはズームレンズを主に使っている。理由はセンサーにゴミが付くのを避けるためにレンズ交換の回数を減らすためで単レンズは絞りを開けて撮る撮影にしか使わなかった。
ローパスフィルターが付いているカメラを使っている時は単レンズはフィルム時代のレンズということもあってシャープネスがフィルムカメラで使うより甘い感じがした。しかしローパスレスのカメラになると同じレンズでもシャープネスが上がり使う頻度は徐々に上がっていった。
その頃から「stillness」というタイトルで絞りを開けて風景を撮るようになり単レンズで撮ることが多くなったが使っているレンズがフィルム時代のレンズということで絞り開放で撮るとピントの合った部分の描写が甘い。開放から一絞り絞るとシャープネスだけでなくコントラストも上がるのでその辺りで撮っていた。
 2016年にブライダルの撮影で使うために購入したシグマの18-35mmF1.8DCをこの撮影で使ってみると絞り開放でもシャープな描写ということからこのレンズで撮ることにした。
「stillness」は50mm付近(使っているデジカメがAPSなので35mm)を使うことが多くそれまで使っていたニコンのAi35mmF1.4Sはフィルムで撮っていた時は多少線が細いかなという程度だったが18-35mmと同じものを撮ると差が歴然でこのレンズをデジタルで使うことは無くなった。デジタル用のレンズは年々シャープネスやコントラストが高くなりフィルム時代に良いと思っていたレンズを同じ場面で使うとがっかりというケースが増えてきた。
「stillness」はフィルムでも撮っていたがデジタルとの差が出てきたので撮る量が減ってきたがAPS用の18-35mmの28mmから35mmのイメージサークルの大きさを利用してフィルムでも撮ってみるとデジタルのようにシャープな線で開放でも甘くなることがないことから同じArtレンズである50mmF1.4DGを購入することにした。

左がシグマの50mmF1.4DG。右がコンタックス用の50mmF1.4。
コンタックスの方はフィルム用だが大半の50mmF1.4はこのくらい
 の大きさだ。                         

 2014年に発売されたので今では古いレンズかもしれない。重さは815グラム、フィルター径は77mmと一般的な50mmとしては重くて大きいレンズだ。
フィルムカメラは絞りリングがないので手持ちのカメラではニコンF6しか使えない。18-35mm同様ピントリングの距離の間隔が狭いうえにピントリングが重いのでMFでの撮影では
苦労するがニコンF6のファインダーはデジタルカメラと違いピントの山がつかみやすいので絞りが開放近くでもピントを外すことは少ない。

シグマ50mmの距離間隔は今のAFレンズと同じで距離の間隔が狭い。    
設計者はAFで撮ればOKと考えているが絞りが開放になってくるとAFの精度が
落ちるのでMFでの調整が必要なだけにもう少し間隔を広げて欲しいがピントの合う速度が落ちるのでこうなってしまうのだろう。            
コンタックス用の50mm。距離の間隔は広いのでピントの細かい調整が 
  しやすい。                             

デジタルに比べてザラザラした感じがあるがピントの合った部分は期待通りの描写で50mmという画角は使いやすく慣れるにつれてこのレンズ1本での撮影ということも多くなった。
モノクロしか撮らないのでパープルフリンジを気にすることもないので出やすい状況でも気にせず撮れるしピントを合わせるのもMFということでピントの山を確認しながら撮れるとうことでストレスも少ない。

一方デジタルカメラの方は悪戦苦闘。すでに18-35mmで経験しているので同じことで対応した。
まずはAFの調整。一眼レフカメラのAFの方式である位相差はF2.8より明るくなるとAFの精度が悪くなる。個々のカメラによってAFの精度が違うことからカメラの設定にあるAF微調節を使って調整した。


ニコンの場合MENUのボタンを押してセットアップメニューの項目に
AF微調節がある。                       


AF微調節をONにして調整をする。
人目盛りずつ撮影してピントを確認してOKボタンを押せば
登録ができる。一度登録しても再調整できるので撮っていて
ピントが合わなければ同じ作業をすれば良い。      

参考にしたのは以下のサイトである。

他にもあると思うので自分に合ったやり方を探すのも良いだろう。これで合わせても撮る被写体は平面でないこともあるのでずれることもあるので調整は根気のいる作業だ。
AF微調節は真ん中のクロスセンサーでしか調節できないので画面の周辺部分にピントを合わせる場合はコサインの関係でずれることもあるのでAFで合わせてMFで微調整ということもしばしばだがファインダーの性能が悪くピントの山が掴めないことから何枚も撮ることもある。1枚撮っては画面を再生し50%拡大でピントを確認。2,3枚でOKなら良い方で10枚位撮ることもありストレスが溜まりながら撮るという感じだ。
シグマにもUSB DOCKというレンズのアップデートやAFの調整ができるものがあるが個々のカメラで調整位置が違うのでカメラ側で合わせた方が良いだろう。
ピントが合っても開放から2絞りまでは逆光や背景が明るいとパープルフリンジが出たりと後処理で対応できるかということなどをこのレンズを使うようになって学んだし背景や明るさにより敏感になった。

 f1.4でピントの合ったところだけシャープに浮き上がり周囲や背景がボケるのは良いが被写体までの距離が1m以下になると被写界深度が狭くなるのでピント合わせが難しくなることからf1.8まで絞るとズレや周囲の光量落ちも減ってくるのでこの辺りの絞りで撮ることが多い。

上記はすべてフィルムカメラで撮影

 デジタルカメラはAPS-Cなので35mm換算では75mmと少し望遠になる。50mmのレンズだけに75mmのレンズより被写界深度は深くなるが絞りをうまく使えばピントの合う範囲を調整できるし85mmのレンズよりは寄れるので表現の幅が広がる。


上記はすべてデジタルカメラで撮影

 ミラーレス機になってレンズの大きさも小さくなっていく傾向だがこのレンズも小さくなっている。最近のカメラはjpegで撮る時にレンズの収差などがあってもカメラ側で修正しているようなのでミラーレス用のレンズが同じような描写をしているかは分からないがArtレンズと名乗っているだから良いレンズに違いない。最近になってニコンのミラーレス用のレンズをシグマも出すようになった。聞くところによるとニコンが発売しないレンズしか出せないようだがニコンは50mmのレンズはf1.2とf1.8しかない。昔なら50mmといえばf1.4が最初に発売されるが今のニコンは高い値段の機材を優先にして収益を上げようという考えのようで発売予定のレンズにもf1.4はないので今のうちにシグマの方で出してくれると良いのだがニコンZはあまり売れていないのですぐには難しいかもしれない。

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