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感受性1000の娘と1の両親の帰結_3/230608
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私は覚えていないのだけど、「大きな突飛」のスタートである「美大行く」話は母親からしても青天の霹靂of霹靂だったらしく私との会話を覚えているらしい。
記憶力皆無の母親に珍しく残っているストーリーだった。
「美大行く言うた時におかーさんがあんたに「英語できるんやから英語やりーや」て言うたんよ。
小学校から塾行ってたし勉強せんでも成績も一番良かったし。
そしたらあんたなんて言うたと思う?
「英語って高校入る武器なだけじゃん。もういらない」
て言うたんよ。
あんなに映画観てあんなに英語が好きやったのに、あっさり捨てるんよあんたは。
自分がもうええわ思たらもうええねんあんたは。
17歳やそこらやで?
おかーさんあの時ほんまに怖なったわ。
そんで今度は美大行く言うやん。
行けるわけないやん、なんもしとらんのに。
普通な、あれだけ英語できるならみんなそれを武器にすんで?
ひとつ何かができたらそれだけでええやん。
おかーさんなんもできひんで?
何よりあんたは英語大好きやったやん。
でも、確かにあんたは美術もずっと5やった。
あんま覚えてへんけど絵と習字はいっつもなんかの賞状もろて絵に金色だか銀色だか貼られてた。
それでもこの町でも絵が上手いて有名な子たちも武蔵美受けてあかんかったやん。
みんな知っとるやんそれ。
だからみんな無理や思てたけど言わへんかった。
それで、ほんまに武蔵美に入りよった。
どんな手を使てでもあんたはやりよる。
私はそれを一番よう知っとる。
だからもう、心配しとらん。
あんたは自分でなんでもやる。
みんなが「何言うとんねん」て思っとっても関係ないねん。
男使ってでも狡い手を使てもあんたはやりよる。
あんたには誰にも見えん未来が見えとんねんな」
この言葉を覚えているのは、母親の白旗が見えたからだ。
いや、認めてくれたのか、わからない。
母親は私をずっと信じていた。
信じなかったのは私で、実際に信じられない母親だったことも確かだ。
その関係がこの2年で変わり、この言葉で完全に変わった。
誰だって親には味方でいてほしいのだ、どんな親でも。
人は変えられない。
自分が変わるしかないと体感した2年間だった。
傷ついた記憶を守るために敵を作りたい。
他人でも友達でも恋人でも悪口を言われたら相手を憎みたい。
だけど、敵がいることはとても疲れるのだ。
その敵を味方と思うことはとても難しかったけれど、大きな成功体験を得られた。
その頃から人の悪口や悪手にほとんど気にしなくなれて、とても大きなものを私にもたらした。
相手も自分を守るためにそう言った/したんだと思うと同情するようになり、そういうことに時間を割かなくなれた。
外食恐怖になるほど他人の目を恐れた私はそのおかげでも克服することができて、とてもとても大きなものを手に入れた。
その上で敢えて聞いてみたい。
あなたの敵は本当に敵なのだろうか、と。
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