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人は自分の創造に恐れ傷つく

フラットの同居人のひとり、私と同世代の自称スピリチュアル女(仮)は、私はエンパスでコンパッショネイトだからと彼女なりに気は使ってるらしいのだけれど、気遣いが空回りしているのか何なのか、もしくは私がナメられているだけなのか、私に言わせりゃかなりの自己中。そして、おしゃべり好きかつ話す内容が何かとうざいので、できるだけ顔を合わせないようにしています。

四捨五入したら半世紀も生きているほどの年でのフラットシェアは、もはや修行でしかありません(そしてロンドンの家賃相場は鬼)。1回目のロックダウン中は、そんな勝手な奴らと一緒に住むなんてもう無理だと思ったし、ひとり暮らしもできない自分の甲斐性のなさとパンデミックのダブルパンチに大絶望もしたけれど、最近では、同居人にイラッとするのもキーっとするのも、宇宙なり神様なりの上の人からの「気付くチャンス到来!」というお告げだということにして(そもそも他人は自分の鏡だっていうしね)、怒り心頭もしくはうんざりする前に、もしくは心の闇に落ちる前に、その事象の何に私の中の記憶もしくは自己嫌悪感が反応しているのかを探るようにしています。

そんなわけで今日。

自称スピリチュアルの同居人が大きな鍋2つをコンロにかけて、お湯を沸かしていたようでした。これは時々見る光景なのですが、今日は結構な時間、私が買い物に出かけて帰ってきても、まだ火にかかったまま、鍋の水も半分近くに減っています。こりゃ忘れてるのかもと、彼女の部屋の外から「鍋の水ずっと沸騰してるけどどうしたいの?てか、そのうち家燃えるじゃん?」と叫んでみたのですが反応なし。ヘッドホンで電話をしているか何かなのでしょう。まあいいや、と勝手に火を消して、携帯にメッセージを送っておきました。

すると間髪入れず私の部屋の外から「ごめーん!」との声。ほぼ反射的に「別にいいけどねー」と叫び返しました。少しして私がコーヒーでも淹れようかとキッチンに行くと、彼女がキッチンのすぐ外、玄関のところにやってきて、何やら言い訳をはじめました。私の中では終わったことなんだけどな、とコーヒー豆をゴリゴリと挽きながら聞き流していて、ふとこの人は出かけるんだろうか、と視線を彼女の足元の方に向けたのです。

すると彼女が、「この私の履いているアホみたいなスリッパ見てる?」と何やら意思のありそうな口調でいいだします。別に彼女が何を履いてようが知ったこっちゃないし、てかそのスリッパも別にアホだとも思わないし(むしろ可愛い)、でもそのスリッパをきっかけにおしゃべりに巻き込まれるのもごめんなので、「ううん」とだけ返事をしてコーヒーに集中するフリをして彼女の方を盗み見ていたら、何か言いたげ顔を残しつつ部屋へ戻っていきました。ほっ。

私は無事コーヒーを淹れ、自分の部屋に戻るとWhatsAppに彼女からメッセージが。私の素っ気無い対応を怒っていると勘違いしたのか何なのか、仕事絡みの打ち合わせがなんとかという詳細な言い訳と、今沸かしてる鍋はタイマーをセットしたからというお知らせだったのでした。それってやっぱり忘れてたんじゃね、と思いつつ、私の中では火を消した時点で終わってるし、どうでもいい人がした大して私に被害もないことをずっと考えているほど暇じゃない。

と思った時に、上のほうから「ほらほら」と何やら声が降ってきましたよ。私もおんなじことしてるよね、わざわざ同居人がそれを知らせるために見せてくれたじゃんね、って。

確かに、私は自分がやらかした小さな失敗や誰かの態度を何度も反芻しては落ち込むし、昔はよく意味不明の長文謝罪メッセージを送ったりもしました。そして、そこにある・あった私の焦りとか恐れとか不安とかは、考えてみれば私の妄想が創り出したもので、現実はそうじゃなかったかもしれないし、そもそも他の誰かの気持ちや行動・言動の意図は、私にはどうしようもできない=それはその持ち主が面倒を見る部分。私ができるのは、私のベストバージョンの私でいるための努力をするということだけで、それ以外は私の手中にはないはずなのです。(←ひとつ前の投稿写真をぜひご覧くださいませ)

件の同居人が度々そしておそらく無意識に表に出すインセキュリティな行動や言動に、私はなぜにそこまでというくらい、とってもイライラするのですが、その感情も本当は、彼女に対してではなく自分の中にあるけれど押し殺している部分を見せられての反応なのでしょう。

ちなみにもうひとりの同居人は良くも悪くも他の人を気にしないのですが、すげーなこいつと思う時もあれば、少しは気にしろとイラッとする時もあります。でもそれは私の気分次第、つまり私が私をごきげんにしていればいいんだなと最近気付きました。彼女の彼の香水公害はなんとかして欲しいけれど。

そんなわけで毎日毎日、同居人にイラッとしながらも気づきをありがとうと思うことにして、ベストバージョンの私でいられるよう、花を飾り、植物とぬか床と納豆菌を育て、お馬やクライアントのペットたちや窓の外に現れる動物たちを愛で、身体を動かすのです。とはいえまだまだ修行中なので、ダメな日は飲んでだらけてるんだけどね。

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