「バラカストーリア ~月と太陽に祝福を~」MVが良い!

 この曲を褒めると、このアカウントではバラしてなかったのに僕がシンデレラガールズPであることがバレるし、それ以上に僕の世界史好きが底の浅いエキゾチシズムから来ていることがバレるのが恐ろしくもあるのですが、それでも刺さってしまったものはしょうがないのです。
 忙しかったり、紹介するのをためらったりしている間にこの曲のイベントは終わってしまったのですが、曲自体は今後もプレイできます。

 ブラジル出身のナターリアとドバイ出身のライラによるユニット「ソルカマル」(ポルトガル語の太陽+アラビア語の月から名付けられたユニット名)はデレステより前のゲームであるモバマスでは印象的なユニットだったんですが、リズムゲームであるデレステでは声無しアイドルの出番はどうしても制限されるので今まで目立つ存在ではありませんでした。昨年ライラさんに声がついたことで、待望のユニット曲登場となりました。

 内容については見ての通り。異国情緒たっぷりの背景と衣装(僕は持ってない衣装なので、ゲーム内では公式MVを再現できないんですが)。太陽と月というユニット名から日食の展開は安易かもしれませんが、「出会うはずのない」という歌い出しともピッタリです。太陽に喩えられるナターリアと、月に喩えられるライラのキャラクター性を存分に表現した映像と楽曲になっています。
 ウユニ塩湖っぽい背景も手垢がついていると言えばそうなんですが、美しく印象的であるのは確かなんで、使い方次第でこのように美しい映像になり得るんですね。

 安っぽいエキゾチシズム。先ほど僕は自分の世界史好きの根源をそう表現しました。この言葉は僕自身への自己批判として述べたのですが、同じ言葉をこのMVに向ける方もいるかもしれません。いや、確実に居るでしょう。これに対して弁解させていただきますと、およそ全てのエンタメの源泉には「快」を求めるプリミティブな欲求が存在すると考えます。高尚とは言い難いプリミティブな欲求は、それ故に大きな根源的な力を持っていてそれ無くして人の心を揺さぶることはできないでしょう。しかしプリミティブな欲求は、我々受け取り手の視野をプリミティブな見方に押し込めるかもしれません。世界をプリミティブな見方で見ることは、本能的な、あるいは原始的な社会性に基づく偏見や排他性に導くかもしれません。
 このMVを見る時に僕の中に湧きおこった「エキゾチシズム」に限定して言えば、他民族・他国民へのステレオタイプな見方に基づく偏見、19世紀めいた「人間動物園」的な礼を失するかたちの好奇心というものが齎されるおそれが、自分の中に確かにあるのです。
 ただ僕はこれを「エンタメはエンタメ、現実は現実」「フィクションはフィクション、事実は事実」と切り分ける理性によって、そのようなマイナス面を自分の内面だけに留めておく程度には克服できると信じます。そしてあらゆる表現に対して、社会は肝要であるべきだと信じます。

 なんだか大げさな話になってしまいましたが、このような作品を肯定的に語ろうとする時、自分の中の良識的であろうとする部分、言い換えれば善人ぶった上から目線の俗物の部分が投げかけてくる意地悪な見方を撥ね退けて「それがどうした!僕はこの映像が気に入ったぞ!」と叫ぶまでにこれだけの葛藤が存在した訳で。
 面倒くさいヤツだと鼻で笑っていただければ本望です。

 アニメ、ゲームの話題が続いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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