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Vol.7 合理性とは異なるもの ~ヘラヴェダガマおぼえがき その4~

継承についての会話は続きます。人間が良かれと思うことと、宇宙のそれはちょっと違うのかも?自分にしみついた思考のクセについての気づきも。

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たま: ヘラヴェダガマって世襲制だから、血筋をすごく大切にしているでしょ? 生き残るのが難しくなっているのには、血筋のこともあるんじゃないかな。各家庭での子供の人数が少なくなっている時代に、血筋で縛るのは、なかなか厳しいよね。

とはいえ、家が、一族が宇宙から指名されているという受け止め方をしている以上は、近所のセンスの良さそうな子を捕まえてきて、「君にあとを継いてほしい」とはなりにくいんだよね。

さき: それって、合理的な行為になってしまうもんね。宇宙との契約じゃなくなっちゃう。

そもそも、人間が主体でなにかを「守りたい」って思っていいのかどうかもわからないよね。
宇宙が守りたいと思ってきたから続いてきたわけであって、人間の意思でどうこうできるものじゃないかもれないし。ヘラヴェダガマの人たちは、そこも含めて委ねている気がするな。

たま: そうだよね。続いた方がいいはずっていうのは、人間の考えであり、願いだもんね。その前提自体が、違うのかもしれない。

さき: 延命治療的な考え方ともいえるよね。身体中にチューブをつないでいる状態で生きていてほしいと思うのは、誰なんだろう?っていう。

たま: うん、そうだね。こうして話してて思ったんだけど、私、なんだかんだいって、続けるための方法、発展の仕方の模索に、つい思いがいっちゃってる。言葉では、彼らの運命論や定めに従うことを認めつつ、思考としては、残すにはどうしたらいいかって方向に進んでる。その方向がいいはずって前提条件が自分の中にあって、いつのまにか思考が単純化されてる。

さき: 思考を単純化して効率よく進めていくことが良いという教育を受けてきて、アメとムチを与えられてきて、それなりに現代社会での恩恵=成功体験もあるからね。

たま: 単純な思考や、画一化したものの見方から抜け出したいと思っているのに、気づくとその枠の中にいるっていうのが、なんか残念(笑)

さき: でも、抜け出したいと思ってるから、ヘラヴェダガマを取材できたんじゃない?
効率化を極めていきたいと思っている人は、また違う世界が開けていくと思うし。
私たちもこうして、アーユルヴェーダやヘラヴェダガマや伝承舞踊に出合えていることで、宇宙と少しは契約できてると思うんだよね?どうかな?おこがましいかもだけど!

たま: あとは、練習しかないのかもしれないね。
違う視点ではどうかなとか、理屈より感覚を優先してみようとか、これは埋め込まれた常識なのではと疑うとか、そういうことを意識して行動して、単純化に気づいたらやりなおして…。
うまくできなくても、その構えを取り続けることからしか始まらないよね。

さき: とても共感しているうえで、あえてサービス精神的なところで聞かせてほしいんだけど(笑)、なんでその構えをとりたいの?そんなことしなくても、いまの見えてる社会の価値観にちゃんとシンクロして、そこに没入して生きていくこともできるわけじゃない?その方が楽だし、得るものが大きいかもしれないよ?

たま: それだと、自分の中にパターンができて、硬直化して、狭い世界に入っちゃうからだと思う。あとはさ、出合ったものを柔軟に受け止めていった方が、やっぱり面白いよね。

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次回は、お医者さんとの相性や友達についてのお話しです。

photo by Satoshi Osaki


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