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新米手配師の日常7

通翻訳者として地道に活動してきた私がひょんなことからコーディネーター(手配師)に。 これまで見てきたのとは別の世界がそこに…そんな新米手配師が気づいたことを徒然なるままに書いてみます。

適切な連絡ツールとタイミング

スマホ時代になってから連絡ツールが増えましたよね。電話、メール、各種チャットアプリ。さらに返信の早さも求められるようになってきています。ただ、これだけツールがあるということは各業界、各人にそれぞれ好みがあるということ。また、返信は早ければいいのではなく、「適切なタイミング」が大事。結局はコミュニケーションツールですからね。そんな連絡手段をめぐる実態と悲喜こもごも、それから手配師になって気づいたことについて書いてみます。

電話について

今どき電話なんて時代遅れ、などとある論客が言ったとか言わないとか。確かに、電話をかけて通翻訳者さんに怒られることがあります。仕事中に突然かけてこられてびっくりする、口頭で言われても話の内容が消化できない、などなど。
エージェントの手配師は主にメールで依頼するでしょうが、官公庁や司法通訳など直接契約を結んでいる場合はすべて電話で行われていますから、絶滅危惧種というわけではありません。
私も実は電話は苦手な方ですが、手配師になって込み入った案件ほどメールは難しいと実感しました。メールはあくまで連絡手段ですので、複雑な案件や納期、レートの調整にはまどろっこしくて向かないですね。
また、上司からは特に通訳案件の前には一言通訳者さんと話すことを心がけるように言われています。大ベテランで気にしない方もいらっしゃるかもしれませんが、案件前に一言話すと、とげとげしい雰囲気がなくなり、相手も安心して現場に臨めるようです。

メールの場合

スマホからPCメールを返信できるようになってから、返信は本当に早くなりましたよね。相手の時間も邪魔しなくてすみますし、万能のように思えますが、上記のように込み入った話には向かないですね。
さらに、「返信はとにかく早く」と思い込んでいるのか、チャットアプリのごとく弾丸のように送ってくる方がいます。メールソフトによっては、途中のメッセージが折りたたまれて見えないこともしばしば。行き違いの元になりがちですし、「落ち着こうよ!」と思います。頭に思い浮かんだことをただ書いているだけのメールもあり、「配慮がないなあ」と手配師の心象も悪くしかねません。
また、メールは受け取る側から見ると、送り手が思っている以上に強い・怖い印象を相手に与えがちです。プライベートなら絵文字を使って柔らかいトーンにすることもできますが、ビジネスメールではできませんよね。他の職業ならともかくコミュニケーションの担い手なのに受け手のことを考えないなんて…と残念に思います。

チャットアプリの場合

LINE, 携帯のショートメッセージ、TeamsたまにWhatsappやメッセンジャーなど。 小さなエージェントさんでLINEやTeamsを使っているところはありますね。私もちょっとした連絡にショートメッセージを使うことはあります。
ただ、連絡の補助手段ですから、正式な依頼や後々証拠にしたい話の場合は必ずメールで送っています(携帯電話を買い替えると履歴が残らないことがあるため)。
また、他の連絡手段に比べてさらにスピードが求められるため、返信に時間がかかる場合は「**までに」と見通しを伝えています。
そして、チャットアプリだからといって文体や書き方を崩さないことも心がけています。
以前、ある司法書士さんと関わったことがあるのですが、ショートメールに送ってきた文章、フォーマット、タイミングが見本にとっておきたいくらい完璧で、爽やかな風が吹いてくるようでした。実際、お仕事も申し分なかったです。
それ以来、文章にはどんな形であれ、その人のありのままが分かってしまうという気持ちで入力しています。

新米手配師の学んだこと

万能な連絡ツールはない。目的をしっかり認識して使い分けること。タイミング、文章も読み手のことを念頭に置くこと。

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