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恐れる私たちへの喜びの知らせ

何か思いがけないことが起こると、私たちは戸惑うし、それが良くないことをもたらすのではないかと不安や恐れを抱くこともありますよね。

「最初のクリスマス」であるイエス・キリストの誕生に関わる記述(ルカ1~2章とマタイ1章)では、天使が4組の登場人物に現れて、「恐れるな」と告げています。


▶ ザカリア: 祭司のザカリアは、神殿で務めをしていた時に天使が現れたので戸惑い、恐怖の念に襲われました。おそらく、いきなり天使が部屋の中に出現したら、誰でも怖いと感じることでしょう。

天使は彼に「恐れるな」と告げた上で、「子がなく、すでに年老いていた」ザカリア夫妻に男の子が生まれ、さらに、その子が神の預言者になるという「喜ばしい知らせ」を伝えました。(ルカ1:5-19

▶ マリア: 天使は次にマリアに現れ、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」と挨拶したので、マリアは、この挨拶は一体何を意味しているのだろうと戸惑いました。

「おめでとう」と訳された言葉は「喜びなさい」という意味で、当時は日常の挨拶として、ほとんどの場面で使うことのできるものでした。「主があなたと共におられます」(主があなたと共におられますように)も、挨拶の言葉です。

天使はマリアにも「恐れるな」と告げ、彼女が聖霊によって、「神の子」と呼ばれる男の子を宿す恵みにあずかるという喜びの知らせを伝えました。(ルカ1:26-38

▶ 羊飼い: イエスが誕生した夜、その地方で羊の群れの番をしていた羊飼いたちに天使が現れたので、彼らも「非常に恐れ」ました。戒律を守れず、社会からさげすまれていた自分たちを罰するために、天使が来たと思ったのかもしれません。

そんな彼らに、天使は「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える」と語り、救い主キリストが生まれたことを知らせました。

天使が去った時、羊飼いたちはすぐにベツレヘムへ行ってその赤ちゃんを探しあて、「見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った」とあります。(ルカ2:8-20

▶ ヨセフ: マタイの福音書では、マリアの夫ヨセフに天使が現れています。彼らはまだ婚約状態でしたが、当時の婚約はほぼ結婚の一部とも言え、法的には結婚と同様の拘束力がありました。

そんな時にマリアが自分以外の誰かとの子どもを妊娠したことで、ヨセフは動揺していました。戒律を破った(ように見えた)マリアとそのまま結婚すれば、神を怒らせ、世間から白い目で見られるに違いないと、恐れたのでしょう。

そんな彼に天使が現れて、その子は他の男ではなく「聖霊によって宿ったのである」から、「恐れず妻マリアを迎え入れなさい」と告げました。そして、その子は旧約聖書で「インマヌエル」(神は我々と共におられる)と呼ばれていた救い主であるという喜ばしい知らせを伝えたのです。(マタイ1:18-25 新共同訳)


天使はこの4組の人たちに、「恐れるな」と告げるだけではなく、喜びの知らせも伝えています。ただ、羊飼いたちはすぐにその実現を見ることができましたが、ザカリア、マリア、ヨセフにとっては、天使が言ったとおりに男の子が生まれたとわかるまでに何ヶ月もかかり、さらに、天使に告げられたとおりの役割を果たしたとわかるまでに、何十年もかかりました。しかもヨセフは、イエスの宣教が始まる前に、すでに死んでいたようです。

きっと、その実現を見るまでは、天使のメッセージを思い出して喜びに満たされたこともあれば、「本当にそうなるのだろうか」と心配になったこともあると思います。私たちも、神の約束について同じように感じることがあるのではないでしょうか。

私たちが恐れや不安を感じる時、神は「恐れるな」と告げるとともに、むしろ喜ぶべき理由を教えてくださることがあります。でも、すぐにそれを目にするとはかぎりません。何ヶ月、何年もかかることがあるし、天国へ行くまでそれを見ることができない場合もあることでしょう。

それでも、「約束をして下さったのは忠実なかたである」(ヘブル10:23)と信じ、神が約束された喜びを信じるなら、いつでもその喜びを自分の力とすることができます。

今年もクリスマスが近づいてきました。天使が宣言した「大きな喜び」、救いの喜びを祝う時です。恐れや不安を感じる私たちを愛し、「神が私たちと共におられる」しるしとしてイエスが来られたことを祝う時です。

このクリスマス・シーズン、皆さんの心が希望と喜びで満たされますように。クリスマスおめでとう。主があなたと共におられます。


どうか、希望の神が、信仰によるすべての喜びと平安であなたがたを満たし、聖霊の力によって希望にあふれさせてくださいますように。

(ローマ15:13 新改訳2017)



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