2021-22 エヴァートン PSM vsミジョナリオス/マッチ・レポート
フロリダカップ vsミジョナリオス
1-1(PK10-9)
マッチ・レポート
はじめに
つらーいニュースばかりのエヴァートンですが、明るいことにも目を向けていきたいですね。
ということで、めでたくベニテス陣営、初タイトルを得ましたフロリダカップ、ミジョナリオス戦の「簡単・雑感」マッチ・レポートをお送りします。
ポジティブ、ネガティブ、いずれも感じた試合でしたが、個人的には後半が見ていて楽しかったですね。
前半、後半に分けてそれぞれ<守備>と<攻撃>の感想を記しておきます。
前半/守備
スターティングメンバーは上記の通り。
静的なシステムは4-2-3-1がベースと思われます。
基本は相手にボールを持たせて、カウンターで主導権を握ろうとする意思がうかがえました。
守備時→4-4-2のオーソドックスなブロック守備。
2FWのケーンとハメスはハイプレス実施せず、大まかなパスコースの限定に留まる様相。
対するミジョナリオスは出足から鋭く、ハイラインでした。攻撃時はDF3枚のビルドアップで可変、大外いっぱいに幅を取って、3-4-3のような陣形も見られました。
エヴァートンにおけるプレスのスイッチを感じたのは、「相手のウイングにボールが入った際」と、「相手ディフェンスラインからピボーテにボールが渡った」タイミング。
中央では、多くの場面でアランが強度あるプレスを仕掛けていました。ファウル覚悟の圧力で、自分のエリアを空けてでもアプローチしていましたね。
ただ、2FWのプレス&パスコース限定の圧力が弱いので、簡単に中央への侵入を許し、アランが深めに飛び出しているのは懸念事項。
プレスをかわされて自陣DFとのライン間に持ち込まれるケースは少なくありませんでした。
対策としてドゥクレもアランサイドに寄せてオーバーロード気味な攻撃状況になることで、ネガティブトランジションでカバーへ入りやすくなるような姿勢は感じられました。
右サイドのタウンゼントはチェイシング意識が高く、素早く帰陣、内側から相手サイドアタッカーにチェックを施していました。イウォビのチェックに比べるとよりスピードを感じたレベルでした。コールマンとのマークの受け渡しや連携はまだまだこれからの印象ですね。ただ、クリスタルパレスでの経験を始め、すでに慣れた守備戦術かな、と思います。
CBはゾーンを守って、極力サイドや前方向への飛び出しは避けていた印象です(細かいところをお伝えすると、アンチェロッティ政権と異なり、RCBがホルゲイト、LCBがゴドフリーでした)。
CKも同じくゾーン守備、ですがゾーンに入ってきた相手を誰も捉えられない始末でしたので、ここは要改善ですね。ノータッチにはしないはず。
コロンビアリーグの強豪とはいえ、このレベル相手にはディフェンスが通用していましたが、奪いどころのスイッチなどは今後も注目していきたいポイントです。相手陣内のハーフコードでFWが中途半端にプレスをかけ、アランがその対処に飛び出す場面(45分のシーン)などは、かえってピンチを招く懸念を抱きました。今後より高いレベルの相手に対し、奪い所をどのように定めるかは、守備構築が得意なベニテスの特徴になるかと考えています。
古典的、オーソドックスだからこそ、相手に合わせてどのように変化していくかは興味深いです。
前半/攻撃
目立ったのはロングボール。
DCLのような明確なターゲットは不在ですが、ケーンやタウンゼントを裏のスペースへ走らせていました。ビルドアップの早い段階からフィードを送る選択が優先度として高い印象です。相手にボールを持たせて自陣に誘き寄せることで、前方に広めのスペースを確保していました。イウォビもスペースへランニングして、ディニュの駆け上がる奥行きを作る工夫も見られました。
この選択肢ではケーンのボール保持力、キャリー後の判断力に目がいきました。改めてですが、ちょっと球離れが悪い。タメを作るというよりは仕掛けつつも結局奪われるような形。チャレンジするのはアリと思うものの、あくまでもポジショニングセンスに非凡さがあると思っているので、ポストプレイヤーとしてもドリブラーとしてもカウンタースタイルでは向いてないかなあ、と感じた次第です。
左サイドからはディニュの高精度クロスが1本。ポジショニング良しなケーンが頭で合わせますが、ボールの行き先はバーの上。DCLならネット揺らしてたんだろうなー、と天を仰ぐシーンでした。
右のタウンゼントはコンディション良さそうで、切り返しからのクロス、逆の右足でのクロス、ミドルレンジからのシュート2本と存在感がありました。昨季に深い位置へ切り込める右サイドが不足していたので貴重な選択肢が増えました。皆さん、上記公式のツイート&ハイライトはご覧かと思いますが、シュートのパンチ力が半端ないですね。
