飛行機移動が大変なチェロは移動先の数だけ所有しておけば良いじゃない
育った国も生活レベルもスタイルも、みんな全く違うのにどういうわけか意気投合して、かつては毎日のように顔を合わせ、一緒にヨガをし、しょうもないことやら真面目なことやらにワイン片手に熱い論議をしていた友人たちが、近年みんな地方やら海外やらへと引っ越してしまってなんとも寂しい限りだったのですが、どういうわけか今週、全員ロンドン集結となりました。
近況報告で、私がチェロを習い始めたと伝えると、今までこれっぽっちもそんな話を彼らから聞いたことがなかったのに、2人とも「私もずっとチェロ習いたいって思ってたの」というではありませんか。おかげで思わぬところでチェロ談義。と言っても誰もその世界に精通しているメンバーはいないので、チェロの容姿がいかに美しいかだとか、私がどれだけ酷い音を出しまくっているか、などというしょうもないことで盛り上がっていたわけですが。
その仲間のひとり、超絶裕福層のクリス(仮名)は今回のロンドン滞在中にチェロを買いたいとのこと。香港・上海・ロンドンを数ヶ月ごとに移り暮らしている彼女。チェロの飛行機移動は、1席チェロ用に買わなきゃだし大変じゃない?と、そういえば彼女にとっては1席余分に買うなんてどうってことないんだったと思いながら聞いてみたら、「私の場合、チェロは3つ買うことになると思うのよ」と想像の上をいく回答が返ってきました。
最初は3つの意味が分からなくて、1つは自分の練習用で、2つは投資(良いチェロは古くなるにつれて価値が上がるので投資として買う人もいるらしい)なのかしらと思っていたら、「香港、上海、ロンドンの家に1つずつよ」だそうで。まあ自分が暮らすための家を3つ(実際には賃貸に出しているのやら何やらでそれ以上の数)持っているくらいだから、そりゃチェロも3台という発想になるのは当然なのでしょう。もうこれは「当然」のスケールの違いよね。
かたやもう1人の「安いは正義・高いは悪」派のジェスは、私のチェロの値段を聞いて(と言っても学生用クラス)、Whaaaaat!?と逆に私がびっくりするほど驚かれました。「あんたいっつもお金ないって言ってるじゃない」という心の声がだだ漏れの彼女は、チェロは欲しいけどそんな額を使う気はないわ、とバッサリ。まあ、何にどれだけ何を使うかは人それぞれ。ジェスはジェスで私が「それはないわー」というところに物凄いエネルギーを注いでいるしね。
こんなに違うのに集まると姉妹のようにじゃれ合う私たち。いつか3人で合奏出来たりするのかしら。
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