門司港地ビール工房(福岡)
明治時代のレトロなムードを色濃く残す北九州・門司港エリアで、1998年からクラフトビールを醸造している老舗が門司港地ビール工房(門司港レトロビール)です。
歴史的な建造物を多く残し、観光地として大いに賑わうこの街で、黎明期から存在感を放ち続けてきたこのブルワリーを僕が初めて訪ねたのは、かれこれ15年以上も前のことでした。2020年になって閉鎖のニュースを耳にした時にはなんとも残念に思ったものですが、一昨年、小倉の街を散策中に偶然の“再会”を果たしました。
諸事情により門司から小倉へ移った同ブルワリーは、少しポップな装いにリニューアルされましたが、ラインナップはピルスナーやヴァイツェン、ペールエールを中心とする、クラシカルな作風のまま。
主原料の麦芽はドイツ産にこだわり、本格志向のビール党も納得の味を表現しつつ、季節により地域のフルーツを副原料に用いるなど、多彩な味わいを展開しています。
門司港の地名を冠して新天地へ乗り出した同社のビールは、いまもどこかモダンレトロなムードを残していて、それが最高のアイデンティティーになっているように感じられます。きっとこれからも多くのファンに支持されることでしょう。
クラフトビール業界では最古参の一角ながら、なかなか都内では見かける機会のない貴重なビール。「ビビビ。」でもぜひ積極的に発信していきたいと思います。
〈Text By Satoshi Tomokiyo〉
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