ハメスはやはりハメス。コーナーアークに向かうと同時に、スタンドからは熱い歓声が。
展開力とパス精度は流石、しかし相手もその脅威はよく分かっているチームなので3人に囲まれるなどチェックは厳しく。1度ではないボールロストからの被カウンターは悩ましいですね。
この試合では給水タイムが設けられており、選手に細かく指示を伝えているベニテスが印象的でした。
後半は続々とメンバーチェンジを行います。
メンバーチェンジ
46' ゴードン(outハメス)
46' グレイ(outタウンゼント)
46' ブロードヘッド(outモイゼ・キーン)
46' ゴメス(outドゥクレ)
46' ケニー(outコールマン)
61' アンダーソン (outディニュ)
61' マイケル・キーン(outホルゲイト)
61' グバミン(outアラン)
73' デイビス(outイウォビ)
73' ギブソン(outゴドフリー)
ガラッとメンバーが変わったことも理由として挙げられますが、特に攻撃面においては別のチームになっていました。プランも変更されたと推察します。攻撃面において、前後半で2スタイルの戦い方が垣間見えました。
後半/守備
前半と同じく4-4-2のブロック守備。
左から右へ移ったイウォビ、左に入ったゴードンも相手のSBやSHにボールが入るとプレスを仕掛けていました。
アランは引き続きハイプレス。グバミンと交代してからはゴメスがやや前傾姿勢、守備においてグバミンは少しバランスをとって後傾の様子でした。
ゴドフリー、ホルゲイトはパスミスなどは互いにありましたが、守備では大きなミスなく。代わって入ったマイケル・キーンも無難に対応。LBでディニュと代わったアンダーソンは初見。一発で相手に飛び込んでしまうシーンがありました。アピールに繋がるシーンはありませんでした。
一方で、同じく若手のギブソンはCBで出場。楔を狙ったパスがありましたが少なくとも2本のパスミス。こちらも時間が少ないこともありますが、アピールまでには至らなかった印象です。
そして、前後半通してベゴビッチが最も守備陣においてアピールに繋げた試合だったと感じます。際どいコースのシュートをしっかりストップ。パスも冷静に繋ぎ、スローイングの判断も良かったと思います。頼れる存在感を示しましたね。これくらい当然、と言わんばかりの無表情さが渋かったです。
後半/攻撃
驚きを与えてくれたのは新興勢力のブロードヘッド&グレイ。
昨季、リシャーリソンが良し悪し含めて利己的な姿勢を見せたことは指摘してきましたが、この2人のような振る舞いができていれば…と思うほど、良いシーンを連発していました。
まず、パスの受け方が良かったです。前を向くタッチ、斜めのランニング、受けてからの滑らかなキープと、次のプレー選択への判断の良さ。
お気に入りのシーンは2つ。
ひとつは63分、前傾姿勢のゴメスが高い位置でボールを奪うと即座にショートカウンターへ移行。ハーフレーンへ流れ込んだブロードヘッドへボールを綺麗に送ると、バイタルエリアへ侵入したブロードヘッドは相手GKに倒されPKを獲得。縦へのスピーディーな展開が見られました。
ふたつめは66分、後半から出場のケニーが光りました。躊躇ないオーバーラップは、前半のコールマンより勢いがあり、同じ時間帯に出場した後輩のアンダーソンとは場数の違いを見せつけたと思います。ケニーのランでポジションを大外からハーフレーンへ移した同サイドのイウォビ、スキルあるタメを作ったグレイの3人で、流動的な崩しの場面を作りました。
互いに多数の選手を入れ替える中で、前半ほどの強度を見せなくなったミジョナリオス。そのパフォーマンスレベルの変化もあったと思いますが、ショート&ロングカウンターともに2人のエヴァートンFWが相手ゴールに迫りました。
そして、主にそのチャンスメイクを行ったのはイウォビとゴメス。
ゴメスは持っている能力の一部に過ぎないような振る舞いなので、これくらいやってくれて当たり前!みたいな目線はあるのですが、イウォビの縦〜斜めの鋭いパスは昨季余り見られなかった、本来の魅力を見た気がします。クロスを''上げさせられてた"んだなあ…。
このゴメスとイウォビからパスを引き出した、ブロードヘッドとグレイのムービングは期待を抱かせるものでした。互いにポジションチェンジをナチュラルに行いながら、効率的なカウンターを実現させていたと思います。
加えて挙げたいのはグバミン。
前述のとおり、ゴメスが前に出ることで、段差をつけて後傾気味だったグバミンですが、持ち味の推進力を見ることができました。前にスペースがあれば力強く前進できるのは彼の強みですね。前半、そこまで目立たなかったドゥクレの代わりも十分担える雰囲気がありました。怪我さえなければ、離脱することさえなければ…もっとピッチで躍動するグバミンが見たい!
