バタフライブルワリー(愛知)
いつか音楽を聴きながら美味しいビールが飲める空間をつくりたい――。愛知県春日井市出身の入谷公博さんが、プロのフルート奏者であった妻の光江さんとそんな夢を語り始めたのは、今から数年前のことでした。
ところが、実際にブルワリー設立を目指して準備を進めていた2020年の秋。光江さんは病床に伏し、帰らぬ人となります。
突然のことに大きな悲しみにくれた入谷さんでしたが、2人の幼い愛娘を抱える身ゆえ、前に進み続けるしかないと自らを鼓舞。コロナの影響で設備の到着の遅れるなど、予期せぬトラブルに見舞われながらも、2022年8月から醸造をスタートしました。
ちなみにバタフライの名は、春日井市の形が蝶に似ていることが由来なのだとか。
最大の特徴は、すべての商品名が楽器になぞらえられていること。たとえば、複数のホップを大胆に投じて繊細かつワイルドな味を表現した「ギター(Kasugai Ale)」。苦味を抑えてフルーティーに仕上げた「ヴィオラ(Hazy IPA)」。シトラス香とやさしい苦味のアンサンブル「フルート(WhitePaleAle)」。いずれも名前負けのない確かな仕上がりで、愛知県内を中心に着々とファンを増やしています。
今後は地域の名産である桃、そしてサボテン(!)を使ったビールづくりに取り組みたいと入谷さんは語ります。
なお、醸造所には夫婦の夢を体現した、コンサートスペースを併設。現在、月に1~2度のペースで、ビールと音楽を楽しむイベントを開催しています。興味のある方はぜひこちらもチェックしてください。
〈Text By Satoshi Tomokiyo〉
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