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カラスのことを考えてみなさい

イエスは、「烏のことを考えてみなさい」と話をされたことがあります。とりではなく、カラスです。

カラスと言えば、人間にとってあまり価値のない鳥であり、その上、モーセの律法では忌むべき鳥とされ、食用が禁止されていました。

日本でも、カラスが大好きで、良いイメージを抱いているという人は、あまりいないことでしょう。

そんなカラスについて、イエスはこう言われました。

カラスのことを考えてみなさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、納屋も倉も持たない。だが、神は烏を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりもどれほど価値があることか。
(ルカ12:24 新共同訳)

人間から嫌われ軽んじられていたとしても、カラスなりに命を生きており、神によって生かされています。

私たちは、時に自信を失い、劣等感にさいなまれて、自分には何の価値もないように感じることがありますが、神にとってはカラスでさえ養う価値のある大切な存在です。

そして、私たちはカラスよりもどれほど価値があることか、とイエスは言われます。だから、あれこれ心配せず、神を信じて人生を歩みなさいと。

たとえ、自分にはカラス以上の価値がなく、せいぜいカラスと同程度だと感じたとしても、聖書には、カラスについて興味深いことがいくつも書かれています。

1)イエスが語られたことと同様に、旧約聖書でも、神はカラスを養う方であるとされています。(ヨブ38:41詩篇147:8-9

他の鳥ではなく、カラスを養うという言葉が何回も登場するのは、どんなに価値がないように見えても、神にとっては大切な存在であるということを私たちが気づけるようにでしょう。

2)雅歌では、カラスの羽の色が、美しく若々しい髪の毛を形容するものとして使われています。(雅歌5:11

日本にも、美しく艶やかな黒髪を形容する言葉として、烏羽色からすばいろという色名がありますね。

汚いイメージのあるカラスですが、実はとてもきれい好きであり、神から与えられた美しい羽をよく世話しています。

きっと、なんの取り柄もない人などおらず、実際には神から素晴らしいものが与えられているのに、それを活かしていないだけなのかもしれません。

3)ノアは、洪水後の外の様子を探るために、まずカラスを箱舟から放ちました。

四十日の終わりに、ノアは自分の造った箱舟の窓を開き、カラスを放った。すると烏は、水が地の上から乾くまで、出たり戻ったりした。
(創世記8:6-7 新改訳2017)

大洪水で洗い流された地面には食べるものが何もないけれど、水面にはカラスの餌になるものがたくさん浮かんでいました。

カラスが箱舟に戻ってくるということは、水がまだ遠くまで引いていないしるしなので、それによって水の引き具合がわかると、ノアは考えたのでしょう。

4)カラスは、イスラエルに飢饉があった際にも、神から遣わされて預言者エリヤを助けるという栄誉にあずかりました。

主の言葉がエリヤに臨んだ、「ここを去って東におもむき、ヨルダンの東にあるケリテ川のほとりに身を隠しなさい。そしてその川の水を飲みなさい。わたしはからすに命じて、そこであなたを養わせよう」。 エリヤは行って、主の言葉のとおりにした。すなわち行って、ヨルダンの東にあるケリテ川のほとりに住んだ。すると、からすが朝ごとに彼の所にパンと肉を運び、また夕ごとにパンと肉を運んできた。そして彼はその川の水を飲んだ。
(列王記上17:2-6 口語訳)

「神が養っておられる」と言われたカラスが、ここでは神に命じられて、まるでフードデリバリーのように、エリヤに必要な食べ物を届けています。

神は、どんなに軽んじられたものでも、神の御心を成し遂げるために用いてくださるのです。

もし、自分についてがっかりすることがあるなら、神は卑しい鳥と見られているカラスにでさえ良くしてやり、素晴らしい特質を与えられたし、大切な場面で用いてくださったことを思い出せますように。

そして、主が、私たちはその「カラスよりもはるかに価値がある」と言っておられることを。


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