おもしろかったシーン
①PKを獲得したブロードヘッド。画面からはキッカーを務めたい仕草が見られましたが、ボールを握ったのはゴードン。俺に蹴らせろやあ!って感じでボールを脇に抱えていましたが、画面が切り替わる間に結局ペナルティスポットに立ったのはグレイでした。ちょっと!どんなやりとりがあったのー!?
②続けてブロードヘッド。前線でボールを受けに入ってヒールフリックを魅せたのが2回。おしゃれプレーまで演じてしまって、ゴードンが裏街道を魅せたのも霞んでしまうくらい。
ちょっとモヤモヤなシーン
アップ中のデイビス、渋い表情がキマっております。
今季のアップシャツ、いい感じ…。
①ダブルピボットの交代枠がゴメスとグバミンに使用されて、その後から出場したデイビス。ポジションはイウォビに代わって右のウイングでした。分かってはいましたが、とってもやりづらそう。守備時には4-4ブロック形成することは何ら問題ないですが、攻撃に移った際に中途半端なムービングに終わってしまいました。時間も少なかった…プーマス戦では頭からピボーテで使ってくださいね、ベニテスさん。
②これは結果的に良かったことかもしれませんが、ハメスが前半で退いてから、攻撃がとても流動的になりました。遅攻を用いないことで効率的で簡略化されたシーンが増えることとなりました。
やはりハメスの使い方は難しい。いてくれたら、他の選手にはない振る舞いを提供してくれますが、いないことでチームがうまく回ることも再認識いたしました。
PK戦はなかなか見られない光景でしたので新鮮でしたね。パネンカ・スマイルのケニー、中央に堂々と叩き込み、直後セービングも果たしたベゴビッチ。ダブルレフティーのアンダーソンとギブソンも冷静でした。そして、みんなPKうまい。ゴードンは惜しくもウッドワークの憂き目に。
今回、出場出来なかったFWウィテカー、GKのヴィルジニアとタイラーも機会をもらえると良いですね。
あ、そういえばバニンギメがツアーメンバーにいないことに気づきました。MFが多いから仕方ないのかしら…残念。
まとめ
ユーロメンバーの休暇、リシャーリソンのオリンピック挑戦、未だ闇に包まれたままのシグルズソン、少なからず影響を受けたデルフが帯同しないなど、アーセナル、インテルの不参加、様々な要素が重なって実現したフロリダカップ。
まだまだ探ることは多いですし、断言できることは少ないですが、待ち侘びる開幕までしっかりと追ってみようと思います。
そして、ご報告ですが…
今回初めてエヴァートンのオフィシャルメンバーシップに加入してみました。
プレシーズンマッチを視聴するにあたり、メンバーシップを薦めてくれたフォロワー様、視聴方法や加入後のアドバイスを下さったフォロワー様、ありがとうございました。オフィシャルグッズ届くのが楽しみです。
7/29プーマス戦、8/7ユナイテッド戦
もし時間を作れたら…マッチ・レポートを書きたいと思っています。
あ、月刊NSNOはちゃんと8月中にアップしたいと思いますのでお楽しみに〜!
歓声とリアクションが響くスタジアム。
最高だ…
気に入ってくださり、サポートしてくださる方、ありがとうございます。 今後の執筆活動や、エヴァートンをより理解するための知識習得につなげていきたいと思います。